パオロ・イッポリートにバンパーを投げつけるルカ・コルベーリ、CIK-FIA世界選手権KZクラス決勝レースにて

FIA、物議を醸した”バンパー投げ事件”のコルベーリに15年間のレース追放命令

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国際自動車連盟(FIA)は2021年4月19日(月)、悪名高い”バンパー投げつけ事件”を引き起こしたイタリア人カートドライバー、ルカ・コルベーリに対して、FIA管轄競技からの15年間の追放処分を下した。

昨年10月4日にイタリア・ロナートで行われたCIK-FIA世界選手権KZクラスのレース中、コルベーリはライバルのパオロ・イッポリート目掛けバンパーを投げつけ、挙句の果てに父マルコと共にパルクフェルメで乱闘騒ぎを起こした。

FIAはコルベーリが「自身のカートのフロントフェアリングを、競技中の他のドライバーに向かって投げつけた」挙げ句に「レース中にオフィシャルの指示に従わず、何度もコースを横切り」更には「パルクフェルメ内で他のドライバーに体当たりした」事を問題視。ジャン・トッドFIA会長が2月1日に、本件の審議を国際法廷に要請した。

23歳のコルベーリは、2012年のCIK-FIAワールドカップのKF3カテゴリーで、現在F1でステアリングを握るジョージ・ラッセルやランス・ストロールを抑えて優勝した事もあるドライバーだ。

FIA側は永久追放を求めていたものの、コルベーリ側が過去の類似判例などを元に意義を唱えた事から、国際法廷は当事者の意見聴取を経て、コルベーリをFIAが直接または間接的に管轄する全てのモータースポーツ競技から15年間追放するとの裁定を下した。なおコルベーリは、事実関係については全面的に認めている。

15年という数字については、コルベリが比較的まだ若い事、カートで10年のキャリアを持つ事、初犯である事、そして公に謝罪した事等が考慮された。

この事件については、その様子を収めた映像が広く世界中に拡散され、2009年のF1ワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンが「このバカ野郎に永久追放を望む」と述べ、更には世界カート選手権のトップを務める元F1ドライバーのフェリペ・マッサが、コルベーリの行為は「許容できるものではない」と表明した事などから、大きな関心を集めていた。

バンパー投げつけ事件の全容

判決文によると、コルベーリは「少なくとも1.35kg」の重量のパーツを時速約100kmで走行中のイッポリートに投げ付けたとされる。仮にイッポリートのヘルメットに当たっていた場合「頭部の急激な後方移動と首の著しい過伸展により深刻な傷害を与えた可能性」があるという。

コルベーリはバンパーを投げ付けた後、FIA副レースディレクターを務めるパスクアーレ・ルポーリ含むオフィシャルの静止を無視してコースを横切り、その足でパルクフェルメに向かい暴力沙汰を引き起こした。

コルベリはイッポリートに激しくタックルすると、地面に押し倒して殴り始めた。喧嘩を止めようと、少なくとも4人のドライバーやメカニックが2人を引き離そうとしたものの、コルベーリの父マルコがイッポリートの頭を殴り、イッポリートの父親も数秒後に争いに加わった事で、4人による乱闘が始まった。