勢いづくミック・シューマッハ…その背景に「プレッシャーと批判」あり、とレッドブル
F1初入賞を経てトップ10フィニッシュを重ねるミック・シューマッハ(ハース)についてレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、その背景に「プレッシャーと批判」があるとみている。
開幕バーレーンGPでのケビン・マグヌッセンの5位フィニッシュが象徴的なように、去る2021年シーズンを捨て去り開発されたハースの2022年型VF-22はミッドフィールド上位を争える高いポテンシャルを秘めている。
だが、F1での2年目を迎えたシューマッハは今年、サウジアラビアGP予選で大クラッシュを喫し、マイアミGPではセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)と接触。モナコではマシンが真っ二つとなる致命的な事故を起こすなど、ルーキーイヤーと変わらずシーズン序盤は無得点レースが続いていた。
ところが、イギリスGPで念願のF1初入賞を果たすと、続くオーストリアGPでは予選と決勝で父ミハエルと同じ7冠のルイス・ハミルトン(メルセデス)を相手に見事なバトルを演じ、僚友マグヌッセンを上回る6位フィニッシュと、2戦連続でポイントを獲得した。
この活躍に対して世界中のF1ファンはシューマッハをDriver of the Day(ドライバー・オブ・ザ・デイ)に選出した。23歳のドイツ人ドライバーは全体の24.5%の得票を獲得し、優勝したシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抑えた。
以前からシューマッハのキャリアをフォローしてきたとするヘルムート・マルコはドイツのテレビ局「n-tv」とのインタビューの中で次のように述べ、躍進の要因はプレッシャーと批判にあるとの考えを示した。
「彼には真のプレッシャーと批判が必要なようだ。それが功を奏している」
「メカニカルトラブルがなければ、モントリオールでもポイント圏内でフィニッシュしていただろう」
シューマッハはもともと、転向後の新しいカテゴリーでいきなり速さを示すようなドライバーではなく、段階を踏んで適応していくタイプとして知られていた。
欧州F3では初年度にランキング12位、そして翌年にチャンピオンシップを制した。FIA-F2選手権も同様で、ルーキーイヤーは12位ながらも、2年目にチャンピオンに輝いた。
更に言えば、ADACフォーミュラ4選手権(初年度10位、2年目2位)もMRFチャレンジ・フォーミュラ2000(初年度10位、2年目3位)も同じ様に2年目に飛躍した。
ヘルムート・マルコは「これはキャリアを通しての傾向で、フォーミュラ3でも似たような状況だった」と説明する。
「レースを重ねることで彼は突然、勝てるドライバーになったのだ。フォーミュラ2でも同じような事が起きた。それが彼のビルドアップのスタイルなのだろう」
シューマッハの勢いは覚醒と呼ぶに相応しいものなのか? フランスGP以降のパフォーマンスが注目される。