リタイヤに「ある意味」安堵するランド・ノリス、2日間飲まず食わずで一時3番手も
ランド・ノリス(マクラーレン)のF1サンパウロGPは、食中毒の影響で2日間に渡って何も食べられない状況の中、予選4番手という「完璧な仕事」をしたにも関わらず、接触事故の挙げ句にテクニカルトラブルでリタイヤを強いられるという最悪の形で幕を閉じたが、心の何処かで安堵感を感じている。
体調が優れずノリスは木曜のメディアデーを欠席した。マクラーレンは不測の事態に備えてニック・デ・フリースを待機させたが、ノリスは奇跡的に全てのセッションでMCL36のステアリングを握った。
僅か60分間のプラクティスを経て臨んだ予選では、チームメイトのダニエル・リカルドがQ2敗退を喫する中、Q3へと駒を進めて4番手を刻んだ。更に、続くスプリントでは中団最上位の7位をキープしてみせた。
だが決勝では、1回目のセーフティーカーからの再開時にターン6のイン側縁石に乗り上げアンダーステアとなり、アウト側にいたシャルル・ルクレール(フェラーリ)と接触。「全面的な責任」があるとして5秒ペナルティと2点のペナルティポイント(累積3点)を科された。
レース後、接触についてノリスは「もうあと5センチ、スペースを与えることができたかもしれないけど、彼の方も、もう5センチを与える余地があったかもしれない」と述べ、ルクレールにも責任の一部があったと主張した。
「彼はコーナーへの進入の際に僕を追いやろうとしてきた。彼は僕がラインに留まりきれない可能性を少し予想すべきだったかもしれない。僕としては最善を尽くした」
「詰まるところ、あれはちょっとしたレーシングアクシデントだったと感じている」
ルクレールの方はスピンを喫してバリアに衝突した。ノリスは「彼が調子を落としたのは残念だよ。そんな事、望んじゃいないんだ」と付け加えた。
ノリスのMCL36もまた、接触によりステアリングに「僅か」ながらも問題があった可能性があるようだが、結局のところこの日は接触の有無に関わらず「兎に角、遅すぎた。クルマは全く機能しなかった」と言う。
そんな状況に置かれてなお、ノリスは一時は3番手を走行し、終盤に向けてポイントを争っていたが、残り20周というタイミングで電気系統のトラブルに見舞われリタイヤを強いられた。
ただ、仮にそれがなかったとしても「ポイント圏内でフィニッシュできたとは思えない」ほどにこの日はペースが悪かったという。
体調も万全ではなかった。The Raceによるとノリスは「かなり酷い状態だった」イベント2日目、すなわち23歳の誕生日を経て、決勝当日はある程度、調子を取り戻したが、それでも木曜と金曜の2日間は飲まず食わずだったという。
「特に木曜日から2日間は、何も食べず、何も飲まずで、体重は3.5kg、4kg近くも減ってしまった。本当にキツかった」とノリスは明かした。
チームメイト共々、リタイヤに終わった事でマクラーレンはアルピーヌとのコンストラクター4位争いで一層、厳しい状況に置かれた。ポイント差は19点にまで拡大した。
それでもノリスは、電気系統と思われるトラブルが発生した事にある種の安堵感を抱いている。
「もし故障せずにレースを終えていたら、(体調が)かなり酷い状態になっていたと思う。だからある意味、そうならずにラッキーだった。残念でもあるけどね」
11月13日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2022年F1第21戦サンパウロGPの決勝レースではジョージ・ラッセルがキャリア初優勝を飾り、2位にルイス・ハミルトンが続いた事で、メルセデスが1-2フィニッシュを飾った。3位表彰台にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が滑り込んだ。
ヤス・マリーナ・サーキットを舞台とする次戦、今季最終アブダビGPは11月18日のフリー走行1で幕を開ける。