予選を終えてレッドブル・ホンダRB16Bから飛び降りるマックス・フェルスタッペン、2021年11月12日F1サンパウロGP予選にて
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フェルスタッペン「悪くない」2番手、焦点はあくまでも決勝…角田は4戦連続Q3叶わず / F1サンパウロGP《予選》結果とダイジェスト

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2021 FIA-F1世界選手権19戦サンパウロGP(旧ブラジルGP)の公式予選が11月12日にインテルラゴス・サーキットで行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンが1分7秒934のトップタイムを記録した。ただし、セッション終了後の車検で違反が見つかった事から予選失格処分が下された。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は0.438秒遅れの2番手と、タイトル争いのライバルに遠く及ばなかった。予選としては今季最大のギャップだ。ただし不満はないようだ。

インテルラゴス・サーキットを走るレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年11月12日F1サンパウロGP予選にてCourtesy Of Red Bull Content Pool

インテルラゴス・サーキットを走るレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年11月12日F1サンパウロGP予選にて

ヘルメットを脱いだフェルスタッペンは「当たり前の事だけど、新しいエンジンを搭載すれば若干パワーを上乗せする事が出来る」と述べ、5基目のICE(内燃エンジン)投入で決勝での5グリッド降格が決まっているハミルトンに言及した。

「2番手というのは悪くないスタートポジションだ。スプリント予選で得られるポイントは大した事はないから、僕としてはそれよりも兎に角、日曜のレースに向けて1周目を上手くやる事を目標にしている」

レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は、新品を積むハミルトンはFP1の段階から馬力の面で明らかな優位性があったとして「2番手は望み得るベストリザルトだと思っている。フロントローに並べたのだからそれでOKだ」と語った。

ハミルトンの決勝での5グリッド降格が決まっている以上、もとよりレッドブル・ホンダ勢は予選に注力する必要はなかった。見据えているのはあくまでも決勝だ。ホーナーは「我々には真っ当なレースカーがある」と付け加えた。

スプリント予選の週末では、初日午後の公式予選を以てクルマはパルクフェルメ下に置かれる。2日目以降にセットアップを変更する事は出来ない。

続報:ハミルトン、予選失格の危機

コンストラクターズ選手権を争うトップ2チームのセカンドドライバー対決は、1000分の14秒差でバルテリ・ボッタスが制した。セルジオ・ペレスは僅かに及ばず5番手に留まった。

アルファタウリ・ホンダ勢はピエール・ガスリーがまたもミッドフィールド最上位となる5番手タイムを刻んだ。その一方でチームメイトの角田裕毅は9番手でQ2に駒を進めるも、ターン1でタイヤをロックアップさせた事もあり13番手と及ばず、残念ながら4戦連続となるQ3進出は叶わなかった。

トップ5後方のタイムシートはチーム毎に綺麗に並んだ。

アルファタウリ・ホンダに次ぐ4番目のチームはスクーデリア・フェラーリだった。カルロス・サインツは0.134秒差を付けて6番手を獲得。シャルル・ルクレールを7番手に抑えた。

跳馬に続いたのは前戦メキシコGPでコンストラクター3位逆転を許したマクラーレンだ。ランド・ノリスはルクレールから100分の2秒落ちの8番手に留まった。ダニエル・リカルドはチームメイトに1000分の59秒届かず9番手となった。

トップ10最後の一枠に滑り込んだのはアルピーヌのフェルナンド・アロンソだった。Q2敗退を喫したチームメイトのエステバン・オコンは11番手という結果となった。

インテルラゴス・サーキットを周回するアルピーヌ勢、2021年11月12日F1サンパウロGPフリー走行1にてCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

インテルラゴス・サーキットを周回するアルピーヌ勢、2021年11月12日F1サンパウロGPフリー走行1にて

午前のFP1に引き続き現地サンパウロは黒い雲に覆われ、スプリント予選のグリッドを決する争いは気温15.8℃、路面25.7℃、湿度79%、気圧930hPa、セッション中の降水確率40%のドライコンディションでスタートした。

路面温度は1回目のフリー走行より10度近く低下した。インテルラゴスはターン10出口からターン6(約3.5km)までの区間の左フロントへの入力が殆どないため、左前輪タイヤを作動温度領域に入れられるかどうかが攻略のポイントとなる。

公式タイヤサプライヤーのピレリはハード(白色)にC2、ミディアム(黄色)にC3、ソフト(赤色)にC4コンパウンドを投入。スプリント予選の週末であるため予選タイヤはC4に限定された。

予選Q1:ラッセル、初の敗北

エントリーした全20台で争われる予選第一ラウンドQ1では、ハミルトンが後続にコンマ5秒差をつけてトップタイムを記録。ボッタス、サインツがこれに続いた。

ルクレールは一旦、暫定3番手タイムを刻んだが、予選を前に導入されたターン4のトラックリミットを超えたためタイム抹消となった。ただ、最終的には4番手でQ2進出を決めた。

ウィリアムズ勢は17・18番手とダブル敗退を喫したものの、ニコラス・ラティフィは35回目の挑戦で初めてジョージ・ラッセルを上回った。ラッセルがウィリアムズのチームメイトに予選で敗北したのは今回が初。

