サウジアラムコの石油タンク

F1サウジアラビアGP開催に向け大きく前進、アラムコと長期グローバル契約を締結

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フォーミュラ1は3月10日、世界最大手の石油会社「サウジ・アラムコ(Saudi Aramco)」との間で新しくグローバルスポンサーシップ契約を締結したと発表した。F1は現在DHL、エミレーツ、ハイネケン、ピレリ、ロレックスとグローバル契約を結んでいる。リバティ・メディア体制下でグローバルスポンサーシップが結ばれたのは今回が初めて。

サウジアラビアは国家経済の強化と多角化を目標に定め、国営石油会社のサウジ・アラムコを石油生産大手からグローバル複合工業企業へと生まれ変わらせようとしている。F1もまたサステナビリティを標榜し、その一環として2030年までに二酸化炭素の実質的排出量をゼロにする、いわゆるカーボンニュートラルを目標に掲げており、変革を迫られているという点で共通項を持つ。

このような背景から両者は共通の専門知識を結集し、持続可能な燃料、エンジン効率の向上、新たなモビリティ技術の発展のチャンスを探っていく。2019年11月に発表された先進的かつ持続可能なエネルギーを燃料とするパワーユニット開発計画を加速させる事が期待される。

F1は現在、サウジアラビアでのグランプリ開催を目論んでおり、正式な発表はないものの去る1月に6000万ドル規模の契約が結ばれたとも報じられている。首都リヤド近郊のキディヤに建設予定のサーキットは、元F1ドライバーのアレクサンダー・ブルツがデザインに関与しており、商業および娯楽施設を含めた超巨大開発プロジェクトの一環として計画が進められている。

本契約の一環として2020年シーズンのF1では、トラックサイド広告で同社をフィーチャーする。またアメリカ、スペイン、ハンガリーの各グランプリではアラムコがタイトル権を得るほか、テレビ放送やデジタルプラットフォーム上でのブランディングが計画されている。

アラムコ社長兼CEOのアミン・H・ナセルは「世界中に何百万人ものファンを持つ強力なグローバルスポーツブランドであるF1との提携を楽しみにしている。世界最大のエネルギーサプライヤであり、イノベーションリーダーでもある我々は、クリーンでありながらもエンジンパフォーマンスを向上させるような画期的なソリューションを見出したいと考えている。今回の締結がこの野望の実現に大きく貢献してくれる事だろう」と述べた。

なお対ロシアとの原油価格競争への懸念から、発表の前日にはアラムコの株価が初めて新規株式公開価格を下回り、サウジアラビア皇太子が目論む海外での株式売却の実現が遠のいている。

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