半ばポールを諦めるも救われたルクレール「3年前と同じくらい悔しい思いをするはず」決勝に向けチーム優先の戦略牽制か
シャルル・ルクレール(フェラーリ)は10月1日のF1シンガポールGP公式予選で今季9回目、キャリア通算18回目、前回大会の2019年に続く2回連続のポールポジションを獲得した。
ライバルのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はセクター2通過時点でルクレールを0.905秒上回っていたが、結局は燃料切れへの懸念からラップを断念。ルクレールは最終ラップで自己ベストを改善できなかったものの、その一つ前のラップがポールを呼び込んだ。
予選を終えたルクレールは、フェルスタッペンがラップを終えていれば自身のポールはなかっただろうと認めた。
「最終ラップでミスをしてしまったからポールポジションは無理だろうと思っていたんだけれど、兎に角、結果オーライだ。本当に、本当にハッピーだよ」
「もしマックスがあのラップをフィニッシュしていたら、おそらくあのミスのためにポールを失っていただろうね」
ファイナルラップのエラーについてルクレールは「ロックアップさせちゃってね。まずはターン13でかなりのタイムを失い、その後はターン16で行き過ぎてしまった」と補足した。
最終Q3はインターミディエイトからドライへと変化する難コンディションの中で行われた。刻々と変化する路面に対してどう対処するか?という点で、非常に見応えのある予選だった。
「最後のセクターはかなりのバンプが残っていてかなりトリッキーだし、ターン13もそうだった」とルクレールは振り返る。
「ラップを通して異なるコンディションが混在していたから合わせ込んでいかなきゃならなかったし、同じようにコースの進化にも適応していく必要があった」
フェルスタッペンとレッドブルがポール獲得の好機を逃して8番手に甘んじた事が象徴的なように、ドライバーとチーム双方が的確に仕事をこなさなければ結果を掴み取る事はできなかった。
その意味で、ある時点で少しばかり混乱はあったもののフェラーリとルクレールは仕事をやり切ってみせた。Q3のスタート直前のガレージ内では急遽、インターからソフトへとタイヤを変更するシーンがあった。
ルクレールは「(ドライタイヤの装着に関しては)議論していたんだけど、基本的に全車がソフトで出ていくのを見て、ソフトで行くという最初の決断に立ち返ることにしたんだ」と説明した。
なお3年前の前回大会では、今回と同じくポールを獲りながらも、1周前にピットストップに動いた当時の僚友セバスチャン・ベッテルにアンダーカットを許し、2位フィニッシュする結果に終わった。
ルクレールは、当時のフラストレーションは「今もよく覚えている」と振り返り、ベッテルが先行してピットストップを行わななければフェラーリとしての1-2フィニッシュは叶わなかった可能性もあったとして「チームとしては正しい選択だったのかもしれない」と認めた。
ただその一方で、明日の決勝に向けてチーム優先の戦略を牽制するかのように「もし明日も同じことが起きたら、おそらく2019年と同じくらい悔しい思いをするだろう」とも述べ、次のように続けた。
「なぜなら僕は勝つためにここにいるわけで、望んでいるのは全力を尽くして明日のレースで勝つことだけなんだから」
フロアの微調整を経てレーザースキャンによる車両検査を行った影響で、ルクレールは初日FP2の半分近くを失った。データ不足は懸念材料とはならないのだろうか?
「全体的にクルマの感触は週末を通して素晴らしかったと思う。だから、明日のレースに向けてロングランデータが少し不足しているけど、あまり気にしていない」
「兎に角、全てを完璧にこなせれば、結果は間違いなくついてくると思う」
マリーナベイ市街地コースはオーバーテイクが容易ではない。ミスをせず、トラブルに巻き込まれないようにクリーンに戦えれば優勝の可能性はグッと高まる。
シンガポールでのフェルスタッペンの戴冠を阻止するためには7位以上でフィニッシュする事がターゲットとなるが、ルクレールは既に今季のタイトルを諦めている。
「僕にとって重要なのは、シーズン終了までできるだけ多くのレースで勝ち取ることであって、それに現実的に言えば、マックスがタイトルを獲得するのは時間の問題だと思ってる」とルクレール。
「だから僕らとしてはマックスではなく僕ら自身に集中し、パッケージから最大限のパフォーマンスを引き出すために終盤のレースを上手く使っていく事が重要なんだ」
「あとの事は…どうでも良いよ」
2022 F1シンガポールGP予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。2番手にセルジオ・ペレス(レッドブル)、3番手にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続く結果となった。
シンガポールグランプリの決勝レースは日本時間10月2日(日)20時にフォーメーションラップが開始され、1周5,063mのマリーナベイ市街地コースを61周する事でチャンピオンシップを争う。