FIA-F1世界選手権20戦カタールGPの公式予選が11月20日に行われ、メルセデスのルイス・ハミルトンが全セクターで最速を叩き出す1分20秒827を記録。9戦ぶりのポールポジションを獲得すると共に、ロサイル・インターナショナル・サーキットでの初代ポールシッターに輝いた。
2番手はマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)。タイトル争いのライバルに対して0.455秒という大差で敗北した。チームメイトのセルジオ・ペレスに至っては11番手でのQ2敗退と、チームとしては窮地に立たされたとも言えるが、14点差のポイントリーダーは何も諦めてはいない。
予選後のグリッドインタビューに応えたフェルスタッペンは「ペースがなかった。チェコ(ペレス)はQ3にすら進めていないし、いつもより少し苦戦してるけど、それでも2番手なんだから勝負はまだこれからだ。分からない事だらけだから、兎に角、スタートに集中して状況を見極めるしかない」と前を向いた。
また、チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは「ルイスの最後のラップは驚異的だったが、彼らのストレートライン速度は少しずつ落ちてきていて、今は我々と似たようなレベルだ。ルイスはターン6・7で全てを稼ぎ出していた」と述べ「明日はターン1に向けてのスタートでチャンスがある」と付け加えた。
とは言え圧倒的に不利な状況は変わらない。レーシングライン側ではない偶数列グリッドの路面はダスティーでグリップ不足が予想される。また、オーバーテイクが困難と見られているため、決勝で挽回するには2台を駒に戦略を駆使する必要があるものの、肝心のペレスは中団に沈んだ。
FP2とFP3を連取しながらも3番手に留まったバルテリ・ボッタス(メルセデス)の次のコメントが全てを物語っている。
「僕とルイスはクリーンサイドからのスタートだ。グリップが良い事を願うよ。僕らはマックスに対して2台で戦う事になる。楽しみだ」
レッドブルが厳しい結果に終わった一方、同じホンダF1パワーユニットを搭載するアルファタウリは望み得る最上に近いグリッドを手にした。
角田裕毅はQ3進出を果たし、エステバン・オコン(アルピーヌ)とセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)を退け8番手を獲得した。ピエール・ガスリーはターン15の縁石に乗り上げた瞬間に右フロントタイヤのパンクに見舞われる不運で予選を終えたものの、100分の3秒差でフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)を抑える中団最速となる4番手をマークした。
レッドブルと同じ様に、マクラーレンとフェラーリもチームメイト間で明暗が分かれた。
ランド・ノリスは6番手と健闘したが、ダニエル・リカルドは14番手でQ2敗退に終わった。またカルロス・サインツは7番手タイムでノリスに迫ったが、シャルル・ルクレールは13番手でQ2ノックアウトを喫した。
午前のFP3に引き続き現地ドーハは晴れ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温26℃、路面29.6℃、湿度66.4%のドライコンディションでスタートした。
公式タイヤサプライヤーのピレリは初開催で過去のデータがないロサイルに対し、ハード(白色)にC1、ミディアム(黄色)にC2、ソフト(赤色)にC3と、最も硬いレンジのコンパウンドを投入した。
トラックリミットはターン2・7・16の出口に設定された。各箇所にある紫/白の縁石に触れていれば問題ないが、これを乗り越え離れるとコース域外走行と見なされタイムが抹消された。ターン16に関しては翌周のタイムも合わせて取り消された。
予選Q1:唯一ミディアムを履いたガスリー
エントリーした全20台で争われるQ1では、ハースの2台が先陣を切ってコースに向かった。
FP1でのコースオフが引き金となり、モノコックとパワーコントローラーの交換を余儀なくされFP2とFP3を失ったニキータ・マゼピンは、チームに感謝の言葉を告げて計測に向かったものの、フロントウイングの左翼端板を落として早々にピットへと戻り、最終的には19番手タイムを残した僚友ミック・シューマッハから2.452秒遅れの20番手最下位に終わった。
最終アタックでは最終ターン16を前に大渋滞が発生した。路面のインプルーブは大きく、後半はタイムシートが慌ただしく入れ替わった。
ガスリーは唯一、ミディアムタイヤで計測を行い、角田裕毅に次ぐ8番手でQ2進出を決めた。トップ通過はハミルトン。2番手にはフェルスタッペンが続いた。レッドブル・ホンダは1セットのみ新品を使って1ランのみ消化した。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 1:21.901 | 6 | |
2 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:21.996 | + 0.095 | 6 |
3 | ボッタス | メルセデス | 1:22.016 | + 0.115 | 8 |
4 | サインツ | フェラーリ | 1:22.304 | + 0.403 | 9 |
5 | ペレス | レッドブル | 1:22.398 | + 0.497 | 6 |
6 | アロンソ | アルピーヌ | 1:22.422 | + 0.521 | 6 |
7 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:22.458 | + 0.557 | 6 |
8 | ガスリー | アルファタウリ | 1:22.535 | + 0.634 | 8 |
9 | ベッテル | アストンマーチン | 1:22.549 | + 0.648 | 9 |
10 | ストロール | アストンマーチン | 1:22.551 | + 0.650 | 9 |
11 | オコン | アルピーヌ | 1:22.565 | + 0.664 | 6 |
12 | リカルド | マクラーレン | 1:22.688 | + 0.787 | 8 |
13 | ルクレール | フェラーリ | 1:22.742 | + 0.841 | 9 |
14 | ノリス | マクラーレン | 1:22.839 | + 0.938 | 7 |
15 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:22.863 | + 0.962 | 10 |
16 | ライコネン | アルファロメオ | 1:23.156 | + 1.255 | 9 |
17 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:23.213 | + 1.312 | 10 |
18 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:23.262 | + 1.361 | 8 |
19 | シューマッハ | ハース | 1:23.407 | + 1.506 | 9 |
20 | マゼピン | ハース | 1:25.859 | + 3.958 | 9 |
予選Q2:ペレスがまさかの敗退
メルセデス、レッドブル・ホンダ、フェラーリ、マクラーレンの計8台はミディアムを履いてコースに向かった。ボッタスとサインツを除いて他は全て、2セット目にソフトを履いた。
