2021年1月15日、イギリスのミルトンキーンズにあるレッドブル・レーシングのファクトリーで写真撮影に臨むセルジオ・ペレスcopyright Red Bull Content Pool

セルジオ・ペレスはレッドブル・ホンダの期待に応えてマシン開発と成績向上に貢献できるだろうか?

  • Published:

セルジオ・ペレスは年明けから間もない1月11日、英国ミルトンキーンズにあるレッドブル・ホンダのファクトリーに足を運び、チーム代表のクリスチャン・ホーナーやF1屈指の天才デザイナー、エイドリアン・ニューウェイとのミーティングに臨むなど、新天地での職務をスタートさせた。

ペレスは旧フォース・インディアを財政破綻から救いレーシングポイントの誕生を影で支えたものの、アストンマーチンへのリブランドを前に不運にもシートを奪われ、突如サバティカルの危機に晒された。だがシーズン後に一転、タイトル獲得の可能性に満ち溢れたトップチームの席を手にした。

レッドブル入りのチャンスが生まれたのは、アレックス・アルボンがマックス・フェルスタッペンの後方支援任務を担えなかったためだ。

メルセデスは常に2台を駒に戦略を駆使したが、アルボンが予選で遅れを取り続けた事でレッドブル・ホンダはフェルスタッペンの1台のみでシルバーアローと戦わなければならなかった。

10年に渡るF1キャリアにおいて191回のグランプリを戦ってきたペレスは、常にポディウムに上がれるほど高い戦闘力を持つマシンに恵まれた事はなかったものの、10回の表彰台記録を積み上げてきた。ペレスはレッドブル・ホンダの期待に応えてマシン開発と成績向上に寄与できるだろうか?

貢献求めるレッドブル・ホンダ

2021年1月12日、イギリスのミルトンキーンズにあるレッドブル・レーシングのファクトリーでシートフィッティングを行うセルジオ・ペレス
ファクトリーでシート合わせを行うセルジオ・ペレス、2021年1月12日 / © Red Bull Content Pool

チームがペレスの肩に寄せる期待とプレッシャーは、ピエール・ガスリーやアレックス・アルボンの比ではないだろう。

レッドブルは伝統的に、傘下の育成プログラム「レッドブル・ジュニアチーム」の出身者を育て上げ、トップチームへと昇格させていくスタイルを貫いてきた。だが、ホンダ製F1パワーユニットを積んでワークスチームとして挑戦する最後のシーズンを前に、チャンピオンシップ制覇の野望達成のためにこの伝統を放棄した。

ペレスはレッドブルが敷くレールの上に乗った事は一度もない。レッドブルが外部からドライバーを雇い入れたのは2007年のマーク・ウェバー以来初の出来事だ。

ペレスはガスリーやアルボンとは異なり、ルーキーでも経験の少ない若手ドライバーでもない。チームはペレスを経験豊富で実績のあるベテランドライバーとみなし、コースの内外を問わずチーム前進への貢献を求めている。

重圧の大きさは想像に難くない。だが昨年のサクヒールGPでキャリア初優勝を飾った30歳のメキシコ人ドライバーは、チームに対して有益な知識を提供できると考えている。

「僕には様々な時代で色んなチームに関わってきた経験がある」

ザウバーでF1デビューを果たし、マクラーレン、レーシング・ポイント(旧フォース・インディア)を渡り歩いてきたペレスはこう語る。

「自分に何が求められているかは分かっている。少し話をしただけだけど、特定のエリアでチームを前進させる事ができると感じているし、チームは進むべき方向性を理解している」

「もちろん、実際にマシンを運転するまでは何とも言えないけど、すでにチームとは幾つかの良いアイデアを共有している。上手くいけばコース上でのパフォーマンスに繋がるはずだ」

活躍の鍵は適応と準備

2021年1月11日、イギリスのミルトンキーンズのレッドブル・ホンダのファクトリー内のMK-7でF1マシンを眺めるセルジオ・ペレス
© Red Bull Content Pool

ペレスは「新しいエンジニアやマックス(フェルスタッペン)と共に仕事に励み、このチームを前進させていく事を本当に楽しみにしている。これは僕にとって大きな挑戦だ」と述べ、チームがペレスに寄せるのと同じ様に、チームに対して大きな期待を抱いている。

昨年のフェルスタッペンの成績が示すように、レッドブル・ホンダのマシンは全レースでの表彰台獲得のチャンスをドライバーにもたらし得る。ただこの魅力的なチャンスを結果に結びつけるためには、これまで慣れ親しんできたものとは異なる新たなマシンのみならず、フェルスタッペンを絶対的エースドライバーとして据えるチームの方針、文化に対して素早くそして上手く適応する必要がある。

今季のプレシーズンテストはトータル僅か3日間と、例年の半分に制限されている。年末のアブダビテストとは異なりチームは1台のマシンしか走らせる事ができないため、ペレスが開幕バーレーンGPまでに実車に乗れるのは1日半しかない。

また、レッドブル・ホンダというF1屈指の強豪チームは、ペレスが7年間を過ごしたシルバーストンのチームとは規模も体制も大きく異なる。ペレスはレッドブルに加わった事で、トップチームと中団チームとの違いを実感したと話す。

「このファクトリーに来れば、レッドブルが何故これほどの成功を収める事ができたのか直ぐに理解できる。巨大なインフラと開発、そして人々。チームは本当に有能な人材を抱えている」

「僕がこれまで働いてきたチームとは、ある意味で大きく異なる。組織としてのレベルはとてつもなく高く、多くの人たちが働いていて、その豊富なリソースには本当に驚かされる」

限られた時間内でチームとマシンに慣れるべく、ペレスはシミュレーターでステアリングを握り2021年型「RB16B」へのイメージを頭の中で形作りつつ、エンジニアやクリスチャン・ホーナー代表、エイドリアン・ニューウェイといったキーマンとの関係構築に努めている。

2021年1月11日、イギリスのミルトンキーンズにあるレッドブル・レーシング・ファクトリーで、チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューイ、チーム代表のクリスチャン・ホーナーと話すセルジオ・ペレス
チーフテクニカルオフィサーのエイドリアン・ニューイ、チーム代表のクリスチャン・ホーナーと話すセルジオ・ペレス / © Red Bull Content Pool

「エイドリアン(ニューイ)と一緒に仕事ができるなんて夢のようだ。それに、このチームのエンジニアリングは本当に感動的なレベルにある」とペレスは語る。

「仕事のやり方は前のチームとは大きく違うし、学ばなきゃならない事が山積みだ」

「時間が経つに従って上手くやれるようになっていくだろうし、チームの事も深く知ることができる。つまりは時間の問題に過ぎないけど、僕はプレシーズンテストに向けてそのプロセスを加速させている」

「エンジニアのみんなとは既にかなりの時間を共に過ごしているし、数日に渡ってシムでドライブもしている。こうした取り組みが役に立ってくれるはずだ」

「それにレッドブルのマシンがどんなものかは頭で理解できている。とは言っても、実際にマシンに乗って速く走るためには、更に学んで仕事に取り組まなきゃならない」

「テストまでに残された時間は限られているし、実際に車に乗れるのもわずか1日半と少ないけど、それは誰にとっても同じことだし、今年は多くのドライバーがチームを移籍しているから、誰が一番早く新しいチームに適応できるか見ものだ」

今季のプレシーズンテストは例年のカタロニア・サーキットではなく、開幕戦が行われるバーレーン・インターナショナル・サーキットで3月12日〜14日の3日間に渡って行われる。