リッチ・エナジーのウィリアム・ストーリーCEOとハースのロマン・グロージャン、ケビン・マグヌッセン、ギュンター・シュタイナー代表
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契約解消はリッチエナジーCEOの独断?「”誰か”を困難な状況に陥れたくはない」とハース代表

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リッチ・エナジーとの商業契約解消の件について、ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表は、詳細な言及を拒否しながらも「誰かを困難な状況に陥れたくはない」と語り、一件は、リッチ・エナジー社全体ではなく特定個人に責任があるかのような発言をした。

今季よりハースF1のタイトルスポンサーを務めているエナジードリンク企業のリッチ・エナジーは10日(水)夜、SNSを通じて一方的にハースとの契約解消を発表するも、その16時間後、ハースはシュタイナー代表名義で「契約は現在も有効」との旨の声明を発表。見解の相違が発生している。

イギリスGP開幕を翌日に控えた11日木曜、シルバーストン・サーキットで行われたメディアセッションに挑んだシュタイナー代表は、今週末のグランプリでも従来どおり同社のロゴを掲載し続ける予定であると述べ、契約解消の事実がないことを改めて仄めかした。

更にシュタイナー代表は、タイトルスポンサーとの折衝事は「仕事の一部に過ぎない」として、目下ハースが集中すべきは予想外の契約解消発表ではなく、過去数戦続いている成績不振からの脱却だと主張。加えて今回の件は、リッチ・エナジー社全体ではなく、ある特定個人に責任があるかの如く示唆した。

「詳しい話をしたいが、それは出来ない」とシュタイナー代表。「私としては誰かを困難な状況に陥れるような事はしたくない。申し訳ないがこの件については何も言えない。(リッチ・エナジーのロゴは)今週末もクルマに掲載される事になるだろう」

「私としてはこの件について徹夜をして考え続けているわけではない。私にとってより重要なのは、自分たちが望むポジションを得るためにクルマのパフォーマンスを改善させる事であり、それが我々が現在集中して取り組んでいる仕事だ」

ハースは今季、放熱性向上のために仕様が変更されたピレリタイヤに苦戦し続けており、前戦オーストリアではロマン・グロージャンが16位、ケビン・マグヌッセンが19位フィニッシュという無残な結果に終わった。コンストラクターズでは単独の9位に沈んでおり、下に続くのはウィリアムズのみという厳しい状況に置かれている。

リッチ・エナジーは契約解消発表の中で、理由としてハースの「成績不振」を挙げていたが、シュタイナー代表は舌戦で得られるものは何もないとして、反論する事を避けた。

「私はプロフェッショナルだ。話せる時は話をするが、そうでない時は何も話すつもりはない。言葉の応酬をする気はさらさらない。意味がないし、それが私を動揺させる事もない。この件は来週処理すれば良い問題であり、私はそうするつもりでいる」

現時点ではリッチ・エナジー社側からの追加の声明はないが、本件は同社のCEOを務めるウィリアム・ストーリー氏個人が株主並びに役員会での承認を得ないままに独断で発表したとの憶測が広がっており、今後も両者のパートナーシップは継続するのではとの見方が有力視されている。

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