キャリア初優勝を飾り表彰台の上でガッツポーズを取るランド・ノリス(マクラーレン)、2024年5月5日F1マイアミGP
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ランド・ノリス「やっとだ…!」6年目の初優勝!フェルスタッペン完封…角田裕毅 7位入賞 / F1マイアミGP 2024 《決勝》結果と詳報

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2024シーズンのFIA-F1世界選手権第6戦マイアミGP決勝レースが現地5月5日(日)にマイアミ・インターナショナル・オートドロームで行われ、予選5番グリッドのランド・ノリス(マクラーレン)がデビュー6年目、キャリア110戦目にして念願の初優勝を飾った。F1史上114人目のウィナーの誕生だった。

ケビン・マグヌッセン(ハース)とローガン・サージェント(ウィリアムズ)の接触事故に伴い導入されたセーフティーカー(SC)の利を得て29周目にラップリーダーに浮上。その後は後方マックス・フェルスタッペン(レッドブル)を一切寄せ付けず引き離し、7.612秒差をつけトップチェッカーを受けた。

満面の笑みでインタビューに応じたノリスは「ようやくその時が来たって事かな!凄いレースだった…長い間、待ち望んでいた。やっとチームのために結果を残すことができた。ようやくトップに立てた。感無量だよ」と振り返った。

「あちこちでミスをしてしまう場面もあったけど、金曜日の時点でペースがあることは分かってたし、今週末は一貫して調子が良かった。今日はそれを何とかまとめ切る事ができた」

「完璧な戦略だった。それで全てが報われた。マクラーレンの皆に感謝したい。もちろん、パパとママにもね!」

「ただただ誇りに思う。過去5年間、短いキャリアの中でたくさんの失敗をしてきた。たくさんの人から疑いの目で見られたけど、今日は全てをまとめ上げた。僕がマクラーレンに拘ったのは信じていたからだし、今日はその事を証明する事ができた」

ノリスが表彰台の頂点に立った一方、僚友オスカー・ピアストリは序盤にシャルル・ルクレールを攻略して2番手を走る好走を見せたものの、カルロス・サインツとの小競り合いの最中にフロントウイングにダメージを負い、不要なピットストップを強いられた事で戦線離脱。13位に終わった。

2・3番グリッドからスタートしたフェラーリ勢にはダブル表彰台の期待が寄せられていたが、ルクレールが3位、サインツが4位と、マクラーレンに太刀打ちできる程の速さはなく、1枠を確保するに留まった。

4番手からスタートしたセルジオ・ペレス(レッドブル)は1周目のターン1でポジションを落とす劣勢からのレースを強いられ、集団の中でのバトルを通して中々、前進できず、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を抑えての5位に終わった。

しかしながら、ピアストリとの接触事故を受けレース後、サインツに5秒ペナルティと1点のペナルティポイントが科されたため、サインツは5位に降格となり、代わってペレスが4位入賞を果たした。

角田裕毅(RBフォーミュラ1)はミディアムタイヤでの第1スティントで強力なペースを刻みつつタイヤをセーブ。SCによるアドバンテージを得てタイヤ交換義務を消化すると、ジョージ・ラッセル(メルセデス)を引き離す走りを見せ、今季3回目、オーストラリアGPと並ぶ今季最上位の7位フィニッシュを果たした。

フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は15番グリッドながらも9位フィニッシュを飾り、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)を振り切って10位を獲得したエステバン・オコンはアルピーヌに待望の今季初ポイントを持ち帰った。

タイヤ戦略とコンディション

決勝は日本時間5日(日)29時にブラックアウトを迎え、1周5412mのコースを57周する事で争われた。現地フロリダは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温28℃、路面45℃のドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは中間レンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。予想通り、ミディアムからハードに繋ぐ1ストッパーが主流となった。

ハミルトン、アロンソ、マグヌッセン、ダニエル・リカルド(RBフォーミュラ1)はハードを、バルテリ・ボッタス(ザウバー)はソフトを、その他はミディアムをスタートタイヤに選択した。

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースのドライバー別タイヤ戦略

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースでの温度及び路面温度の変化Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースでの温度及び路面温度の変化

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースのコンパウンド別最多ラップと最速ラップCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2024年5月5日に行われたF1マイアミGP決勝レースのコンパウンド別最多ラップと最速ラップ

レース概要

注目のオープニングラップでは、ツイスティでタイトなセクター2を通してアルピーヌ勢がチーム内サイドバイサイドを演じる手に汗握るバトルを繰り広げた。角田裕毅はラッセルを交わして9番手にポジションを上げるも、5周目に抜き返されスタートポジションに戻った。

