F1、レッドブルの協力を得て7月5日のオーストリアGPでの開幕を予定
ホンダ製F1パワーユニットを搭載するレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表によると、確定事項ではないものの、F1の首脳陣達は7月5日のオーストリアGPを今シーズンの開幕戦として予定している。
先日報じた通り、レッドブルのお膝元であるレッドブル・リンクとシルバーストンは平日開催を含めたダブルヘッダーに前向きな意向を示しており、同国出身でレッドブルの顧問を務めるヘルムート・マルコはオーストリアの公共放送局ORFに対して、サーキット側は無観客での開催案を当局に提出済みで、承認が下りる可能性は非常に高いとしている。
© Getty Images / Red Bull Content Pool、クリスチャン・ホーナー代表とヘルムート・マルコ、2020年F1バルセロナテストにて
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で3月のオーストラリアGPが中止に追い込まれた後、F1は段階的に、ジル・ビルヌーブ・サーキットでの第9戦カナダまでの全てのレースを中止あるいは延期すると発表した。F1のチーフ達は収益の落ち込みを最小限に抑えるべく、シーズンをスタートさせようと躍起になっている。
公式発表こそないが、6月28日に決勝レースが予定されているポール・リカールでの第10戦フランスGPも中止あるいは延期が避けられない情勢であり、F1カレンダーは更にもう一つのレースを失う可能性があるが、シュピールベルクの北部に位置するレッドブル・リンクでのグランプリは、新型肺炎を巡る国内の状況改善に伴いスケジュール通りの開催に向けた期待が高まっている。
クリスチャン・ホーナー代表は英紙The Sunとのインタビューの中で「レースを成功させるためにレッドブルが可能な限りの手を打ってくれている。もし保健当局と政府が同意すれば、我々はスタート地点に立つことが出来るし、他(のグランプリ)もこれに続く可能性がある」と語った。
「ファンを会場に入れずに、最小限の人員でレースを開催するための方法について多くの研究がなされてきた。チームの人数を80人程度に減らしてテストを行うなどの手順を踏むことになるだろう」
実効性のある検疫を実施し、感染拡大のリスクを最小限に抑えるためにF1は、観客やメディアを締め出しての無観客レースを想定している。現地入りするためには検査機関による陰性証明証が必要で、入場者数も2000人未満に制限される。更に、レッドブル・リンクまで車で5分の距離にあるツェルトベク飛行場への直行便のチャーターが検討されている。
© Pirelli、F1オーストリアGPの舞台、レッドブル・リンクの3コーナー付近
無論、7月5日までは後2ヶ月近くあるわけで、状況が悪化すればこの計画は破談となるだろう。だがクリスチャン・ホーナー代表は「不確実性が高い状況であっても、目標を持つことは常に重要だ。目標がなければ、人生において物事はただ流れていくだけだ」と述べ、7月5日の開幕を想定して準備を進めて行く考えを明らかにした。
「この世界的な危機は非常に大きなものだが、7月5日に目印を置いておく事は重要だ。今の状況を考えれば、これはこのスポーツにとってポジティブな目標だし、もし変更が必要になってもそのための時間はいくらでもある」
「準備は整っているし、後はスイッチを入れるだけだ」
オーストリア国内では厳しいロックダウン措置を経て状況が改善方向に向かっており、ヴェルナー・コグラー副首相兼スポーツ大臣はF1オーストリアGPについて「無観客かつソーシャルディスタンスなど(パンデミックに関する)の条件を守れるのであれば、開催を阻害しない」と明言している。