
アストン製F1セーフティカー論争勃発、フェルスタッペンの「亀」批判にFIA「速度より安全」と反論
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がアストンマーチン製F1セーフティーカー(SC)を「亀」に例えて遅すぎると批判した件を受け、国際自動車連盟(FIA)は声明を発表し、「SCに求められる最優先事項はスピードではなく安全である」と強調した。
F1にはメルセデスAMG GTブラック・シリーズとアストンマーチン・ヴァンテージの2種類のSCが供給されており、共にベテランSCドライバーのベルント・マイランダーがステアリングを握っているが、両者にはパフォーマンス面で明確な違いがある。
AMG史上最強の4リッターV8ツインターボを搭載するメルセデスSCは最大出力730馬力を誇るだけでなく、空力を考慮してセーフティカーシグナルがウィンドスクリーンとリアスポイラーに組み込まれている。対してアストン製は従来のようにシグナルがルーフ上に設置され、同じ4リッターV8ながらも535馬力と非力だ。
第3戦オーストラリアGPで2度にわたりアストン製SCが導入されると、フェルスタッペンは「まるで亀だ」「アストンマーチンは本当に遅い」と不満を表明し、調査を求めた。シャルル・ルクレール(フェラーリ)も「正直に言って毎回遅すぎると感じる」と同調。さらにジョージ・ラッセル(メルセデス)も「真面目な話、メルセデスAMGはアストンマーチンより5秒速い。相当な差だ」と、パフォーマンス差を指摘した。
こうした批判に対してFIAは、「セーフティカーに求められている最たるものは当然、スピードではなく、ドライバー、マーシャル、オフィシャルの安全であることを改めて強調したい」との声明を発表した。
「セーフティカーというものは幾つかの目的を考慮して導入されるもので、事故現場の復旧やコース上に飛散した破片の安全な処理、復旧活動の進捗に応じたペース調整など、フィールドを”束ねる”事にある」
「セーフティカーの速度はクルマの性能によってではなく、レースコントロールによって決定される。セーフティカーは世界トップクラスのメーカー2社が用意した特注の高性能車で、刻々と変化する路面状況に対応できるよう装備されており、経験豊富で有能なドライバーとコドライバーがドライブする」
「セーフティカーの速度が後続のF1マシンのパフォーマンスに与える影響は二の次であり、その影響はすべての競技者に等しく、自分のクルマとサーキットの状況に応じて常に安全運転を行う責任がある」