スクーデリア・トロロッソの旧ファクトリー
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強制閉鎖 滞る業務 幽霊街…新型コロナに耐え忍ぶアルファタウリF1

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アルファタウリ・ホンダとスクーデリア・フェラーリが本拠を構えるイタリアは、北部を中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るっており、24日付での累計死亡者数が6,077人に達し、同3,277人の中国の2倍近くに膨れ上がった。

被害が特に深刻なのはアルファタウリの本拠地ファエンツァから北西に約250km離れたミラノを州都とするロンバルディア州を含む北部だ。ファエンツァからミラノ方面に100kmほどの場所には、跳馬のファクトリーが置かれているマラネロがある。2つのF1チームは共に北部に属している。

中止決定が下されたために実際にオーストラリアでレースをすることはなかったが、ボローニャ行きのフライトの大部分がキャンセルされていたため、イタリア勢はまずはドバイに飛び、その後フランス南東のニースへと飛行機を乗り継ぎ、最終的にバス乗ってホームに戻る事を余儀なくされた。帰国後、状況は更に悪化した。

3月22日付の首相令によって一部の例外を除く全ての生産活動が一時停止となり、極めて緊急性の高い事態あるいは健康上の理由がある場合を除いては、居住する自治体とは別の自治体への移動が禁止された。人間の生存に必要不可欠とみなされないF1事業も例外ではない。

アルファタウリはファクトリーを3月23日に閉鎖。これは”少なくとも”4月3日まで続けられる。F1はチェイス・ケアリーCEOと各チーム代表との電話会談を経て、コスト削減の一環として行われているファクトリーの強制シャットダウンを含むサマーブレイクを3月~4月に前倒ししたが、今回の閉鎖は政府要請により実施を強いられた。

スクーデリア・アルファタウリのファクトリー内部の様子
© Getty Images / Red Bull Content Pool、スクーデリア・アルファタウリのファクトリー内部

アルファタウリを率いるフランツ・トスト代表はF1-Insiderとのインタビューの中で「ゴーストタウンのようだ」と状況を説明する。「家にいなければならず、最低限の買い物と医者に行くことだけが許されている。警察の取り締まりは非常に厳しい」

既定路線だったバクー市街地コースでのアゼルバイジャンGPの中止が発表され、14日後にジル・ビルヌーブで行われる予定のカナダGPもまた瀬戸際に立たされている。「シーズンがいつ始まるかは誰にもわからない」とフランツ・トストは語るが、オフィスと工場が使用できなくとも、チーム代表としての仕事が休みとなる事はない。

シャットダウン初日、64歳の指揮官はチームマネージャー、製造部門の責任者、工場長とのビデオ会議を開催した。フランツ・トストは「月曜日から、生活に必須ではない事業はすべて閉鎖された。もちろん、我々のファクトリーもその一つだ。本当は新しいパーツを制作したいと思っていたのだが、これはもう不可能だ。だから、どうするかを話し合わなければならなかった」と説明する。

ピットウォールからガレージを見つめるスクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表
© Getty Images / Red Bull Content Pool、スクーデリア・アルファタウリのフランツ・トスト代表

社員のモチベーション管理も重要な仕事の一つだ。フランツ・トストは2日に1度、ピエール・ガスリーとダニール・クビアトに交互で電話を掛ける。

「いつも交互だ。月曜日はクビアト、火曜日はガスリーだった。どうやって過ごし何をしているのかを聞くんだ。出来る限り彼らのモチベーションを高めるように心がけている。彼らにいつ普通の生活に戻れるのかを伝える事はできないが、その日はいつか訪れるからこそ、その日に備えて準備しておく必要がある」

かつて経験した事のない現実離れした状況に直面しながらも、フランツ・トストは冷静だ。「諦めないことが肝要だ。厳しい時間とて過ぎ去るものだ。それがいつであるかは重要ではない。その時は必ず来る。こういうスタンスは、アスリートにとってはお馴染みだろうがね」