険しい表情のクリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)、2022年10月1日F1シンガポールGPのFIA公式記者会見にて
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F1予算違反疑惑「怒りを覚える」とレッドブル、法的措置を仄めかしてメルセデスとフェラーリに発言撤回を要求

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予算制限違反疑惑に関するメルセデス及びフェラーリ首脳陣の発言に対してレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は「中傷的」であり「怒りを覚える」と述べ、法的措置を仄めかして発言撤回を強く要求した。

10月5日(水)に予定される国際自動車連盟(FIA)による会計監査報告を前に、レッドブルとアストンマーチンが1億4500万ドルに設定された昨年のコストキャップに違反しているとの憶測がパドックで飛び交った。FIAは「重大かつ根拠のない憶測と推測」であるとして牽制した。

メルセデスのトト・ウォルフ代表とフェラーリのスポーティングディレクターを務めるローラン・メキーズはこの件について金曜のマリーナベイで公に見解を述べ、共に直接的な名指しこそ避けつつも、違反があった事を前提としてFIAに厳罰を求めた。

いずれのケースも超過額が5%未満の「軽度予算違反」と見られているもののウォルフは、一方は「大規模超過で、より根本的」であり、ホーナーが財務規定の遵守に自信を示した事について「おかしい」と食って掛かった。

F1シンガポールGPの土曜会見の中でホーナーは「レッドブルを名指ししている事は極めて明白」であるとして、ライバルチームの一連の発言は「中傷」だと怒りをあらわにした。そして、発言を撤回しなければ法的措置を取ると仄めかした。

怒鳴り散らさないまでもホーナーは終始、険しい表情を崩さず「昨日のライバル2チームのコメントには少し驚かされた。チームとFIAとの間の提出物は機密事項だ」と述べた。

「だから、ライバルの提出物がどんなものなのか、あるいは会計処理がどうなっているのかについて私は全く知る由もない」

「こうした虚偽の主張の情報源がどこから来たものなのか、知りたいところだ」

「一体どうやって情報を手に入れたというのか? FIAでさえ、まだ監査プロセスを終えていないと言っているのに」

「これらの発言が撤回されなければ、我々はこれを非常に真剣に受け止め、どのような選択肢があるのかを検討することになるだろう」

「昨日のようなチームやブランド、さらにはF1に対する名誉棄損に相当するようなコメントは絶対に容認できない」

メディアの質問に答えるレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表、、2022年10月1日のF1シンガポールGP土曜FIA会見にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

メディアの質問に答えるレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表、、2022年10月1日のF1シンガポールGP土曜FIA会見にて

奇しくもこの騒動が勃発したのは、マックス・フェルスタッペンが2度目のワールドタイトル獲得に向けて初めて王手をかけた週末だった。ホーナーはフェルスタッペンのチャンピオン獲得に水を差すための「卑怯」な行為だと批判した。

「たたけばほこりが出る人は、他人を叩くべきではない。我々は怒りを覚えているし、こうした発言を非常に真剣に受け止めている」

「何故か? マックスが世界タイトルを勝ち取るための最初のチャンスを得たタイミングで、今年の彼の驚異的なパフォーマンスではなく、コストキャップについてのみが話題になるのは単なる偶然なのだろうか?」

「それはおそらく、今年のパフォーマンス不足の言い訳のためのために採られた卑怯な策略なのだろうと思う」

ホーナーは「コスト上限の遵守に関しては絶対的な自信を持っている」と述べ、財務レギュレーション違反の認識はないと改めて強調した。

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