インテルラゴス・サーキットでレースを戦う角田裕毅(アルファタウリ)、2022年11月13日F1サンパウロGP決勝レース
Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅がアンラップを許可されなかった「特異」な理由…FIA、改善に向けて議論へ

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角田裕毅(アルファタウリ)は何故、F1サンパウロGPのセーフティーカー(SC)導入時にアンラップを許可されなかったのか? それは「予測不能なシナリオ」が発生したためだった。

ランド・ノリス(マクラーレン)のマシンストップに伴い、インテルラゴス・サーキットでのレースは55周目にSCが導入された。不可解な状況はこのSCリスタートに向けて発生した。

角田裕毅はウィリアムズ勢と並び周回遅れとなっていたが、リードラップを取り戻す事が許されたのはアレックス・アルボンとニコラス・ラティフィのみで、角田裕毅は集団の中に埋もたままとなった。

RaceFansによるとFIAは「これは非常に珍しいシナリオ」であり、「すべてのシステムは正しく、レギュレーションに従って機能した」とした上で、この”異常な状況”は「サーキット及びシナリオの特異性の結果として生じた」と説明した。どういう事なのか?

FIAによると角田裕毅はSC導入後、誰よりも先に第1SCラインを通過。翌周も同じ様に先頭でラインを駆け抜けた。これによって競技規約が定めるラップバックの許可条件を満たした。55条13項には以下のように記されている。

「セーフティカー導入後、第1セーフティーカーラインを2回目に越えたラップ最後のコントロールラインを越えた時に周回遅れとなっていたマシンに限られる」

だが、この際に角田裕毅はメインストレートへと向かわずタイヤ交換のためにピットレーンに進入。これによってSC先導下を走行していた先頭車両、ジョージ・ラッセル(メルセデス)よりも速くピットレーン内のコントロールラインを通過してリードラップに戻る形となった。

2022年F1サンパウロGP舞台、インテルラゴス・サーキットのセーフティーカーラインの位置copyright FIA

インテルラゴス・サーキットのセーフティーカーラインの位置関係

タイヤ交換を終えてコースに復帰した際には周回遅れとして戻ったものの、一旦システム上で”アンラップ”が記録されたために、再開に向けて再びアンラップする事が許可されたなかったというわけだ。

FIAは「即時」の変更こそ除外しながらも、改善に向けて次回以降のFIAスポーティング諮問委員会の議題に挙げる予定だと説明した。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のタイトル争いを巡る2021年の最終アブダビGPでの騒動を受け、FIAは周回遅れのマシンを把握・管理するための自動化システムを導入している。

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