
「脳移植」発言に浮かぶハミルトンの苦悩と焦燥―フェラーリSF-25に八方塞がり
フェラーリSF-25への適応に苦しむルイス・ハミルトンは、7番手に留まった2025年F1第5戦サウジアラビアGP予選を経て、クルマへの理解を深めるために何が必要かと尋ねられ、「脳の移植」と皮肉交じりに返したという。
週末を通して苦戦していたハミルトンは、0.007秒という僅かの差でQ2敗退を逃れ、最終的に7番グリッドを獲得。ダメージを最小限に抑えたが、4番手を獲得した僚友シャルル・ルクレールとの差は0.531秒と大きく開いた。
「いや、満足ってわけじゃないけど、昨日よりはだいぶマシだね。プラクティスの時はずっと12番手とか13番手だったし、クルマのフィーリングもまったく良くなかった。全然、楽じゃなかったんだ」とハミルトンは振り返る。
「だから、たとえギリギリでもQ3に進めたことには感謝してる。7番手っていう結果も、まあ悪くはない。前回の予選よりは良かったしね。でもまだ、このクルマに慣れるために、やるべきことは残ってる」
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
ジェッダ市街地コースをフェラーリSF-25で走るルイス・ハミルトン、2025年F1サウジアラビアGP
キャリアの大半をメルセデスという1つのチームで過ごしてきたハミルトンにとって、新たな環境に適応することは決して容易ではない。長年にわたりシルバーアローとともに磨き上げてきた感覚は、いまや彼の前進を阻む足かせとなっているのかもしれない。
「もしかしたらもう、自分の中の癖が染みつきすぎてて、変えるのは無理なのかもしれないね(笑)。…でも、舞台裏では本当に全力で取り組んでるんだ。これ以上、できないくらいにね。目にしていることを如何に走りに反映させるか、ずっと考えてる」とハミルトンは語る。
「ただ、コースに出るたびにクルマの反応が違ってて、それが一番大きな課題だね」
英専門メディア『RaceFans』によると、SF-25に慣れるには何が必要か?との問いに対し、ハミルトンは「脳の移植」と返したという。ベテランらしいユーモアだが、その言葉には状況打開への焦燥がにじむ。
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ガレージの前に立つルイス・ハミルトン(フェラーリ)とチームメンバー、2025年F1サウジアラビアGP(ジェッダ市街地コース)
とは言え、前戦バーレーンGPのミドルスティントでは、コース上で誰よりも輝きを放ち、見事なオーバーテイクショーを披露した。
決勝の展望についてハミルトンは、「今回はプラクティスであまりロングランができていないけど、このサーキットはある程度オーバーテイクも可能だと思うから、…楽しみにしてるよ」と静かな笑顔を見せた。
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ガレージ内でチームメンバーと話をするルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年F1サウジアラビアGP(ジェッダ市街地コース)
2025年F1サウジアラビアGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、3番手にジョージ・ラッセル(メルセデス)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間4月20日(日)26時にフォーメーションラップが開始され、1周6175mのジェッダ市街地コースを50周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。