2021年以降のF1マシンのレンダリングCG
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F1、3年間のパワーユニット開発凍結を経て2025年に「パワフルかつ感情に訴える」次世代エンジンを導入

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F1は2月11日(木)、今年初となるF1コミッションをオンラインで開催し、将来の方向性に関する幾つかの重要な議題について議論を行い、現行の1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジンの開発を2022年より凍結する事を全会一致で可決した。

会合にはF1、統括団体の国際自動車連盟(FIA)、参戦中の10チーム、パワーユニット(PU)メーカーが参加。来季からのPU開発凍結が投票にかけられ満場一致で合意に至った。これによりレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリが、今季末での撤退以降もホンダ製F1パワーユニットを継続使用する道筋が固まった

なお実際のレギュレーション変更に際しては、世界モータースポーツ評議会(WMSC)での最終承認が必要となる。

各メーカーのPUに著しい性能差がある状態で開発が凍結されれば、チーム間競争力が大きく開いた状態が続く事になり得る。これはチームにとってもさることながらスポーツにとっても致命的であり、何らかの対策が必要となる。

フェラーリとレッドブルは燃料流量の調整によりパフォーマンス収束を実現させる方法を推進していたが、一方のメルセデスとルノーはこれに反対の立場を示していた。凍結の方向性自体は合意されたものの、こうした詳細な点に関して今後すり合わせと調整が行われるものと見られる。

更に、次世代F1マシンと将来のパワーユニットの方向性の策定を進めていくべく、既存のPUメーカー並びに、将来的な参戦を検討中のメーカーや燃料サプライヤーをメンバーとするハイレベルのワーキンググループが設立された。

チェイス・ケアリーに代わって新たにF1の最高経営責任者に着任したステファノ・ドメニカリは先月、複数のマニュファクチャラーがF1への新規参入に興味を持っていると述べていた。ワーゲングループ傘下のアウディの名前が度々噂されているものの、具体的な名前は明らかにされていない。

自然吸気エンジンから電動モーターへと車両動力源のパラダイムシフトを迎える自動車業界の大変革期に際し、次世代F1マシン並びにパワーユニットのあるべき姿を描く事はF1とFIAにとって最重要課題の一つであり、特にカーボンニュートラルやコスト削減を如何にして達成していくかが求められている。

会合では来たるべき2025年のパワーユニットで達成すべき主な目標が議論され、世界情勢と自動車業界の動向に即した環境面での持続可能性、将来に渡って完全に持続可能な燃料の開発、強力なパワーを持ちファンの感情に訴えるようなパワーユニット、大幅なコスト削減、新規メーカーの参入を促す魅力といった5つの柱を提言した。