アメリカGPに挑むフェルナンド・アロンソ/ 2017年
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マクラーレン・ホンダ崩壊の過程が明らかに…Amazonドキュメンタリー「GRAND PRIX Driver」の一部内容が判明

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2月9日から配信されるAmazonプライム・ビデオ「GRAND PRIX Driver」の内容が徐々に明らかとなってきた。第二期マクラーレン・ホンダ崩壊劇の生々しい舞台裏を描くこのドキュメンタリーは、マイケル・ダグラスがナレーションを務め、全4部作がAmazonで独占配信される。日本語配信は未定。

2015年、世界中のファンの期待を背負ってF1に復活したマクラーレン・ホンダであったが、度重なる信頼性のトラブルに悩まされ、昨年2017年シーズンを以て僅か3年で空中分解した。

優勝という高い目標を達成すべく、ホンダは2年間改修し続けたエンジンを捨て、3年目のシーズンをゼロから再スタートした。だが、シーズン開幕前のバルセロナテストでエンジントラブルが多発。これを機にマクラーレンはホンダ外しの画策に。結果、シーズン終了を待たずして決別を発表するに至った。

公開目前にして、番組の一部内容をMotorsportとAutosportがリークした。マクラーレンCEOザク・ブラウンは両メディアの非常勤会長職に就いている。報じられた内容によれば、映像は憤りと憎悪溢れる険悪なムード満載であり、フェルナンド・アロンソの引き止めに奔走するチーム首脳陣の苦悩を中心に描かれている。

「テストを終えて、フェルナンドはかなり苛立っている」チーム代表のエリック・ブーリエは撮影カメラに対して語る。マクラーレンは、バルセロナテストの段階で既にホンダとの提携解消を決意していた事を明らかにしている。カメラはその時のリアルなやり取りを捉えていた。ブーリエは続ける。

「フェルナンドは、レースに対する自分の立場を考え直しているとハッキリ言ったんだ。もう一年こんな状態で過ごすつもりはないってね」

「私が一番懸念してるのはチームの崩壊ではない。ドミノ効果は知ってるね?F1では危うい立場にある時、人材を盗まれる危険がある。チームを作り上げるのには何年もかかるけど、壊そうと思えば半年で十分なんだ」

ブーリエはCOOを務めるジョナサン・ニールの元に赴き、次のように伝えた。「彼がチームに留まる可能性はゼロだと思う。間違いない…」シーズン開幕前の出来事だ。

グランプリでお馴染みのアロンソの毒舌ホンダ批判は、バルセロナテストの時も変わらなかった。「GRAND PRIX Driver」によれば、アロンソはホンダエンジンのせいで自身の生命が脅かされているとさえ考えていた。

「こんな状態で走るのは危険すぎる。ドライバビリティが酷くてリアのバランスが最悪だ。こんな状態じゃテストなんてできない。本当にクソみたいなエンジンだ。知ってるだろ?最悪のパワーユニットだ」

コース内での映像のほか、制作チームは、マクラーレンの本拠地ウォーキングのファクトリー内にも潜入、伝説の名を持つチームの分断への過程を生々しく伝える。

公式にはドキュメンタリーと銘打たれているが、現在公になっている情報を総合すると、ドキュメンタリーとは言い難い一方的な視点で描かれた映像となっている可能性もある。番組の説明では「かつてないレベルでマクラーレンへのアクセスが許可された」とあるが、ホンダ側への取材の程度については言及が見当たらなかった。

あのような危機的な状況の中で、何故マクラーレンは前代未聞のアクセス権限を第三者に提供したのだろうか?どのようなメリットがあったというのだろうか?

そういった懸念とは裏腹に、実際の番組が双方の視点を組み込んだ公平な内容であるとするならば、今回のリーク内容自体が一方的な視点に基づくものであったという事になる。いずれにしても、マクラーレンは昨今の成績不振の原因については、ホンダに全面的な責任があるとの間接的な広報を続けている。

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