
ハミルトン、圧倒の優勝マシンが数時間で豹変―何がF1中国GP予選での失速をもたらしたのか?
2025年F1第2戦中国GPのスプリントレースでルイス・ハミルトンは、フェラーリ移籍後初の勝利を飾った。しかし、その数時間後に行われたグランプリ予選では一転、ポールポジション争いから脱落し、5番手にとどまる結果となった。この急激なパフォーマンスの変化の背景には、どのような要因があったのか。
スプリント予選では最速タイムをマークし、スプリント本戦では2位に7秒もの大差をつける圧巻の走りで勝利を収めたハミルトン。前半セッションはまさに独壇場だった。
Courtesy Of Ferrari S.p.A.
トップチェッカーを受けフェラーリSF-25の上に立ち観客の声援に応えるルイス・ハミルトン、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)
だが、グランプリ予選では一転して勢いを失い、決勝では5番グリッドからスタートすることとなった。チームメイトのシャルル・ルクレールも6番手に甘んじ、フェラーリ勢は前線から後退したかたちとなる。
この失速についてハミルトンは、スプリント後にパルクフェルメが解除されたことで施したセットアップの変更が裏目に出たと明かしている。
「最初はすごく良い感じだったんだけど、いくつか変更を加えたら、クルマが一気にシビアになっちゃってね。風も少し強くなったし、それでクルマがすごく扱いにくくなって、ラップをまとめるのも難しくなったんだ」とハミルトンは語る。
「バランスの取れたクルマを求めているのに、今はコーナーごとにクルマのバランスが全然違うんだ」
「変更したら一転、高速域でリアが軽くなりすぎてしまった。コーナーに飛び込むときに信頼できるクルマが欲しい。ロックアップしたりオーバーステアになったりするんじゃなく、ちゃんとついてきてくれるようなやつがね」
「クルマの動きが予測できないと、もうどうしようもない」
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スプリントを前にグリッド上でフレデリック・バスール代表と話をするルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年3月22日(土) F1中国GP(上海インターナショナル・サーキット)
シングルラップでのパフォーマンスは明らかに低下したが、今回のセットアップ変更は予選よりも決勝を見据えたものであるという。
19周で争われたスプリントでは、左フロントタイヤのデグラデーション(劣化)が各車の悩みの種となった。ハミルトンはそれを踏まえ、決勝での逆襲に自信を見せている。
「タイヤの使い方がカギになるはずだ。けど、明日に向けては楽観的に考えている。スタートで最低でも1台は抜いて、徐々に順位を上げていきたいね」
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パルクフェルメで勝利をチームメンバーと祝うルイス・ハミルトン(フェラーリ)、2025年3月22日(土) F1中国GPスプリント(上海インターナショナル・サーキット)
2025年F1中国GP予選ではオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がキャリア初のポールポジションを獲得。ジョージ・ラッセル(メルセデス)が2番手、ランド・ノリス(マクラーレン)が3番手に続く結果となった。
決勝レースは日本時間3月23日(日)16時にフォーメーションラップが開始され、1周5,451mの上海インターナショナル・サーキットを56周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。