ピレリのヘッド・オブ・カーレーシングを務めるマリオ・イゾラcopyright Pirelli & C. S.p.A.

コロナと闘うピレリF1責任者マリオ・イゾラ、危機に瀕する地元で命がけのボランティア活動

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ピレリのカーレーシング部門を率いるマリオ・イゾラは恋人に反対されたにもかかわらず、母国イタリアにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の悲惨な事態に少しでも貢献しようと、命を懸けて救急隊員のボランティア活動を行っている。

国を挙げてのロックダウンが功を奏し、1日あたりの確定症例数は少しずつ減少傾向にあるとは言え、4月5日に陽性反応が確認された人の数は4,316人、死者は525人、累計感染者数は確認されているだけで128,948人、死者は16,523人に上っている。

F1公式タイヤサプライヤーのピレリは、イタリアの中でも最も深刻な被害が出ている北部ロンバルディア州のミラノに本社を置く。工場が閉鎖される中、同社はマスクなどの医療用品を配布する他、慈善団体に10万ユーロ(約1,178万円)を寄付するなどして地域に貢献しているが、会社だけでなく従業員達も個人個人がボランティアとして危機に立ち向かっている。

ピレリF1の顔であるマリオ・イゾラは今年50歳を迎えるが、18歳の時から救急車の運転手として地元ミラノでボランティア活動に従事してきた。2004年にはミラノ内外の救急車ドライバーを育成するためのドライビングプログラムを立ち上げ、それ以来7,000人のボランティアと150人のインストラクターを訓練して地元に奉仕し続けてきた。

本来であればF1グランプリの週末は現地で指揮を取る立場にあり、先週末もベトナムにいるはずであったが、ハノイサーキットでのレースは新型肺炎のために延期された。マリオ・イゾラはサイレンを響かせながら救急車のステアリングを握っている。

マリオ・イゾラは1公式サイトのインタビューに答え「モータースポーツは中断を強いられてると言えるかもしれない。だがピレリでは、全員がこれまでと変わらず頑張っている。会社の通常業務だけではなく、今直面している課題に取り組んでいるんだ。私の場合はこれまで同じように、救急車のボランティアシフトを続けている。自分にできる事をやるまでだ」と語った。他のピレリの従業員もまた、各々がそれぞれの地域で支援活動に従事している。

「コロナウイルスが猛威を振るっているからといって、(コロナウイルスとは無関係の)病気になる人がゼロになるわけじゃない。どんな役割であれボランティアの重要性は高まっている。私は可能な限り全ての時間を救急隊員としての時間に割いている」

恋人のイザベラに反対されながらもマリオ・イゾラは危機に瀕している地元を救うためにリスクを冒す事を選択した。「問題は新しい任務の無線が鳴るたびに自分自身を危険に晒している点だ」とマリオ・イゾラはSunSportに語る。

「やらねばならない事だからこそ、そうしているのだ。この件についてはガールフレンドと話し合った。だが、女は全く納得していない。今やそれがリスクある行為である事は多くの国で明らかになっているからね。そのリスクは決してゼロに近いわけではない」

「今の仕事で一番つらいのは、患者の親族を同じ救急車に乗せて病院まで送ってやることが出来ない事だ。今は患者との接触を避けなければならないため、救急隊員以外の人間を乗せる事が禁止されている」

「時には重篤な患者もいて、その親族に対して”申し訳ないが一緒に連れて行くことが出来ない”と伝えなきゃならない事もある。彼らはこれが最後の別れになるかもしれない事を分かっている。だから我々としても本当に辛い」