
沈痛のハミルトン「最悪のレース」に自責と困惑―表彰台狙うも6位、一方でバスールは…
ルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、6位入賞に終わった2025年F1第9戦スペインGPの決勝レースを「最悪」と表現し、自身の走りに対する自己批判を口にした。7度のF1ワールドチャンピオンにとって、フェラーリ移籍後初の表彰台を目指した一戦は、想像を絶する苦痛の66周となった。
レース序盤、早くも期待は失望へ
土曜の予選でハミルトンは、今季自己最高タイの5番手を獲得。久々に表彰台争いへの期待を口にしたが、その夢はスタート直後に早くも潰えた。
ジョージ・ラッセル(メルセデス)を1周目に交わしたまでは良かった。だが、わずか9周で現在のチームメイト、シャルル・ルクレールに接近を許し、早々にポジションを明け渡すこととなった。
この瞬間から、ハミルトンの孤独な戦いが始まった。レース中盤に向けては5番手を単独走行していたが、2度目のピットストップでタイムをロス。ラッセルとのポジション争いに巻き込まれて6番手へ後退した。
さらに、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)のリタイアに伴うセーフティーカー導入で訪れた挽回のチャンスも掴めず、ラスト2周でニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)に抜かれる屈辱を味わった。
痛烈な自己批判「説明しても意味がない」
レース後のハミルトンの表情は、かつてないほど沈痛だった。
「何を言えばいいんだ?本当にひどい一日だった。言うことは何もない。厳しい一日だった。他に言うことは何もない。最悪だった。説明しても意味がない。自分でもどう言えばいいか分からない」
チーム側が原因を突き止められるかを問われると、「間違いなく無理だろうね。たぶん僕の問題だ」と自身の責任を強調。期待していたフェラーリでの初表彰台は達成できず、「前向きな材料は一つもない」と卑下した。
「なぜあんなに酷かったのか分からない。バランス面では、これまで経験した中でも最悪のレースだった」
車体トラブルの可能性―バスールの証言
フェラーリのフレデリック・バスール代表は、ハミルトンのマシンが最終スティントで問題を抱えていたことを明かした。ただし、問題の詳細については言及を避けた。
「彼はレースの70%をラッセルの前で走っていた。ラッセルがこのレースを惨事と総括したとは思えない。」とバスールは語る。
「最終スティント、セーフティーカーが導入される前にクルマに問題が出たんだ。結果は望んでいたものではなかったが、45周にわたってラッセルの前にいたことも事実だ」
拡大するチーム内格差
今シーズン、ハミルトンがルクレールを上回ったのは先月のエミリア・ロマーニャGPのみ。現在、両者のポイントは23点に広がっており、チーム内での格差は着実に拡大している。
本来、レースペースはハミルトンの大きな武器とされるが、カタロニア・サーキットでの66周を通しては明らかにルクレールに劣っていた。3位表彰台を獲得したルクレールとの対照的な結果は、ハミルトンの苦悩をより際立たせる形となった。
2025年F1第9戦スペインGPでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインを飾り、今季5勝目を挙げた。チームメイトのランド・ノリスが2位、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は3位でフィニッシュし、バルセロナで自身初の表彰台に上がった。
ジル・ビルヌーブ・サーキットを舞台とする次戦カナダGPは、6月13日のフリー走行1で幕を開ける。