ハースの2019年型F1マシン「VF19」のエンジンカバーに掲載されたリッチ・エナジーのロゴ
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これが真相…リッチエナジーで内紛勃発、ハースF1とのスポンサー契約を巡り「異常行動」

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ハースF1チームとのタイトルスポンサー契約解除を突如発表したリッチ・エナジー社で内紛が勃発。ウィリアム・ストーリーCEOと株主とが、政治的緊張状態に置かれている事が明らかになった。同社は現在、ストーリーCEOの解雇を進めており、ハースとの契約を継続していく姿勢を示している。

10日水曜に、ソーシャルメディアを通じて発表された契約解消について、ハース側はギュンター・シュタイナー代表名義で声明を発し「契約は現在も有効。今週末のイギリスGPでも従来どおりリッチ・エナジーのロゴ掲載を続ける」と反応。契約解除は事実無根だと仄めかした

更にシュタイナー代表は、シルバーストンで行われたメディアセッションの場で「誰かを困難な状況に陥れたくはない」と語り、一件は、リッチ・エナジー社全体ではなく特定個人に責任があると示唆。本件はストーリーCEO個人が、株主並びに役員会での承認を得ないままに独断で発表したとの憶測が広がった。

これを裏付けるかのように、リッチ・エナジーの株主が木曜にハースを通して声明を発表。その中で、契約解消発表は「とある個人が異常な行動を起こし独断で行なった」ものであり、目下、法的な手段での解決を図っている事を明らかにした。

「リッチエナジー株の過半数を所有する株主は、権限を持たない人物からメディアへと流通した特定の声明文の件について、これを明確にしたいと考えている」

「我々はハースF1チームとそのパフォーマンス、そして組織全体を心から信じており、現在のスポンサーシップ契約を全力で遵守していくつもりだ。また、我々がブランド展開を行っているF1というスポーツに対しても全面的に信頼している」

「一個人の異常な行為が大きな当惑を引き起こした事は確かだ。我々は法に則ってその人物の全ての経営権を剥奪するよう手続きを進めている。その人物は今後自らを擁護する発言を行うかもしれないが、それは企業としての見解ではない」

「こういった事件が発生してしまい非常に残念に思う。この問題は商業的にセンシティブであるため、我々はこれ以上この件について言及する意志はない。密室の中で全てを解決するつもりだ」

声明では、問題となった個人は特定されていないものの、これが最高経営責任者を務めるウィリアム・ストーリーである事は疑いない。ストーリーCEOはこの声明を受けて次のように反論している。

「レッドブルやホワイトバイクスと親密な関係を持つ一部株主による公式声明は馬鹿げたものだ。彼らが思い描いた壮大なクーデターは失敗に終わった。私はリッチ・エナジーのあらゆる資産を管理する立場にあり、英国のプレミアム・エナジー・ドリンクの成長戦略を支えるあらゆる利害関係者の支持を得ている」

謎が多いとされるリッチ・エナジーのエナジードリンク商品は、レッドブルのOEM商品では考える者もいるようだが、依然としてその実態は良く分かっていない。同社は事業開始に際して、オス鹿を模したデザインのロゴを制作し、これをプロモーションに利用してきたが、英国の自転車ブランド「ホワイト・バイクス」に著作権侵害訴訟を起され敗訴。先日、7月18日に差止命令が発せられる事が確定したばかりであった。

なお先述の株主は、今後も変わらずハースF1チームとのパートナーシップを継続していくと明言した。

「ハースF1チーム及びF1へのコミットメントを約束したいと思う。本件を内部的に対処し、忍耐強さを支持を示してくれたハースに感謝している」

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