2023年F1モナコGP 決勝レポート:雨で混乱…2台DNF、フェルスタッペンが今季4勝!角田裕毅は入賞圏外に転落
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2023シーズンのFIA-F1世界選手権第7戦、第80回モナコGPの決勝レースが現地5月28日にモンテカルロ市街地コースで行われ、雨による混乱を乗り越えマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインによって今季4勝目を飾った。
自身にとってはモナコでの2勝目。レッドブルでの通算勝利数は39回に達し、セバスチャン・ベッテルの持つ最多記録を塗り替えた。タイトル争いのライバル、僚友セルジオ・ペレスが16位に終わったため、チャンピオンシップでのリードは一気に39ポイントにまで拡大した。
2位はフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)。3位表彰台にはDriver of the Day(ドライバー・オブ・ザ・デイ)にも選出されたエステバン・オコン(アルピーヌ)が滑り込んだ。
前日の予選でモンテカルロ初のQ3進出を果たした角田裕毅は、終盤に向けて順調に9番手をキープしていたものの、降雨を経てブレーキへの不満を訴えた後にズルズルと転落。入賞圏外15位でクルマを降りた。ニック・デ・フリースも健闘したが12位と、アルファタウリは無得点に終わった。
トップ3の後ろには待望のアップグレードによってフランケンシュタインの如き姿となったメルセデス勢が続いた。ルイス・ハミルトンは4位、ジョージ・ラッセルは5位でフィニッシュした。
チームの過失により3グリッド降格の6番グリッドに着いた母国レースのシャルル・ルクレールは6位をキープ。その一方でフェラーリの僚友カルロス・サインツは濡れた路面に足を取られてエスケープに流され、8位でクルマを降りた。
ピエール・ガスリーは7位入賞を果たし、オコンともども通算50回目の出走を迎えたアルピーヌにダブルポイントをもたらした。
角田裕毅の転落を経て、入賞圏内最後の2枠にはマクラーレン勢が続いた。ランド・ノリスは9位、オスカー・ピアストリは10位と健闘した。
レース概要
決勝は日本時間28日(日)22時にブラックアウトを迎え、1周3,340mのコースを78周する事で争われた。レースのフォーメーションラップは気温25℃、路面43℃のドライコンディションで開始されたが、50周目を過ぎたあたりで雨が到来。接触や黄旗が多発し、2台がリタイヤを喫した。
公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。周冠宇(アルファロメオ)のみソフトを、以下はミディアムを、その他はハードを履いてグリッドに着いた。
- レッドブル勢
- ウィリアムズ勢
- アルファタウリ勢
- エステバン・オコン(アルピーヌ)
- ランド・ノリス(マクラーレン)
- ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)
注目のオープニングラップでは、ランス・ストロール(アストンマーチン)を含む複数台がヘアピンで接触し合う展開となったものの大きな混乱はなく、1周目を終えてペレス、ヒュルケンベルグ、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)の3台がピットイン。先行車両がいないクリアラップでのポジションアップを狙いに行った。
ただヒュルケンベルグはその直後、ミラボー(ターン5)のイン側に飛び込みロックアップ。サージェントとの接触の責任を問われて5秒ペナルティを受けたが、その後のピットストップの際にペナルティを適切に消化しなかったとして、追加で10秒が科され、最終17位で終えた。
ペースで劣る先行オコンに痺れを切らしたか、4番手のサインツは11周目のヌーベル・シケインでアルピーヌA523の右リアに突っ込みフロントウィングの左翼端版を破損した。
Another angle on that contact between Sainz and Ocon 👀#MonacoGP #F1 pic.twitter.com/ex7mQsXMLu
— Formula 1 (@F1) May 28, 2023
17周目、ケビン・マグヌッセン(ハース)が一瞬の隙をつき、リアのグレイニングに苦しむサージェントをミラボーでオーバーテイク。見事な動きだった。これに続いてストロールとペレスもラスカスで追い抜き、各々一つずつポジションを上げた。
ペレスは最後尾からの入賞を目指してファステストを刻んで前進していったが、ヌーベルシケインでヒュルケンベルグと接触して左翼端板を破損したため、36周目にウイングを交換。19番手と振り出しに戻った。
LAP 49/78
"No rain expected in the next 20 mins" 👀#MonacoGP #F1 pic.twitter.com/RJk9BGYNxA
— Formula 1 (@F1) May 28, 2023
