レッドブル・レーシングのガレージ内で走行の様子を見守るF1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンとモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ、2022年2月25日F1バルセロナテストにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル「文化的に異なる国」へのF1売却に否定的…サウジによる買収報道を受け

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サウジアラビアによるF1買収報道を受けレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、F1が「文化的に異なる国」に買収されることに否定的な立場を示した。

今月下旬、サウジアラビアの公的投資基金「PIF」が200億ドル超(約2兆5,900億円)を投じてリバティ・メディアからF1を買収する事を検討していたとの報道がなされた。交渉は不成立に終わったが、F1が売りに出されればPIFは入札を行う用意があるという。

独「RTL/ntv」とのインタビューの中でマルコは、これほどの価格でのオファーが「あったであろう」ことは、近年世界的に大きな成長を遂げているF1にとって良い兆候だとする一方で次のように述べ、「文化的に異なる国」が新たなオーナーになるのは好ましくないとの考えを示した。

「大部分のレースが行われている場所と文化的に異なる国がオーナーになるのは、あまり良いことではないと思う」

「それに一般的には商業的なものだから、言ってみればより普通の基準を満たす企業の方が実現の可能性が高い」

2023年のF1カレンダーには全部で23のイベントが並ぶ。この中で最も多い地域は10箇所のヨーロッパで、これに6箇所のアメリカ大陸が続く。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める政府系ファンド、PIFがニューカッスル・ユナイテッドFCを買収し、ボクシング、ゴルフ、F1などの世界的人気イベントを開催するなどスポーツに多額の投資を行っている事については「スポーツ・ウォッシング」との人権団体からの批判が絶えない。

この買収報道は新規参戦チームの認証やルール改定などの権力を巡り対立し続けるF1とFIAとの闘争に火を注ぐ結果となった。

100年契約でF1の商業権を貸与しているFIA率いるモハメド・ベン・スレイエム会長はSNSという公の場を使い、PIFによるF1の評価額は不適当に高いと広く訴え、潜在的な購入希望者に対して「常識を働かせる」よう呼びかけ、「明確で持続可能な計画」を提示する必要があると警告した。

これに対してF1とリバティは、商業権に対する「干渉」であり証券取引法に抵触し得るものであるとして、最高法務責任者を通してFIAに猛抗議の書簡を送りつけた。

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