スタート直後のターン1でマクラーレンとサイドバイサイドになったレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2019年F1F1メキシコGP エルマノス・ロドリゲス・サーキットにて
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新型コロナ欧州で猛威も、F1 最小でも17戦を楽観視…サマーブレイク廃止で8月トリプルヘッダー

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シーズンそのものが危ういとの考えも決して珍しくはないように思うが、F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、例年夏休み期間となっている8月を活用すれば、2020年シーズンは最低でも17・18戦を確保できると楽観視している。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、オーストラリアGPを含む開幕4戦は、曰く公式に延期された。ただし、延期日が決まっていないものを延期というのは詭弁であり、実際には中止のうえで開催代替日を探るというのが実態だ。延期開催など不可能に近いオーストラリアGPですら延期の可能性を模索するとしている。

今季は35年ぶりに復活するオランダGPと、初開催のベトナムGPという2つの目玉を備えた史上最多22戦のシーズンとなるはずであったが、先の4戦の延期日が決まっていない以上、今のところは最多でも18戦しか行われる見通しが立っていない。しかも状況は悪化の一途を辿っている。

カレンダーの内、10戦はF1のホームゲーム、つまりヨーロッパで行われるが、イタリアでの死者は1266人を超えスペインは非常事態宣言を発令するなど、欧州全土は今やウイルスの猛威に晒されている。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は13日に「今は欧州がパンデミックの震源地」と発言している。

以下の表は、ヨーロッパのF1開催国毎の感染者及び死者数(14日現在)で、新規というのは14日に新たに確認された数だ。参考までにオーストラリアと日本も加えた。

感染者数
累計
感染者数
新規
死者
累計
死者
新規
オランダ 804 +190 10 +5
スペイン 5,232 +2,086 133 +47
モナコ 10
アゼルバイジャン 15
フランス 3,661 +785 79 +18
オーストリア 504 +143 1
イギリス 798 +208 11 +1
ハンガリー 19 +3
ベルギー 559 +160 3
イタリア 17,660 +2,547 1,266 +250
オーストラリア 199 +43 3
日本 734 +43 21 +2

各開催国の流行の程度も一つの指標だが、オーストラリアGPで明らかとなったように、現実にはチームスタッフ一人に陽性反応出ればグランプリの開催が危ぶまれる。本日付のアゼルバイジャンの感染者数が累計15人であることは、決して開催を楽観視できるということを意味しない。

だがロス・ブラウンはスカイスポーツF1とのインタビューの中で次のように述べ、最小でも17戦は堅いとの考えを示し、真っ当なチャンピオンシップが期待できると主張した。

「8月のサマーブレイクを解放することで、数戦分のレースが開催できる余地が生まれる。これによってかなり真っ当なカレンダーを再構築できるはずだと考えている。見た目は変わるだろうが、数多くのレースを確保できるし、エキサイティングなレースが楽しめるはずだ。シーズンの開幕はずれ込んでしまうが、(例年と)同じように楽しめるだろうと思う」

「我々は経験したことのない状況に置かれているが、私は最低でも17・18戦はレースができるとかなり楽観視しているし、(限られた期間に)それを詰め込めると考えている。ただしそれはシーズンがいつスタートするかに依存する」

果たしてそんな事が本当に可能なのだろうか? ロス・ブラウンは、レースウィークを2日制にしてトリプルヘッダー(3週連続開催)を組むことが一つの解決策だと述べ、これを実現させる事はチームにとって経済的に意味のあることであり、彼らの協力と柔軟性が欠かせないと訴えた。