レースの65%を消化すると、ヘアピンを含むセクター2近辺に雨が降り始めた。セクター1・3はドライであったものの、失うものがないバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が先陣を切って52周目にインターミディエイトに交換。雨の可能性を念頭に第1スティントを引っ張っていた角田裕毅もその翌周に続いた。
雨脚が強まり、コース全体が雨に濡れる中、後続との大きなギャップを背景にアロンソだけはミディアムに交換したが、既にスリックタイヤで周回できる状況にはなく、翌周に再びピットに入り、インターに履き替え2番手でコースに戻った。
雨は至る所に混乱と黄旗をもたらした。サインツはミラボーで車体が完全に横向きになったまま流され、ストロールはヘアピンの壁に衝突してリタイアした。ミラボー(ターン5)でコースオフを喫してコースに戻る際、ペレスと衝突したラッセルには5秒ペナルティが科された。
Rain in Monaco means one thing – chaos on track! 🤯#MonacoGP #F1 pic.twitter.com/cavvZEuRPa
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路面は完全なフルウェットとなったが、マグヌッセンだけはハードタイヤで58周目まで引っ張り続け、ラスカスの壁にぶつかりながらピットレーンへ。反転攻勢を狙ってフルエットタイヤを装着した。最後尾を走るペレスもこれに続いたが、徐々に雨は収まっていき、この戦略が功を奏する事はなかった。
ブレーキの温度が維持できなかったのか、プラクティスから続いていた問題が再発したのか。角田裕毅はブレーキへの不満をぶつけた後、68周目のメインストレートでノリスに交わされ10番手に後退。翌周にはピアストリにオーバーテープを許してポイント圏外に転落。その後もミラボーで飛び出すなど、一気に15番手にまで転げ落ちた。
結局、終盤の雨がフェルスタッペンの足元を救うことはなく、ポイントリーダーはアロンソに27.921秒差をつけてトップチェッカーを受けた。
2023年F1第7戦モナコGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | フェルスタッペン | レッドブル | 78 | 1:48:51.980 | 25 |
2 | 14 | アロンソ | アストンマーチン | 78 | +27.921s | 18 |
3 | 31 | オコン | アルピーヌ | 78 | +36.990s | 15 |
4 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 78 | +39.062s | 13 |
5 | 63 | ラッセル | メルセデス | 78 | +56.284s | 10 |
6 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 78 | +61.890s | 8 |
7 | 10 | ガスリー | アルピーヌ | 78 | +62.362s | 6 |
8 | 55 | サインツ | フェラーリ | 78 | +63.391s | 4 |
9 | 4 | ノリス | マクラーレン | 77 | +1 lap | 2 |
10 | 81 | ピアストリ | マクラーレン | 77 | +1 lap | 1 |
11 | 77 | ボッタス | アルファロメオ | 77 | +1 lap | 0 |
12 | 21 | デ・フリース | アルファタウリ | 77 | +1 lap | 0 |
13 | 24 | 周冠宇 | アルファロメオ | 77 | +1 lap | 0 |
14 | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 77 | +1 lap | 0 |
15 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 76 | +2 laps | 0 |
16 | 11 | ペレス | レッドブル | 76 | +2 laps | 0 |
17 | 27 | ヒュルケンベルグ | ハース | 76 | +2 laps | 0 |
18 | 2 | サージェント | ウィリアムズ | 76 | +2 laps | 0 |
19 | 20 | マグヌッセン | ハース | 70 | DNF | 0 |
NC | 18 | ストロール | アストンマーチン | 53 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 25℃ |
路面温度 | 43℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1モナコGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | モンテカルロ市街地コース |
---|---|
設立 | 1929年 |
全長 | 3340m |
コーナー数 | 18 |
周回方向 | 時計回り |