F1ハイブリッドを備える新型「Mercedes-AMG ONE」5年を経て遂にデビュー!DRSや”ストラット2”も搭載
2017年のフランクフルト・モーターショーでの発表以来、5年の時を経て遂に、メルセデスF1ハイブリッド技術が投じられた新型ハイパーカー「Mercedes-AMG ONE」の市販完成車が発表された。
熱効率50%以上を誇る世界で最も近代的かつ高効率なF1パワーユニット技術が搭載されたこの2シーターは、F1と同じ1.6リッターV6エンジンに4つの電気モーターを備えている。
ハイブリッドシステムとしてはF1で言うところのMGU-H、電動排ガスターボと、出力120kWのMGU-Kが搭載され、ハイブリッド駆動のリアアクスルと、トルクベクタリングを備えた電気駆動のフロントアクスルによる4MATIC+フル可変全輪駆動が採用された。
内燃エンジン単体では422kW(566馬力)、システムの合計出力は782kW(1063馬力)とモンスター級で、最高速度は352km/hに制限された。最高回転数は11,000rpmと、耐久性と市販ガソリンの使用を念頭に、敢えてF1のレブリミット以下に抑えられた。
軽量かつ高強度のカーボンファイバー製モノコックを備える車体は、空力を意識したセンターロック付10本スポーク鍛造アルミホイールを備え、フロントに19インチ、リアに20インチのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R M01タイヤを履く。車重は約1,695kgで、0-100km/h加速は2.9秒。更に0-200km/h加速は驚きの7秒だ。
開発はご存知、英国ブリックスワースにあるメルセデスAMGハイパフォーマンス・パワートレインのF1エキスパートとの密接な協力のもとに行われた。
開発が遅れたのはF1パワーユニットを市販車転用するための技術的ハードルがあまりにも高かったためだ。メルセデスAMGのフィリップ・シーマーCEOは「多くの人々がこのプロジェクトの実現は不可能だと思ったかもしれない。だがアファルターバッハとイギリスのチームは決してあきらめなかった。私は関係者全員に対して最大限の敬意を表すと共に、このチームワークを誇りに思っている」と語った。
ボア×ストローク(mm) | 80.0 x 53.03 |
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排気量 | 1599cc |
最大出力(システム計) | 782kW(1063馬力) |
最高回転数 | 11,000 rpm |
最大出力(エンジン) | 422kW(574馬力)/ 9000rpm |
MGU-K | 120 kW(163馬力) |
MGU-FL / MGU-FR (フロントアクスルの電気モーター) |
2 x 120 kW = 240 kW(326馬力) |
MGU-H | 90 kW(122馬力) |
ターボ最大ブースト圧 | 3.5bar |
搭載されるリチウムイオン電池の容量は8.4kWhで、18.1kmのEV走行が可能。バッテリーセルの配置や冷却方法もメルセデスF1マシンを模しており、常に平均45℃という安定した最適な作動温度に保たれる。
ドライブモードは純粋なEV走行から、F1の予選でお馴染みのラップタイム重視のレーストラック専用モード「ストラト2」まで、計6種類が用意される。
3種類が用意される油圧制御によるアクティブ・エアロダイナミクスは、前後のダウンフォースを増加させるだけではない。「レースDRS」モードではリアウイングのフラップが完全に格納され、ダウンフォースが約20%減少する代わりにドラッグを低減する事ができる。
シートは足が真っ直ぐに伸びる仕様で、ステアリングもF1マシンを彷彿とさせる長方形。ダッシュボードには10インチのデジタルスクリーンが2個並ぶ。また従来型のバックミラーに代わってカメラが搭載される。
劇的なトラックパフォーマンスを備える一方でエアコンや電動ウィンドウが標準装備されるなど、日常的な使い勝手や操作性についても考慮されている。
Mercedes-AMG ONEは2022年6月23日~26日に英国グッドウッドで開催される「Festival of Speed」での走行が予定されている。