フェルスタッペン、”巧みな手口”でルクレールとの「張り詰めた」名勝負を制して逆転優勝
レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは第2戦F1サウジアラビアGPで4番グリッドからの逆転優勝を飾り、燃料系トラブルでリタイヤを余儀なくされた開幕バーレーンGPの雪辱を果たして今季初ポイントを手にした。
この日は父ヨスのF1デビュー戦(1994年3月27日の開幕ブラジルGP)から28年目の節目で、フェルスタッペン個人にとっての今季初優勝というだけでなく、レッドブル・パワートレインズとしての初優勝ともなった。
勝利を懸けたシャルル・ルクレール(フェラーリ)とのバトルは実に見応えのあるものだった。2人はホームストレートでのDRS使用権を巡り、最終コーナーに向けての直線区間で頭脳戦を繰り広げた。
3台が立て続けにメカニカルトラブルに見舞われた事で導入されたセーフティーカーを経てレースが再開されると、ここをチャンスと見たフェルスタッペンは、42周目の最終コーナーを前にルクレールをパス。だが、これに続くホームストレートでDRSを得たルクレールに抜き返され、再び2番手に後退した。
翌周も同じ展開になる事を防ぐべく、フェルスタッペンはルクレールに追いつきながらも敢えて最終コーナーを前に減速。ただフェルスタッペンの狙いを看破したルクレールも同じ様にアクセルを緩め、ホームストレートでの追い抜きを阻止した。
勝利の方程式は、最終コーナーで接近し、DRSを使ってホームストレートで抜き去る”巧みな手口”に絞られた。フェルスタッペンは46周目に何とかこれを成功させてターン1で追い抜くと、ファステストを記録してルクレールを引き離しにかかった。
だがルクレールも必死にこれに食らいつき、両者一歩も譲らぬ展開に。だが残り2周というタイミングでランス・ストロールとアレックス・アルボンがターン1で接触。これにより黄旗が振られ、セクター1での追い抜きのチャンスが失われた。
ヘルメットを脱いだフェルスタッペンは「今日のレースはタフでクレイジーだった。シャルルとのバトルは本当に楽しかったよ。追い抜くのは楽じゃないけど、我慢は何時だって必要だ。特にチャンピオンシップを懸けて戦いたいならね」とルクレールとの激闘を振り返った。
「序盤はついて行くのが大変だったけれど、ハードタイヤに履き替えてからはプッシュできるようになったしペースも良くなった。タイヤに関しては長い目で見てレースを組み立てていく必要があったけど、それが功を奏したように思う」
フェルスタッペンは最終コーナーの陣取り合戦について「”巧みな手口”を成功させるのは簡単じゃなかった」と付け加えた。
「最終的には前に出れたけど、その後も(シャルルは)常にDRSを使って攻めてきたし、最終ラップに黄旗が出た事で、どれぐらいアクセルを緩めれば良いのか、何が許されて何が許されないのかが分からず大変だった」
「レース終盤のバトルはまるで予選を何周も走っているような感覚で、張り詰めた展開になったけど、すごくクールだった。最終的に勝てたしチームとしてこの結果を誇りに思う。楽じゃなかったけど、今日は全てを出し尽くしたと思う」
フェルスタッペンはまた、セーフティーカーのタイミングに翻弄されキャリア初のポール・トゥ・ウインのチャンスを失ったチームメイトのセルジオ・ペレスに同情した。
「チェコはセーフティーカーのタイミングが悪く、本当に運が悪かったけど、これから先、いくらでも挽回できるよ。だってこの先にはまだたくさんのレースが控えているんだからね」
3月27日(日)にジェッダ市街地コースで行われた2022年F1サウジアラビアGPの決勝では、4番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転の今季初Vを飾り、2位にシャルル・ルクレール、3位にカルロス・サインツと、フェラーリが再びW表彰台に上がる結果となった。
アルバート・パーク・サーキットを舞台とする次戦F1オーストラリアGPの決勝は、4月10日(日)日本時間14時にスタートの時を迎える。