1年ぶりの接触…フェルスタッペンとハミルトンの言い分、好敵手との好レース期待もペナポ付き罰則
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が接触事故を引き起こしたのは約1年ぶりだった。懸命の努力が実り、メルセデスが遂に今季初優勝を狙える絶好のチャンスを手にした途端にそれは起きた。
2位を狙うフェルスタッペンはF1サンパウロGPの7周目のターン1で大外刈りを仕掛け、そのままターン2のイン側に飛び込んだ。
お互いに全く譲らず接触へと至り、フェルスタッペンはフロントウイングの交換を余儀なくされ6位でフィニッシュし、ハミルトンは8番手にまで後退するもコースに留まり、チームメイトのジョージ・ラッセルに次ぐ2位でチェッカーを受けた。
過失の「大部分」はフェルスタッペン
インシデント発生直後、ハミルトンは無線を通して「あれはレーシングアクシデントではない」と主張。審議が行われた。
スチュワードは、ターン1へのブレーキングが「非常に遅かった」ために、ターン2に向かうフェルスタッペンの車速はオーバースピードだったと断じた。
ハミルトンに関してはもう少しスペースを与える余地があったと指摘したが、「過失の大部分」はフェルスタッペンにあるとして、5秒ペナルティとペナルティポイント2点を科す裁定を下した。過去12ヶ月の累積は7点に達した。
両者がコース上で接触したのは昨年の同じく最終2戦前のサウジアラビアGP以来、約1年ぶりの事だった。
唯我独尊の”ゼロポッド”コンセプトを採用した今年のメルセデスは競争力を欠き、長きに渡ってレッドブルとフェラーリによるトップ争いの蚊帳の外に置かれていたため、コース上で接近する事すら稀だった。
一緒に良いレースが…とフェルスタッペン
昨シーズンの熾烈なタイトル争いが記憶に新しいだけに、接触の背景に個人的な感情が疑われるところだが、Sky Sportsとのインタビューの中でフェルスタッペンは「一緒に良いレースができる」との期待を胸にステアリングを握っていたと主張した。
ただその思いは、ターン1で仕留め損ねた直後に変わったという。
「アウト側から回り込んでいった瞬間、彼はスペースを残してくれないだろうなって予感がした。でも一か八かでそのまま行くことにしたんだ」とフェルスタッペン。
「実際、スペースを残してはくれず、接触を覚悟した」
フェルスタッペンは、自身にスペースを残さなかったためにハミルトンが優勝を逃したと考えている。
「その結果、彼は優勝を逃し、僕は5秒を受ける事になったけど、あまりにもペースが遅かったから(ペナルティによる自身の)レースへの影響は何もなかったと思う」
「でも残念だよ。一緒に良いレースができると思っていたのに、(ハミルトンは)明らかにそうする気がなかったんだから」
矛先が向くのは当然、とハミルトン
優勝したチームメイトの背後でチェッカーを受けたハミルトンは「特に言うことはない」とした上で、接触によりリアのフィーリングが変わったと感じたために一瞬、リタイヤを覚悟したと振り返った。
また、芝生を乗り越え飛び出した後のコースに戻る道中では「チームに”あの信じられないような結果”(1-2フィニッシュの事)をもたらすために何ができるかという事だけを考えていた」として、「後退したことじゃなく、どう立ち上がるかに集中する事が大切なんだ」と付け加えた。
フェルスタッペンは今年、特にシーズン序盤はシャルル・ルクレール(フェラーリ)と激しいタイトル争いを繰り広げていたが、昨年のハミルトンとのそれで生じたような接触事故を起こす事はなかった。
目の敵にされているのか。7度のF1ワールドチャンピオンは「心配していない」として「成功を収めて胸に数字を刻めば、少しばかり矛先が向けられるのは当然だ」と述べ、フェルスタッペンとの間に特段の問題はないと主張した。
11月13日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われた2022年F1第21戦サンパウロGPの決勝レースではジョージ・ラッセルがキャリア初優勝を飾り、2位にルイス・ハミルトンが続いた事で、メルセデスが1-2フィニッシュを飾った。3位表彰台にはカルロス・サインツ(フェラーリ)が滑り込んだ。
ヤス・マリーナ・サーキットを舞台とする次戦、今季最終アブダビGPは11月18日のフリー走行1で幕を開ける。