F1カタールGP金曜会見で同席したメルセデスのトト・ウォルフ代表とレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2021年11月19日ロサイル・インターナショナル・サーキットにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

犬猿のレッドブル/メルセデス代表が直接バトル「一緒に飯なんか食えるか」終わらぬ悪態と舌戦、これがF1

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トト・ウォルフとクリスチャン・ホーナー。今季チャンピオンシップ争いでしのぎを削り合う2人のチーム代表が今年これまで面と向かって意見を交わす場面は殆どなかったように思われるが、再審請求に関するスチュワードの判断が保留とされる緊迫した状況の中、F1カタールGPの記者会見に同席。直接対決を繰り広げた。

レッドブル・ホンダとメルセデスのボスは、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンが絡んだブラジルでの48周目の一件に関する再審請求や、疑惑のリアウイング、2人の間の険悪なムードなど、隣に相対した状況で様々な質疑に応じた。

フレキシブルウイングに端を発するウォルフのホーナーに対する「カメラに映りたがる、ちょっとしたお喋り」発言や、これに対するホーナーの「トトが苛立つほどワクワクしてくる」発言、そして「パントマイムの主人公」など、両者はシーズン全体を通して互いに嫌悪感丸出しの舌戦を繰り広げてきた。

これほど関係性が悪化したそもそもの原因は何処にあったのか? 今後もこのような悪態をつき続けるのだろう?2人の間に和解の希望はあるのだろうか? そう問われたウォルフは次のように答えた。

「兎に角、競争が激し過ぎる。ライバルやライバルチーム、ないしは自分の敵と一緒に食事をするなんて、性格やキャラクターに関係なく、これほど激しい戦いを繰り広げているスポーツの世界においてはあり得ない」

同じ質問に対して隣に座っていたホーナーはこう答えた。

「いいかい、トトと僕はまったく違う性格の持ち主なんだ。知っての通り、我々は物事の進め方だって違うし…そうだな、トトと一緒にクリスマスを過ごすかどうか考えてみようか。恐らくそれはないだろうね。パントマイムにでも出ない限りは。もしそうなら僕は子供たちを連れて行くかもね」

これを横で聞いていたウォルフは「それは残念だ」と返した。

ホーナーは「個人的には厳しい競争が原因だと思っているし、それがF1ってものでもあると思う。対戦相手と親友になる必要はない。そんな事できるか? 私に言わせれば、色んな面で不誠実だと思う。互いに競い合っている時に、見せかけだけの態度を取るのはね」と付け加えた。

「人間関係を持つ事と相手をリスペクトする事は違うものだと思っている。もちろん、メルセデスやルイス・ハミルトンがこれまでに達成してきた事には敬意を払っているが、だからと言ってトトと一緒に食事に行く必要はないし、彼のケツにキスをする必要もない」

「とは言え、我々がこのような立場でコンストラクターズ世界選手権を懸けて戦っているのは素晴らしい事だと思っている。彼らが挑戦を受けるのは7年ぶりなわけで、それだけで緊張感は高まるし、それはF1にとっても大きなメリットだと思っている」

F1カタールGPのFIA金曜会見で同席したメルセデスのトト・ウォルフ代表とレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2021年11月19日ロサイル・インターナショナル・サーキットにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

F1カタールGPのFIA金曜会見で同席したメルセデスのトト・ウォルフ代表とレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表、2021年11月19日ロサイル・インターナショナル・サーキットにて

ウォルフはレッドブルとの関係性をどう表現するかと問われ、次のように返した。

「チーム間の殴り合いに関して言えば、レッドブルには多くの素晴らしい人材がいるし、それはメルセデスにも言える事で、これは本当にとんでもない戦いだと思っている」

「レッドブルの能力には間違いなく敬意を払っている。彼らとの戦いがタフである事は明白だ。これはモーターレースの最高峰カテゴリーにおける世界選手権を懸けた争いなのだ」

2人のチーム代表が背負っているものは第3者が想像し得ないほどに重く、そして大きい。

ホーナーは「F1は競い合いだ。世界で最も競争的なスポーツと言っても過言じゃない。同時に世界で最も技術的なスポーツでもある。膨大なモノが懸かっているんだ」と語る。

「ライバルたちは途方も無いレベルで相対してくる。コース上でもコース外でも、今シーズンは本当に激しい戦いが続いているが、それでも我々は間違いなく上手くやってこれていると思っている」

「我々は舞台裏で信じられないほどの努力を重ねてきた。サーキットで目にするものだけじゃないんだ。それはチーム全体の10%に過ぎない」

「過去12ヶ月間に渡ってファクトリーでは夜遅くまで作業が続けられ、遠隔地間での難しい協業を重ねてきた。このポジションに辿り着くまでチームとして信じられないほどの努力をしてきたんだ」

「マックスは今年9勝を挙げ、チームとして10回の優勝を果たした。これは困難な時期に努力してきた結果であって、我々は一度たりとも諦めた事はない」

「我々は戦い続け、プッシュし続け、そして信じ続けてきた。ハッキリ言って、メルセデスが課すハードルは信じられないほど高い。だが、喜ばしい事に我々は今、このポジションにいる」

「我々は今の状況を楽しんでいるし、これからシーズン末までの間に持てる全てを尽くせると自信を持っている」

ウォルフもまた、世界の頂点を懸けた競い合いは壮絶なものだとしてホーナーの意見に同意した。

「戦いは、政治的、スポーツ的、技術的と、あらゆるレベルで起きている。それは明らかだ。今シーズンの終わりに、ドライバーズにしろコンストラクターズにしろ、どちらがチャンピオンになっても、勝利に値すると思う」

「なぜならこれは非常にハイレベルな戦いなのだから」

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