インテルラゴス・サーキットを周回するメルセデスのルイス・ハミルトン、2021年11月12日F1サンパウロGPフリー走行1にて
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ハミルトン5基目開封の理由は? 中東3連勝に向けた戦略的降格か…レッドブル・ホンダは浮かれず静観

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ルイス・ハミルトンは何故、インテルラゴスでの週末に先立って5基目のICE(内燃エンジン)を開封してグリッド降格ペナルティを受けたのか? メルセデスのトト・ウォルフ代表の発言からは、最終盤の中東3戦での勝利を狙った戦略的決断と読み取れる。

F1第19戦サンパウロGP(旧ブラジルGP)でチャンピオンシップリーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)との19点差を縮めたいハミルトンだが、FP1に先立って新たなICEの投入が発表された。日曜に行われる71周の決勝レースで5グリッド降格が科せられる。

トト・ウォルフ代表は予選前唯一のプラクティスであるFP1を終えて、ユニットを交換したのは故障があったからではなく、パフォーマンスが徐々に低下していたからだと説明した。

「我々のエンジンにはデグ(劣化)がある。シーズンの最後までパワーが低下し続ける事になる。理由はまだ理解できていないが、兎に角、徐々にそうなっている事が確認できている」

「具体的な説明に踏み込むつもりはないが、どのエンジンも劣化しており、過去数年間に渡る傾向では、1,000kmを超えると数キロワットが失われる事が分かっている。今年は過去数年の平均値よりも遥かに大きな劣化があり、それは週末ごとに増加している」

「このままこのエンジンを使い続ければ、サウジアラビアやアブダビで競争力を失う事になるだろう」

「(ブラジルでICEを変更することで)より多くのポイントを獲得できると考えている」

ウォルフはまた、この先のレースでハミルトンが利用可能なエンジンは2基と認めた上で「FP1で見たように我々には優れたストレートライン速度がある」と述べ、巻き返しに一定の自信を示した。

ハミルトンとしてはサンパウロGPにおいて、スプリント予選とファステストラップ・ポイントの合計点でフェルスタッペンに3点差以上をつけ、2位フィニッシュする事が一つの目標となる。

これが達成できれば自力優勝の望みを次戦カタールに繋ぐ事が可能で、最終3戦で満額ポイントを達成し続ければ8冠目に手が届く計算だ。ただその一方で、理論上可能な最上位グリッドである6番手のままレースを終えれば自力優勝の可能性は潰える事になる。

ハミルトンの自力優勝継続条件

フェルスタッペンは過去2戦で優勝を飾ってラスト4レースを前にチャンピオンシップのリードを19ポイントに広げるなど、シーズンフィナーレに向けて好調を見せている。

インテルラゴスの週末はハミルトンを更に引き離すための好機となるが、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は「我々に何も影響しない」と浮かれた様子を見せていない。

ホーナーはフェルスタッペンが既に開封済みの4基目のエンジンで最終アブダビGPまでを乗り切れる予定だと説明した上で、ハミルトンのペナルティに関して「我々としては兎に角、できる限り最高の仕事をすることに集中するだけだ」とのみ口にした。

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