F1アメリカGP2016《決勝》見どころと観戦ポイント
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決勝への望みを大きくしたルイス・ハミルトン。戦略が分かれたレッドブル陣営。ブラックアウト後の1コーナーは波乱必死の2016年アメリカGP決勝レース。見どころと観戦ポイントを4つに絞ってまとめてみた。決勝での使用可能タイヤもご紹介。
レッドブルはメルセデスに太刀打ちできるのか?
Top10ドライバーにとっては、予選Q2での使用タイヤが決勝レースでのスタートタイヤとなる今年のF1レギュレーション。リカルドはスーパーソフトタイヤ、一方チームメイトのフェルスタッペンはソフトタイヤでのスタートとなる。当然スーパーソフトの方が蹴り出しが良いので、スタート時には有利に働く。
また、スーパーソフトとソフトとのタイム差は1周あたり1秒ほどと大きな差がある。ただし、リカルドが予選後コメントしているように、こちらはデグラデーションが大きいため、スタート後の数週が勝負となる。
決勝スタート後1コーナーまでに果たしてリカルドはメルセデスの2台を捉えることができるのか?仮にメルセデスを捉えることができたとして、その後どの位タイヤをもたせることができるのだろうか?
サーキット・オブ・ジ・アメリカズはオーバーテイクが容易なサーキットであることは周知の通りだ。レッドブルよりも75馬力ほどパワーがあると言われているメルセデスパワーユニットは、アロンソが予選後コメントしているようにまだまだ余力がありそうな雰囲気だ。例えスタート後にメルセデス二台をごぼう抜きにしたとしてもその後はどうだろうか?
一瞬たりとも目が離せない展開となるだろう。
ブレーキング時の進路変更禁止でフェルスタッペンは抜かれまくるのか?
金曜のドライバーズブリーフィングで、フェラーリ勢とセルジオ・ペレスからブレーキング時の進路変更についてルールを明確化する様申し立てがあり、フェルスタッペン以外の全てのドライバーがこれに賛同したようだ。
これを受けてFIAは「ブレーキング時の進路変更は他のドライバーに危険をもたらす可能性があるため、今後このような動きがあれば審議対象とする」とし、事実上の変更禁止となった。実際の所、これはマックス・フェルスタッペンに対してのみ影響があるもので、他のドライバーにとって反対する理由は何一つない。ハンガリーやベルギーでのライコネンとの一件を考えれば、遅すぎる位の決定である。
アメリカGP決勝レース、マックスがオーバーテイクの危機にさらされる時、彼はラインを変更せずに黙ってオーバーテイクされるであろうか?要注目である。
フェラーリはやっぱりダメなのか?
トップのハミルトンとのタイム差が1秒以上もあるフェラーリ。日本GPで復活の兆しが見られたかに思われたが、ここでは全く奮っていない。COTAは、鈴鹿との類似点が多いにも関わらず、である。一つ考えられるには、ここは鈴鹿と比べて路面温度が低く、風の影響が大きいということだ。
決勝は土曜の予選と同じようなコンディションになると見積もられているので、その点から考えると、赤い跳ね馬がかの大国で風のように駆け回る姿を見ることを期待するのは、いささか現実的ではないのかもしれない。
よって、見どころとしてはフェラーリ内バトルになろうかと思われる。フェラーリとの契約更新を発表して以降、キミ・ライコネンに先行されている印象のあるセバスチャン・ベッテル。アメリカGPの予選でも5位のライコネンに遅れを取り6位に甘んじている。マルキオンネの過大な口出しっぷりによるフェラーリ内の不和が心配される昨今だが、最近のベッテルはどうも落ち着きがなく、イライラし続けているように見受けられる。セバスチャンはキミをキャッチアップすることができるだろうか?
マクラーレンもやっぱりダメなのか?
アロンソが12位、バトンが19位と目標としていたQ3進出が果たせなかったマクラーレン・ホンダ。決勝で期待しても良いのだろうか?F1で300戦出走を成し遂げたベテラン、ジェンソンの予選後のコメントを見てみよう。
「19位という予選結果にはがっかりしてる。昨日は良いペースがあったし、今朝のFP3では8位と9位だったんだから。最終セクターで抜かなきゃならないマシンが4台もいたんだ。その中の最後のドライバーであるジョリオン・パーマーはどいてくれなかった。明日の決勝で上手くやれると良いけど、厳しい一日になると思う。レースペースは良いんだけど、ここでオーバーテイクをすることは僕らにとってはほとんど不可能に近いよ。」
レースペースは良いものの、オーバーテイクができない…だそうだ。となると雨の期待できない決勝では、スタート後の1周、及び戦略面で前に出ていくほかない、と考えて良さそうだ。残念ながら、あまり期待しない方が我々としては良い1週間の始まりを迎えられそうである。
決勝での使用可能タイヤ
「オーバーテイクをすることは僕らにとってはほとんど不可能に近い」との発言をしているジェンソン・バトンには、新品スーパーソフトが3セットも残っている。ただしそのデグラデーションの悪さから、スーパーソフトを有効利用するのは極めて難しそうだ。
メルセデスはシーズン前テストで徹底的に走り込んで知り尽くしているミディアムの新品を2セット保持。同じくミディアムの新品を2セット残しているのは、フォース・インディア、マクラーレン、マノーの各2台となっている。