初のポールポジション獲得を喜ぶレーシングポイントとランス・ストロール、2020年F1トルコGP予選にて
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ランス・ストロールが移り行く雨路面を味方に初PP!フェルスタッペンは2番手に不満 / F1トルコGP《予選》結果とダイジェスト

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2020年FIA-F1世界選手権第14戦トルコGPの公式予選が11月14日にイスタンブール・パーク・サーキットで行われ、雨の影響で刻々と変化する路面状況を味方につけて、レーシング・ポイントF1チームのランス・ストロールがキャリア初のポールポジションを獲得した。

路上の雨の量が減り状況が大きく改善する中、ストロールはQ3の最終アタックでインターミディエイトタイヤを選択して1分47秒765のファステストを刻み、カナダ人ドライバーとしては23年前のジャック・ビルヌーブに次ぐ史上3人目、通算101人目のポールシッターに輝いた。

予選Q2までの全5セッションで最速を刻み、イスタンブールを完全支配下に置いていたレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、最後の最後で0.29秒遅れを取り2番手に甘んじた。

トップ3インタビューに応えたフェルスタッペンは「Q3の路面状況は大きく改善していたけど、インターの感触は本当に酷かった。エクストリーム(フルウェット)の感触は本当に良かったのに。週末を通して最速であり続けてきた状況の中、最後に2番手になってしまったんだから当然不満だよ」と語った。

レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとレーシングポイントのランス・ストロール、2020年F1トルコGP予選後トップ3インタビューにて
© Red Bull Content Pool

2列目3番手にはセルジオ・ペレス、4番手にはアレックス・アルボンが続き、レーシングポイントとレッドブル・ホンダが上位2列を分け合う結果となった。

コンストラクターズ選手権での7連覇を決めた王者メルセデスは、ルイス・ハミルトンがかろうじて6番手に食らいつきルノーの2台に割って入ったが、バルテリ・ボッタスは9番手に留まった。

ザウバーモータースポーツとして通算500回目の節目のグランプリを迎えたアルファロメオ・レーシングは、キミ・ライコネンが8番手、アントニオ・ジョビナッツィが10番手と、見事ダブルQ3進出の快挙を達成した。

アルファタウリ・ホンダ勢はウェット路面に苦しみ、ダニール・クビアトが17番手でQ1敗退を喫し、ピエール・ガスリーは何とかQ2に駒を進めるも、15番手でヘルメットを脱いだ。

雨のイスタンブール・パーク・サーキットの最終コーナー、2020年F1トルコGP予選にて

午前のFP3に引き続き現地イスタンブールは雨雲に覆われ、決勝のスタートグリッドを決する争いは降水確率90%の予報の下、気温11.9℃、路面13.5℃のウエットコンディションでスタートした。なおセッション開始前には、犬がコース上を走る姿もあった。

公式タイヤサプライヤーのピレリは、ハード(白色)にC1、ミディアム(黄色)にC2、ソフト(赤色)にC3コンパウンドを投入したが、予選でこれら晴れ用のスリックタイヤが使われる事はなかった。

予選Q1:2度の赤旗中断

天候が悪化した事で、エントリーした全20台で争われる予選第1ラウンドのQ1は、50分弱に渡って赤旗中断を強いられた。セッションはインターミディエイトとフルウェットを履く者が概ね半々でスタートしたが、雨脚が強まりインター組は早々にタイヤの履き替えを強いられた。

川が流れるなどコンディションが悪化した事から、レースコントロールは開始8分強でレッドフラッグを提示。2分6秒115を刻んだエステバン・オコン(ルノー)が暫定トップに立ち、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ロマン・グロージャン(ハース)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)、ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)、ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)の5台がノックアウトゾーンに沈んだ。

レッドブル・ホンダ勢とライコネンを先頭として、ピットレーンには再開を待つマシンが数台並び、セッションは現地15時55分にグリーンフラッグを迎えたが、グロージャンがターン1で飛び出し、残り3分30秒で再び赤旗が振られた。

車両の撤去後にセッションが再開されると、全車フルウェットを履き、レッドブル・ホンダ勢とフェラーリ勢が先陣を切ってコースイン。路面状況が大きく改善する中、暫定15番手に沈んでいたフェルスタッペンが9秒近く自己ベストを塗り替えトップに立ち、アルボンが2番手に続いた。

ラティフィはターン8でクルマをグラベルに落としてしまい20番手最下位のままにクルマを降り、クビアトもまたスピンを喫してタイムを更新できず17番手でノックアウトを喫した。

ハミルトンはターン1でコース外に飛び出てしまい、トラックリミットによりタイムが抹消されたが、赤旗前にマークしていたタイムに救われ14番手ギリギリでQ2進出を果たした。

なお18番手に付けたジョージ・ラッセルは、週末に先立って規約で許可された年間上限数を超えるパワーユニット交換を行ったため、グリッド最後尾からのスタートとなる。

ノックアウト

  • ケビン・マグヌッセン(Haas)
  • ダニール・クビアト(AlphaTauri)
  • ジョージ・ラッセル(Williams)
  • ロマン・グロージャン(Haas)
  • ニコラス・ラティフィ(Williams)