中団にはヒュルケンベルグを先頭とする長い隊列のDRSトレインが発生。ハミルトンは一旦、 ハースを攻略するもオーバーラン。攻略に苦戦した。2台のシルバーアローがヒュルケンベルグの前に出たのは12周目になっての事だった。

先陣を切ってピットストップを行ったのはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)だった。10周目にミディアムからハードに履き替え、最後尾でコースに戻りクリーンエアを得たまでは良かったが、残りの43周を通してタイヤライフは尽き、ラスト4周でソフトに履き替え最下位19位でフィニッシュした。

角田裕毅の後方11番手を走行するランス・ストロール(アストンマーチン)は12週目にハードタイヤに交換。前方を走るヒュルケンベルグは翌周、カバーに動いたが、RBは角田裕毅をステイアウトさせた。結果的にはこれがSCゲインの好機に繋がった。

22周目、影で悪戦苦闘しつつも週末を通した全てのセッションでトップに立ってきたラップリーダーのフェルスタッペンが、ターン13・14のシケインでボラードに衝突。無線を通してチームにフロントウイングのダメージをチェックするよう依頼した。

コースに飛散したボラードの回収のため、23周目にバーチャル・セーフティーカー(VSC)が導入されるも、ほんの数十秒程度に留まったため、角田裕毅はこれを利用する事ができず、最終的に逆転のポイント獲得を果たすアロンソとオコンの2台にマグヌッセンを加えた3台のみが、この利を得てピットストップに動いた。

フェルスタッペンは24周目、角田裕毅とポジション争いを繰り広げるメルセデスのラッセルは25周目、ハミルトンは27周目にピットイン。すると、この翌周にマグヌッセンとサージェントの接触事故が発生し、SCが導入された。マグヌッセンには10秒ペナルティが科された。

このタイミングでタイヤ交換を消化した3番手ノリスは一気にラップリーダーに浮上。角田裕毅もまた大きなアドバンテージを得てハードタイヤに交換すると、メルセデス勢の前、ポジションキープの7番手でコースに復帰した。

角田裕毅はその後、1段柔らかいミディアムを履くハミルトンにオーバーテイクを許したが、終盤に向けてのフェラーリ対マクラーレンのバトルにより再び利を得る事になる。

サインツは残り18周のターン17でピアストリに仕掛けた際、タイヤをロックアップ。これにより右リアタイヤがピアストリのフロントウイングを強打した。

新型フロントウィングにダメージを負ったピアストリは、ターン11までの間にセルジオ・ペレス(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)に立て続けに追い抜かれ、交換のためにピットイン。事実上のレース終了となった。

ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名の競技審判団は、「衝突の主な責任」はサインツにあると結論付けたが、同時にサインツが「僅かにリアの制御を失っていなければ、衝突は起こらなかった可能性が高く、ハードながらも良いレースが展開されたであろうという事実」を考慮し、本来であれば10秒ペナルティと2点のペナルティポイントが相当であるものの、5秒と1点のペナルティポイントに軽減したと説明した。

ペナルティを予期したフェラーリのピットウォールは終盤、サインツに対してペースを上げ、後方ペレスとの差を広げるよう指示した。ただ、サインツがフィニッシュラインを越えた時、ギャップは3.2秒であったため、5秒加算により4位を失った。とは言え、あと0.178秒遅ければ、ハミルトンに対しても順位を失っていただけに、僅かの差で救われたとも言える。

「クルマの向きが変えられない、最悪だ」とマシンバランスに不満を漏らすハードタイヤのフェルスタッペンは、ノリスに追いつくどころがジワジワと引き離され、一度も仕掛ける事ができずに終わった。

2024年F1第6戦マイアミGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 57 1:30:49.876 25
2 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 57 +7.612s 18
3 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 57 +9.920s 15
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 57 +14.650s 0
5 55 カルロス・サインツ フェラーリ 57 +16.407s 0
6 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 57 +16.585s 8
7 22 角田裕毅 RB ホンダRBPT 57 +26.185s 6
8 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 +34.789s 4
9 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 57 +37.107s 2
10 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 57 +39.746s 1
11 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 57 +40.789s 0
12 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 57 +44.958s 0
13 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 57 +49.756s 0
14 24 周冠宇 ザウバー・フェラーリ 57 +49.979s 0
15 3 ダニエル・リカルド RB ホンダRBPT 57 +50.956s 0
16 77 バルテリ・ボッタス ザウバー・フェラーリ 57 +52.356s 0
17 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 57 +55.173s 0
18 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 57 +76.091s 0
19 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 57 +84.683s 0
NC 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 27 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温28℃
路面温度45℃
周回数57

セッション概要

グランプリ名 F1マイアミGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 マイアミ・インターナショナル・オートドローム
設立 2022年
全長 5412m
コーナー数 19
周回方向 時計回り

F1マイアミGP特集