パドックを歩くエステバン・オコン(アルピーヌ)、2024年F1アメリカGP
Courtesy Of Alpine Racing

オコン、アルピーヌF1早期退団「こんな形で終わりたくなかった」予定外の幕引き 胸中明かす

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アルピーヌF1チームを予定より早く離脱することになり、チームメンバーに直接別れを告げる機会を得られなかったことについて、エステバン・オコンは、「こんな形で終わりたくなかった」と胸の内を明かした。

オコンは雨のサンパウロGPで見事なパフォーマンスを発揮し、チームメイトのピエール・ガスリーと並んで2位表彰台を獲得した。しかし、その後のラスベガスGPではポイントを逃し、前戦カタールGPではスタート直後の1周目に衝突事故に巻き込まれてリタイヤに終わった。

アルピーヌのガレージ前でトロフィーを手に談笑するピエール・ガスリーとエステバン・オコン、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)Courtesy Of Alpine Racing

アルピーヌのガレージ前でトロフィーを手に談笑するピエール・ガスリーとエステバン・オコン、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

カタールGP終了後のパドックでは、オコンが予定より早くエンストンのチームを離れるとの噂が広がった。その翌日、アルピーヌは正式に発表を行い、次戦アブダビGPにはジャック・ドゥーハンがオコンに代わって出走することを明らかにした。

オコンは最終戦のアブダビGPを辞退する代わりに、レース後に行われるポストシーズン・テストに移籍先のハースF1チームから参加する機会を得た形だ。

この合意について、アルピーヌのチーム代表であるオリバー・オークスは「すべての関係者にとって最善の策だ」と説明したが、オコンはSNSを通して声明を発表し、これは自分が望んでいた終わり方ではないと心境を明かした。

「まず何よりも、この5シーズンにわたり共に戦ってきた現場チーム、エンストン、そしてヴィリー=シャティヨンのメカニックやエンジニアのみんなに心から感謝を伝えたい」とオコンは綴った。

「共に多くを共有できたこと、そして多くの人たちを友人と呼べることを誇りに思う」

「アルピーヌ/ルノーでの経験は僕にとって素晴らしい思い出だ。バーレーン、ハンガリー、そしてブラジルでは2位表彰台に上がった。このチームにとってF1復帰以来の最高の結果をもたらしたドライバーになれたことを誇らしく思っている」

「2022年のコンストラクターズ選手権4位に貢献できたことも名誉に思ってる。こうしたすべての瞬間が、チームのみんなにとってどれだけ意味のあるものだったか。その達成感と喜びをチームと共に分かち合えたことは、僕にとってかけがえのない大切な思い出だ」

オコンは、メルセデスのリザーブドライバーとして1年間のサバティカル休暇を余儀なくされた後、2020年にアルピーヌ(当時はルノー)に加入した。

2021年のハンガリーGPでは、4度のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルを抑え、キャリア初優勝を達成した。その後もダニエル・リカルド、フェルナンド・アロンソ、そしてガスリーといった名だたるチームメイトとともにレースを戦い、サンパウロGPを含めさらに3回の表彰台を獲得するなど、着実に実績を積み上げてきた。

しかし、今シーズンの最終盤にかけては、ガスリーとは対照的に厳しい状況に直面することが多かった。オコンは、自身の車両がチームメイトのものと異なるスペックであった可能性を示唆し、不満をにじませる発言を口にしていた。

「今年はチームにとって決して楽なシーズンではなかった。特に後半戦は、さまざまな理由で本当に厳しい状況が続いた」とオコンは振り返った。

「でも、僕はすべてのセッションで自分の持てる力を100%発揮した。それについて後悔はない。それが僕のスタイルだから」

オコンが当初、最終戦のアブダビGPまでアルピーヌでレースをする予定であったことは、ラストレースのために準備していたスペシャルヘルメットの出番がなかったことからも明らかだ。

急転直下の早期離脱という不透明な今回の合意には、エグゼクティブ・アドバイザーとしてアルピーヌF1に復帰したフラビオ・ブリアトーレの関与が噂されている。

オコンは、これまで共にF1世界選手権を戦い抜いてきた仲間たちに直接別れを告げることができなかったことを悔やんでおり、メッセージにはその無念さが滲み出ている。

「エンストンやヴィリーで働く何百人もの人たちへ。直接、会ってきちんと別れを言えないことを謝罪したい」とオコンは続けた。

「当初の計画では、今週末の最終戦に出場し、来週、みんなに直接別れを言う予定だった。その両方を僕は心から楽しみにしていたのに叶わなかった」

「こんな形で終わりたくはなかった」

「とはいえ、F1の世界は狭いから、また何処かですぐにみんなに会えると信じている」

オコンはまた、後任としてアブダビGPに出場するドゥーハンに向けてエールを送り、「今週末のアブダビGPでキャリアの新たな一歩を踏み出すジャックの未来が、素晴らしいものであることを心から願っている」と締め括った。

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