角田裕毅は僚友ガスリーに1000分の3秒差の9番手タイムをマークした。

Pos Driver Team Time Gap Laps
1 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:08.733 9
2 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:09.040 + 0.307 9
3 カルロス・サインツ フェラーリ 1:09.046 + 0.313 7
4 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:09.155 + 0.422 10
5 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダ 1:09.172 + 0.439 10
6 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:09.329 + 0.596 5
7 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ・フェラーリ 1:09.342 + 0.609 9
8 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:09.347 + 0.614 6
9 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 1:09.350 + 0.617 3
10 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:09.365 + 0.632 10
11 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:09.374 + 0.641 10
12 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:09.391 + 0.658 7
13 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:09.430 + 0.697 8
14 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 1:09.451 + 0.718 9
15 キミ・ライコネン アルファロメオ・フェラーリ 1:09.598 + 0.865 9
16 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:09.663 + 0.930 9
17 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:09.897 + 1.164 9
18 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 1:09.953 + 1.220 10
19 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:10.329 + 1.596 11
20 ニキータ・マゼピン ハース・フェラーリ 1:10.589 + 1.856 10

予選Q2:角田、4戦連続Q3叶わず

ハミルトンは1回目の計測ラップでターン4のトラックリミットを超えたため、1分8秒659が抹消されたものの、タイヤを変えずに挑んだ2回目のラップで前走車のトウを掴みトップタイムを刻んだ。

ペレスは1回目に中古のソフトタイヤを履いて8番手をマーク。角田裕毅は12番手とドロップゾーンに沈んだ。

ペレスは新品を履いた2回目に自己ベストを更新して6番手にポジションを上げたが、角田裕毅はターン1でタイヤをロックアップさせた事もありタイムを改善できず、0.346秒差の13番手で4戦連続Q3を逃した。5番手突破を果たしたガスリーとのギャップは0.58秒だった。

Pos Driver Team Time Gap Laps
1 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:08.068 17
2 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:08.426 + 0.358 17
3 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:08.499 + 0.431 11
4 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:08.859 + 0.791 16
5 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:08.903 + 0.835 12
6 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダ 1:08.973 + 0.905 16
7 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:09.030 + 0.962 16
8 カルロス・サインツ フェラーリ 1:09.031 + 0.963 13
9 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:09.093 + 1.025 16
10 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:09.137 + 1.069 13
11 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:09.189 + 1.121 14
12 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 1:09.399 + 1.331 15
13 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 1:09.483 + 1.415 9
14 キミ・ライコネン アルファロメオ・フェラーリ 1:09.503 + 1.435 15
15 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ・フェラーリ 1:10.227 + 2.159 14
16 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:09.663 9
17 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:09.897 9
18 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 1:09.953 10
19 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:10.329 11
20 ニキータ・マゼピン ハース・フェラーリ 1:10.589 10

予選Q3:フェルスタッペン改善できず

1回目のラップを終えて全セクターで全体ベストを刻んだハミルトンがフェルスタッペンを0.265秒抑えてトップに立った。どういうわけか、フェルスタッペンはターン8を前にフロントタイヤがオーバーヒートで「完全に逝ってしまった」と報告した。

1セット目に中古を履いたルクレールは10番手。ペレスはガスリーのトウを得て暫定4番手につけた。

最終アタックに向けてはアロンソが先陣を切ってコースイン。フェラーリ勢、ガスリー、レッドブル・ホンダ勢、メルセデス勢、マクラーレン勢の順に続いた。

ハミルトンは自己ベストを更に縮めたが、フェルスタッペンは改善できず2番手に甘んじた。ペレスはガスリーと並んでタイムを削ったものの、ボッタスには1000分の14秒及ばず4番手でヘルメットを脱いだ。

ただし予選トップタイムのハミルトンがリザルトから除外されたため、上記の順位は全て一つずつ繰り上がる事となった。

2021年 F1サンパウログランプリ2回目のフリー走行は、日本時間11月13日(日)24時より1時間に渡ってインテルラゴス・サーキットで行われる。

2021年F1第19戦サンパウロGP予選リザルト

Pos No Driver Team Q1 Q2 Q3 Laps
NC 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:08.733 1:08.068 1:07.934 23
1 33 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:09.329 1:08.499 1:08.372 17
2 77 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:09.040 1:08.426 1:08.469 23
3 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダ 1:09.172 1:08.973 1:08.483 22
4 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:09.347 1:08.903 1:08.777 18
5 55 カルロス・サインツ フェラーリ 1:09.046 1:09.031 1:08.826 19
6 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:09.155 1:08.859 1:08.960 22
7 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:09.365 1:09.030 1:08.980 22
8 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:09.374 1:09.093 1:09.039 22
9 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 1:09.391 1:09.137 1:09.113 19
10 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 1:09.430 1:09.189 14
11 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 1:09.451 1:09.399 15
12 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 1:09.350 1:09.483 9
13 7 キミ・ライコネン アルファロメオ・フェラーリ 1:09.598 1:09.503 15
14 99 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ・フェラーリ 1:09.342 1:10.227 14
15 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 1:09.663 9
16 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 1:09.897 9
17 63 ジョージ・ラッセル ウィリアムズ・メルセデス 1:09.953 10
18 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:10.329 11
19 9 ニキータ・マゼピン ハース・フェラーリ 1:10.589 10

コンディション

天気曇り
気温15.8℃
路面温度25.7℃

セッション概要

グランプリ名 F1サンパウロGP
セッション種別 予選
セッション開始日時

サーキット

名称 インテルラゴス・サーキット
設立 1936年
全長 4309m
コーナー数 15
周回方向 反時計回り

F1サンパウロGP特集