2014年から2018年までのメルセデス製F1パワーユニット
Courtesy Of Daimler AG

F1、PU開発凍結で合意…レッドブルとアルファタウリ、2022年以降もホンダF1エンジン継続へ

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F1は2022年シーズン以降、パワーユニット(PU)開発を凍結する事で合意に至った。11日(木)に行われたF1コミッションの中で投票が行われ、全会一致で可決された。これによりレッドブル及びアルファタウリが、ホンダ撤退後の来季以降も同社製PUを搭載する見通しが固まった。

2021年末でのホンダのF1撤退に伴い、レッドブル系2チームは来季以降のPUの再検討を強いられた。レギュレーションの規定に従いホンダに代わってルノーが供給の義務を負う事になるものの、レッドブルはホンダにこだわった。

車体に最適化されたPUなくして勝利は望めない。カスタマーチームへの転落を避けたいレッドブル陣営は、知的財産権のリースという形でホンダ撤退後も同社のPUを継続使用するシナリオを描き、F1や国際自動車連盟(FIA)に対して「撤退」をちらつかせながら数ヶ月以上にも渡って凍結に向けた交渉を進めてきた。

これに関してライバルのフェラーリとメルセデスは支持する立場を表明したものの、ルノーは12ヶ月後に大掛かりなアップグレードを予定しているため反対の立場を固辞。こうした状況の中、F1の新たなCEOに就任したステファノ・ドメニカリが開発凍結を支持する考えを明らかにした事でルール変更に向けた土壌が作られた。

11日に行われた会合にはF1、FIA、エンジンメーカー、そしてチーム代表者が出席。細部に関しては更なる議論が行われる見通しであるものの、FIAは全会一致で凍結が合意に至ったと発表した。また、開発凍結を経て2025年に「パワフルかつ感情に訴える」次世代パワーユニットの導入を目指していく方針が明らかにされた

開発の凍結に際しては各メーカーのPU性能の平準化が必要となる。著しい性能差がある状態で開発が凍結されれば、チーム間競争力が大きく開いたまま3シーズンを過ごさざるを得なくなる。これはチームにとってもさることながらスポーツにとっても致命的だ。

フェラーリとレッドブルは燃料流量の調整によりパフォーマンス収束を実現させる方法を推進していたが、一方のメルセデスとルノーはこれに反対の立場を示していた。こうした詳細な点に関して今後すり合わせと調整が行われるものと見られる。

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この日の議題のもう一つの注目点はスプリントレース予選だ。チーム側からは全面的に支持する好意的な反応が得られたものの、こちらも更なる協議が必要との結論に達し、投票が行われる事はなかった。F1は3月28日の開幕バーレーンGPを前に最終的な決断を下すとしている。

また、ドライバーの給与上限も議題となっていたが、こちらも決議待ちという事で最終的な結論に達する事はなかった。

対して、タイヤサプライヤーのピレリが2022年の18インチタイヤの導入に向けてのテスト日数を25日から30日に増やしたいと提案した件については満場一致で可決された。

F1の将来を左右する重要なトピックが広範に話し合われたこの日のF1コミッション。パワーユニット開発凍結と合わせて今後の進展が注目される。