予選Q2:フェラーリとマクラーレンが脱落

5台が脱落し残る15台のマシンが挑んだQ2では、マクラーレンの2台のみがインターミディエイトに履いてコースに向かったが、状況は依然としてフルウェット寄りで履き替えを強いられた。フルウェット組はガスリーを除き、全車タイヤ交換を行う事なくコース上に留まり、タイムを計測し続けた。

時間の経過と共に路面状況は更に改善していき、1ラップごとに2秒近くラップタイムが向上。ここでもフェルスタッペンが最速を刻み、レッドブル・ホンダが1-2体制を築いた。

ガスリーはフレッシュタイヤのアドバンテージに懸けたものの熱が入り切らなかったか、僅かに自己ベストを更新するに留まり15番手で敗退した。

上位グリッドの期待が寄せられていたフェラーリ勢も奮わず、セバスチャン・ベッテルが12番手、シャルル・ルクレールが14番手でクルマを降りた。

最初のタイヤ選択を誤ったマクラーレンも揃って敗退となり、ランド・ノリスが11番手、カルロス・サインツが13番手でヘルメットを脱いだ。

なおセルジオ・ペレスの走行を妨害したとして、サインツは3グリッド降格ペナルティと1点のペナルティポイントが科された。この日の予選では計11台が審議に掛けられ、サインツのみならずノリスもまたグリッド降格ペナルティが科される事態となった。

雨を味方につけたのは、通算500回目のグランプリを迎えるザウバーことアルファロメオ勢だった。キミ・ライコネンは8番手、アントニオ・ジョビナッツィは5番手で最終ラウンドに駒を進めた。

ノックアウト

  • ランド・ノリス(McLaren)
  • セバスチャン・ベッテル(Ferrari)
  • カルロス・サインツ(McLaren)
  • シャルル・ルクレール(Ferrari)
  • ピエール・ガスリー(AlphaTauri)

予選Q3:ストロールが初のポール

トップ10グリッドを決する予選最終ラウンドのQ3もタイヤ選択が分かれた。コンディションの改善が続く中、エステバン・オコンとセルジオ・ペレスがインターミディエイトを履いてコースに向かった。

限界を見極める天才的な嗅覚を武器に、フェルスタッペンは1回目の計測で最速を刻んだが、インターを履くペレスがこれをコンマ3秒上回る暫定ポールをマーク。フェルスタッペンは2ラップ目のセクター2まで、そのペレスを超える全体ベストを続けていたが、フィニッシュする事なくピットへと向かい、いち早くインターミディエイトに履き替えた。

対してオコンはフルウェットにチェンジしたが、状況は完全なインターコンディションとなり、最終アタックで浅溝タイヤを履いたランス・ストロールが突如として全体ベストをマーク。フェルスタッペンも自己ベストを削ったが、一歩及ばず2番手に甘んじた。

なおスチュワードは予選を終えて、セッション中にイエローフラッグを無視した疑いがあるとしてストロールを召喚した。ポールポジションが幻に終わる可能性もあったが、最終的にお咎めなしの裁定が下った。

2020年 F1トルコグランプリ決勝レースは、日本時間11月15日(日)19時10分にスタート。1周5,338mのイスタンブール・パーク・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。

2020年F1第14戦トルコGP予選リザルト

Pos No Driver Team Q1 Q2 Q3 Laps
1 18 ランス・ストロール レーシングポイント 2:07.467 1:53.372 1:47.765 22
2 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:57.485 1:50.293 1:48.055 26
3 11 セルジオ・ペレス レーシングポイント 2:07.614 1:54.097 1:49.321 21
4 23 アレックス・アルボン レッドブル・ホンダ 1:59.431 1:52.282 1:50.448 26
5 3 ダニエル・リカルド ルノー 2:05.598 1:54.278 1:51.595 26
6 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 2:07.599 1:52.709 1:52.560 23
7 31 エステバン・オコン ルノー 2:06.115 1:53.657 1:52.622 26
8 7 キミ・ライコネン アルファロメオ 2:01.249 1:53.793 1:52.745 27
9 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 2:07.001 1:53.767 1:53.258 23
10 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 2:07.341 1:53.431 1:57.226 26
11 4 ランド・ノリス マクラーレン・ルノー 2:07.167 1:54.945 18
12 5 セバスチャン・ベッテル フェラーリ 2:03.356 1:55.169 18
13 55 カルロス・サインツ マクラーレン・ルノー 2:07.489 1:55.410 18
14 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 2:04.464 1:56.696 18
15 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 2:05.579 1:58.556 17
16 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 2:08.007 10
17 26 ダニール・クビアト アルファタウリ・ホンダ 2:09.070 8
18 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 2:10.017 9
19 8 ロマン・グロージャン ハース・フェラーリ 2:12.909 7
20 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 2:21.611 9

コンディション

天気
気温11.9℃
路面温度13.5℃

セッション概要

グランプリ名 F1トルコGP
セッション種別 予選
セッション開始日時

サーキット

名称 イスタンブール・パーク・サーキット
設立 2005年
全長 5338m
コーナー数 14
周回方向 反時計回り

F1トルコGP特集