2018年のルマン24時間レース優勝を喜ぶトヨタの中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ、セバスチャン・ブエミ
Courtesy Of Toyota Motorsport GmbH

中嶋一貴、2021年末を以てWEC勇退「笑顔で終えられるよう、良いレースがしたい」

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TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は11月3日(水)、レギュラードライバーの中嶋一貴が2021シーズンの最終戦、第6戦バーレーン8時間レースを以てFIA世界耐久選手権(WEC)から勇退すると発表した。

トヨタは「トップドライバーとしてだけでなく、信頼できるチームメイト、そして大事な友人として、この10年間、チームに多大な貢献をもたらしてくれた中嶋に、TGR WECチームとして感謝の意を表します」との声明を発表した。

中嶋一貴は2007年から09年に渡ってウィリアムズからF1を戦った後、TS030 HYBRIDの最初のテストが行われた2012年1月にトヨタのWECチームに加わり、以降、出場したWEC58戦中16勝を挙げる活躍を残した。

2014年にはトヨタのハイブリッドマシン初、日本人初となるル・マン24時間レースでのポールポジションを獲得するもトラブルのために深夜のリタイアを余儀なくされ、2016年には首位を快走するもチェッカーまで後1周でストップする悲劇的結末を迎えるなど、ルマンの魔物に苦しめられてきたが、2018年に悲願のトップチェッカーを受けると、2019年、2020年と3年連続でルマン制覇を成し遂げ、2018-2019年シーズンにはセバスチャン・ブエミ、フェルナンド・アロンソと共にチャンピオンを獲得してFIAの殿堂入りを果たした。

WECラストランとなる2021年のWEC最終戦、バーレーン8時間レースは中嶋一貴にとって2度目のWECチャンピオンを懸けた一戦となる。セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレーとのトリオでGR010 HYBRID 8号車を駆る中嶋一貴は現在、首位に15ポイント差のランキング2位につけている。

なおトヨタによると、中嶋一貴はWECからの引退後もTGRの一員としてWECチームへの協力を続けるとしている。

中嶋一貴は「TGR WECチームのドライバーとして9シーズンを戦って来られたことは本当に光栄ですし、才能と情熱に溢れる、献身的な多くの仲間とともに数々のレースに勝ち、タイトルを獲得、ル・マンを制することができたのは幸運だったと思います」との談話を発表した。

「TGR WECチームと10年間にわたってレースを戦ってこられたことに、本当に感謝しています。辛い時も、楽しかった時も家族のように過ごして来たチームとは多くの忘れ難い想い出があり、これからもずっと、TGR WECチームの一員だと思っています」

「耐久レースも新たな時代に突入することになり、来年以降、多くのハイパーカーメーカーが参入してきます。と同時に私自身も新たな道を歩み始めることになります」

「これからもできる限りチームへのサポートは続けるつもりですし、さらにエキサイティングになる、耐久レース新時代が楽しみです」

またラストランについては自身のブログに「笑顔でレースを終えられるよう、良いレースをしたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」と綴った。

トヨタは2022年シーズンのドライバーラインナップについて、数週間以内に追って発表するとしている。