1セット目のミディアムで暫定12番手とノックアウト・ゾーンに沈んだペレスは、ソフトタイヤでQ3進出を目指したものの、0.105秒足らず11番手で衝撃の敗退を喫した。レッドブルとしては、決勝でメルセデス勢とやり合う上で欠かせぬ駒を失った形だ。
僚友サインツがミディアムでの突破を果たしながらも、ソフトを履いて13番手でノックアウトしたルクレールは「何が起きていたのか全く分からない」とショックを受けた様子を見せた。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ハミルトン | メルセデス | 1:21.682 | ||
2 | ガスリー | アルファタウリ | 1:21.728 | + 0.046 | 14 |
3 | アロンソ | アルピーヌ | 1:21.894 | + 0.212 | 12 |
4 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:21.984 | + 0.302 | 12 |
5 | ボッタス | メルセデス | 1:21.991 | + 0.309 | |
6 | オコン | アルピーヌ | 1:22.012 | + 0.330 | 12 |
7 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:22.058 | + 0.376 | |
8 | ベッテル | アストンマーチン | 1:22.146 | + 0.464 | 15 |
9 | ノリス | マクラーレン | 1:22.216 | + 0.534 | 15 |
10 | サインツ | フェラーリ | 1:22.241 | + 0.559 | |
11 | ペレス | レッドブル | 1:22.346 | + 0.664 | 12 |
12 | ストロール | アストンマーチン | 1:22.460 | + 0.778 | 15 |
13 | ルクレール | フェラーリ | 1:22.463 | + 0.781 | |
14 | リカルド | マクラーレン | 1:22.597 | + 0.915 | 15 |
15 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:22.756 | + 1.074 | 16 |
予選Q3:他を圧倒したハミルトン
先頭で計測に向かい、第2・3セクターで100分の8秒ずつ稼いだハミルトンがフェルスタッペンを交わして暫定ポールに立った。その後ろにはボッタスとガスリーが続いた。角田裕毅は中古を履いた4台の中で2番目となる暫定8番手に付けた。
ハミルトンは最終アタックでも先陣を切った。一方のフェルスタッペンは路面からのアドバンテージをギリギリまで搾り取るべく、最終走者となる事を選んだが、ハミルトンには届かなかった。
2021年 F1カタールグランプリ決勝レースは、日本時間11月21日(日)23時にスタート。1周5,380mのロサイル・インターナショナル・サーキットを57周する事でチャンピオンシップを争う。
2021年F1第20戦カタールGP予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 1:21.901 | 1:21.682 | 1:20.827 | 18 |
2 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:21.996 | 1:21.984 | 1:21.424 | 18 |
3 | 77 | ボッタス | メルセデス | 1:22.016 | 1:21.991 | 1:21.478 | 20 |
4 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 1:22.535 | 1:21.728 | 1:21.640 | 19 |
5 | 14 | アロンソ | アルピーヌ | 1:22.422 | 1:21.894 | 1:21.670 | 18 |
6 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:22.839 | 1:22.216 | 1:21.731 | 21 |
7 | 55 | サインツ | フェラーリ | 1:22.304 | 1:22.241 | 1:21.840 | 21 |
8 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 1:22.458 | 1:22.058 | 1:21.881 | 18 |
9 | 31 | オコン | アルピーヌ | 1:22.565 | 1:22.012 | 1:22.028 | 18 |
10 | 5 | ベッテル | アストンマーチン | 1:22.549 | 1:22.146 | 1:22.785 | 21 |
11 | 11 | ペレス | レッドブル | 1:22.398 | 1:22.346 | 12 | |
12 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 1:22.551 | 1:22.460 | 15 | |
13 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:22.742 | 1:22.463 | 15 | |
14 | 3 | リカルド | マクラーレン | 1:22.688 | 1:22.597 | 15 | |
15 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 1:22.863 | 1:22.756 | 16 | |
16 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 1:23.156 | 9 | ||
17 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:23.213 | 10 | ||
18 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 1:23.262 | 8 | ||
19 | 47 | シューマッハ | ハース | 1:23.407 | 9 | ||
20 | 9 | マゼピン | ハース | 1:25.859 | 9 |
コンディション
天気 | 晴れ |
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気温 | 26℃ |
路面温度 | 29.6℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1カタールGP |
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セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | ロサイル・インターナショナル・サーキット |
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設立 | 2004年 |
全長 | 5419m |
コーナー数 | 16 |
周回方向 | 時計回り |