雨が降る中、ハードタイヤからミディアムタイヤに履き替えるフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年5月28日F1モナコGP決勝レース
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フェルナンド・アロンソは何故、雨のモナコでスリックタイヤに履き替えたのか?

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終盤に向けて雨が降り始め、誰もがスリックからインターミディエイト・タイヤに履き替える中、2番手を走行していたフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)だけは晴れ用のミディアムを装着した。何故か?

レース65%を消化したところで、セクター2を中心に大きな雨粒が落ち始めた。当初、第1・3セクターはドライ路面であったが、雨脚は徐々に強まり、コース全体がウェットコンディションへと変化していった。

モンテカルロ市街地コースのトンネル区間を駆け抜けるフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年5月28日F1モナコGP決勝レースCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

モンテカルロ市街地コースのトンネル区間を駆け抜けるフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年5月28日F1モナコGP決勝レース

このタイミングでピットに動いた者は誰もが浅溝のインターミディエイトを選択したが、アロンソだけはスリックを装着。コースへと戻っていった。

だが、路面は既にドライタイヤで走行できる状況になく、完全に雨に濡れていた。アロンソはクルマにダメージを与えぬよう、3kmほどのコースを恐る恐る慎重に1周した後、再びピットに戻ってインターに履き替えた。

対して首位を走行していたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はアロンソ以外の全車と同じようにインターを選び、ピットストップを1回に押さえ、アロンソに27.921秒差をつけてトップチェッカーを受けた。

レースに向けてグリッドでヘルメットを被るフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年5月28日F1モナコGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

レースに向けてグリッドでヘルメットを被るフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2023年5月28日F1モナコGP

もしアストンマーチンが判断を誤らなければ、アロンソは終盤に向けて10年ぶりとなる勝利のチャンスを掴めたかもしれない。何故チームは雨の降る中、アロンソにスリックタイヤを履かせたのだろうか?

ピットストップを行った当時の状況についてアロンソは「雨が降っていたのはターン5と7だけで、サーキットの他の路面は完全にドライだったんだ」と説明し、「コース全体の99%がドライであるのに一体どうしてインターを選ぶだろうか?」と問いかけた。

「僕らの手元にあった予報は、にわか雨が降って雨が数滴落ちるという程度のものだった。あんなに降るなんて思ってもみなかったんだ」

ライバルとの位置関係が異なれば、アストンマーチンは別の判断を下していたかもしれない。ピットストップに動いた時、アロンソは後続のエステバン・オコン(アルピーヌ)に対し、追加でもう1度ピットに入ってもポジションを失わずに済むほどの大きなギャップを稼いでいた。

アロンソは「後続に対して大きなマージンがあったから、もし必要とあらば(もう1回ピットストップを行い)インターに履き替える事ができる状況だった」と付け加えた。

「(コースに戻ったら)コンディションは一変していて、ターン5~8を通過するのに1分半を要した。ドライタイヤでのアウトラップはかなりのウェットだったけど、ピットストップした時点では完全なドライだったんだ」

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終盤の雨で混乱が生じた2023年F1第7戦モナコGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が2位に、エステバン・オコン(アルピーヌ)が3位表彰台に上がる結果となった。

カタロニア・サーキットを舞台とする次戦スペインGPは6月2日のフリー走行1で幕を開ける。

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