レッドブル・ホンダ、フェルスタッペン選手権制覇の2021年に予算上限違反か
マックス・フェルスタッペンと共にF1タイトルを獲得した2021年シーズンにレッドブル・ホンダが予算上限違反を犯した可能性があるとの報道が舞い込んできた。
F1は昨年、史上初めてチームに対して年間予算制限を科した。ドライバーや経営陣に対する給与など、一部を除いて2021年シーズンのコストキャップは1億4,500万ドルに設定された。
予算はチームの競争力と比例する関係にある。メルセデス、レッドブル、フェラーリといったトップチームは事業規模の縮小を余儀なくされ、独立系チームとの予算の差は一気に縮小した。
財務レギュレーションはチームに対し、毎年6月末までに1~4月までのコストキャップに対する中間支出報告を、そして翌年3月末までに年間支出報告を提出する事を義務付けている。
全てのチームの報告書が出揃った事を受けて国際自動車連盟(FIA)が各報告書の精査を行う中、2つのチームが上限違反を犯した可能性があるとの報道が相次いだ。
現時点でFIAは何も発表していないが、レッドブルとアストンマーチンの名前が挙げられている。
FIAは当初、全10チームの報告書に何も問題はないと判断していたようだが、各チームによるライバルの”粗探し”の結果、2件の疑わしいケースが確認されるに至ったようだ。
違反した場合はペナルティが科される事になるが、一言で「違反」と言っても超過の程度によって罰則は2段階に分けられている。
基準となるのは5%という数字で、超過額が予算上限の「5%未満」か「5%以上」かで線引されている。「5%未満」の違反は「マイナー・オーバースペンド・ブリーチ(軽度予算違反)」と定義されている。
超過額が大きければ大きいほどクルマのパフォーマンスに差が表れ、レース結果に影響が及ぶ事になる。
ペナルティに関してレギュレーションは、コンストラクターズ選手権からの抹消やドライバーズポイントの減点、出場停止、空力テスト制限や予算上限の引き下げなど、様々なオプションを定めている。
違反の種類・程度に対して罰則内容が明確化されておらず、また前例もない事から、FIAが一件に対してどのような判断を下すのかは非常に注目されるところだ。
理論的にはレッドブル・ホンダとフェルスタッペンのタイトルが剥奪となる可能性もあるが、今回の2件の違反はいずれも「軽度予算違反」の範囲内と見られており、比較的軽微な処罰に留まる可能性がある。
ただ、もし仮に違反があったと認定されれば、最終アブダビGPの最終ラップでの物議を経てルイス・ハミルトンの8度目の戴冠を逃したメルセデスは黙っていないだろう。
シーズン閉幕から9カ月を経てチャンピオンシップの結果を遡及的に変更すれば非常に激しい議論を呼びかねず、F1の名声と人気に傷が付く可能性がある一方、対応がおざなりとなればコストキャップの存在意義が失われかねない。FIAは難しい判断を迫られる事になる。