F1レギュレーション解説「運営・オフィシャル編」レースディレクターやスチュワードの役割とは?
F1グランプリレースは参加するチームとドライバーだけでは成立し得ず、運営組織とスタッフが必要だ。F1では競技レギュレーションで定められている通り、国際自動車連盟(FIA)がレース週末を運営・指揮・主催する。
ここではレースを管理・監督する競技役員、通称オフィシャルに関連する規定を紹介し、以下にその要点をまとめる。
7名の競技役員とその役割
各グランプリには7名の主要レースオフィシャルが配置される。その役割はレースの運営並びに、スチュワード及びマーシャルの活動を監視・監督する事にある。
指名組織 | 役職名 | 人数 |
---|---|---|
FIA | レースディレクター | 1名 |
スターター | 1名 | |
スチュワード | 3名 | |
ASN | スチュワード | 1名 |
コース・クラーク(競技長) | 1名 |
7名のオフィシャルはFIAスーパーライセンス保持者に限られ、FIA及びFIA公認の各国のモータースポーツ管轄団体(ASN)が指名する。
競技審判を務めるスチュワード
レース中のインシデントの調査を行い、ペナルティーの有無やその内容を判断するスチュワードは、各グランプリ毎に4名が配置される。
FIAが指名するスチュワード3名のうちの1名が主席スチュワードを務める。またもう1名は経験豊かな元ドライバー、ドライバースチュワードでなければならない。4名の内の1名はレース開催国のASNが指名する。
審議の際は、映像証拠やテレメトリー、チーム無線などの客観的材料のほか、当事者並びにチーム代表者からの聴取が行われるのが一般的だ
レースディレクターとコースクラークの役割
レースディレクターはレース運営の最高責任者であり、主に以下の内容を業務として、各々の最終決定権を持つ。
- 各セッションの指揮、中止及び再開判断
- タイムテーブル修正提案
- 競技者に対する各種の指示・連絡
- レーススタート手順
- セーフティーカーの導入と解除
コースクラークはレースディレクターの相談役で、レースディレクターの同意がある場合にのみ、代わって競技者に各種の指示を行う事ができる。
レースディレクター、コースクラーク、および主席スチュワードの3名は、マシンがコース上にいる際、常に無線で連絡を取り合わなければならない。
またコースクラークに対してはこれとは別に、レースコントロール本部及びマーシャルと常時無線で連絡を取り合う事が義務付けられている。
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