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一部では、史上最大レベルと言われる程大規模なレギュレーション変更が行われた2017年シーズン。「より速く」を目的として、タイヤとボディーワークを中心に大きな見直しが行われ、昨シーズンと比較して一周辺り3秒から5秒速くなると見積もられている。以下、16年シーズンからの変更点をメインに、レギュレーションを確認していく。
なおレギュレーションの全てについて詳細に知りたい方は、F1レギュレーション完全網羅版を参照されたい。
レギュレーション変更の方向性
人気低下が叫ばれるF1の復権をいかに成し遂げるか?多くの議論の上に導かれた方向性は「より速く」である。では、どのようにしてマシンを速くするのか?大きくは2点。
1,タイヤグリップの向上
仮に16年マシンに一切手を入れなくても、タイヤのグリップが大きくなりさえすれば、1周あたりのタイムを上げることができる。タイヤのグリップを上げるには、タイヤの組成を変更することも一つであるが、地面との接地面積を大きくすること、すなわちタイヤ自体を大きくしてしまえば良い。16年シーズンと比較して、フロント側のタイヤ幅は325mmから405mmに、リア側のタイヤ幅は245mmから305mmに拡大される。
©F1
2,ダウンフォースの増加
F1は、直線コースをいかに速く走れるかを競うドラッグレースではないし、NASCARのように円周形状のコースをひたすらグルグル回り続けるモータースポーツでもない。直線コースがありつつも、左コーナー・右コーナーが連続するような多彩なレイアウトを持つサーキットで行われるレースである。F1における”速さ”とは、如何にしてコーナーを速く駆け抜けられるかにかかっている、と言っても過言ではない。ではコーナー速度を上げるにはどうしたら良いだろう?そう、ダウンフォースを増やすことが必要になる。
ダウンフォースを上げるために手っ取り早いのは、マシン幅及び、フロントウイング・リアウィングを大きくすることである。全体として、幅は広くに、高さは低く、全長は長くなる。ボディーサイズに関する詳しい規定については、F1レギュレーション-ボディーワーク編を参照されたし。
- マシン幅
- 1,800から2,000mmに変更
- Fウイング幅
- 1,650から1,800mmに変更
- Rウイング幅
- 750mmから950mmに変更
レギュレーション変更の主要ポイントを確認したところで、その他の注目すべき変更内容をみていこう。
パワーユニット開発制限撤廃
HONDA参戦3シーズン目となる2017年、パワーユニット(PU)絡みの目玉は「トークンシステムの廃止」だろう。17年からはシーズン中の開発制限が廃止され、実質的に無制限に開発・アップデートが可能になった。これによりルノーに至っては、17年版PUは16年版PUと比較して95%異なるものになっているという。ホンダ・フェラーリ・ルノー勢のパワーユニットに要注目である。
パワーユニット交換は年間4基まで
年間のPU交換回数は、16年の5基から1基削減され4基となるため、今まで以上にPUの信頼性が重要となる。
パワーユニットを構成する6つのコンポーネントを内、どれか一つが5基目以上に達するとグリッドペナルティーとなる。シーズン最初の5基目投入時には10グリッドペナルティ、最初に5基目投入となったコンポーネント以外で、かつそのコンポーネントの5基目投入時には5グリッドペナルティ、シーズン最初の6基目投入時には10グリッドペナルティ、以下同様の形式でペナルティーが科せられる。
PUストック作戦の禁止
PU交換規定回数を超える交換が必要な場合グリッドペナルティが科せられるわけだが、昨年までに見られたような単一レースイベント内で複数回のPU交換を行い、一度に大量のペナルティを消化することによって次戦以降のペナルティを回避する戦略は実質禁止された。
ウェットレースでのスタンディングスタート
降雨によってレーススタート時にセーフティカーが必要になる場合、コース上の安全が確認され次第、ローリングスタートではなく通常のスタンディングスタートによってレースが再開されることになった。詳しく知りたい方は、2017年F1レギュレーション-セーフティーカー編をご覧あれ。
ヘルメットのカラー変更
ドライバーが自由にヘルメットのデザインを変更できるようにしてしまうと、ファンにとっては見分けがつかなくなってしまうため、シーズンを通してヘルメットのデザインを統一することが義務付けられていたが、2017年シーズンでは、ホームレースのような特別なグランプリに限り、一度だけ変更が許可された。