2021年以降のF1マシンのレンダリングCGcopyright Formula One World Championship Limited

EVではなくハイブリッドを選んだF1、二酸化炭素量削減に向けてバイオ燃料に注目

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フォーミュラ1は持続可能な社会=サステナビリティに取り組んでおり、その一環として、2030年までに二酸化炭素の実質的排出量をゼロにするカーボンニュートラルを目標に掲げている。実現に際しては全方位的な取り組みが必要となるが、中でも注目されるのがエンジンだ。

EVではなくハイブリッドを選んだF1

エコ化の流れに沿うように、F1は2014年よりダウンサイジングターボを導入。排気量僅か1.6リッターにも関わらず、システム計1000馬力とも称される破壊的なパワーを持っている。そんなV6ハイブリッドターボの熱効率は導入5年目に50%に到達。今のF1は世界で最も高効率なエンジンを採用している。

カーボンニュートラルと言えば「EV」を連想しがちだが、先頃発表された次世代のF1レギュレーションでは、現行パワーユニットがほぼ同じ仕様のままに2021年以降も継続される事が決定しているため、当面の間、F1が電動化される事はない。

確かに、今の自動車産業界は電動化への道をまっしぐらに進んでいるようにも見えるが、依然として世界の自動車の90%以上は内燃エンジンを動力としている。また、トラックや航空機のような大型車両を電気パワートレインで駆動するのは困難であるため、CO2削減に際しては当面、内燃エンジンとその燃料に注目する必要がある。

既に販売され、今まさに町中を走行しているクルマのCO2排出量の削減方法を考えずに、サステナビリティは語れない。F1はこのように考えており、バイオ燃料を当面の主役に据える事を目論んでいる。先端技術の実験場としてのF1で生み出されたバイオ燃料が、市販燃料へと転用される事で、全世界の排出量を抑える事ができる、というわけだ。

バイオ燃料導入によるパフォーマンス向上

バイオ燃料とは、動植物などの生物資源から作り出されたアルコール燃料、その他合成ガスのことで、二酸化炭素の総排出量を減らす上で、石油燃料の代替物として注目されている。

バイオ燃料には3つの世代がある。第一世代のバイオ燃料では、サトウキビやトウモロコシなどを原料としてバイオエタノールを製造していたものの、穀物相場の高騰や食料不足に関する問題が発生。第二世代では、本来であれば破棄される運命にある古紙やトウモロコシの皮、おが屑や牛糞などが原料として用いられているが、製造工程が複雑といった課題を抱えている。

そして第3世代は今まさに開発が進められているもので、e-fuelsあるいは合成燃料などとも呼ばれており、化石資源燃料と同レベルの性能をもつ燃料を化学的に生成する事を目指している。これは、ハード的な変更を加える事なくあらゆる種類の既存エンジンに直接使用できるため、ドロップイン燃料とも呼ばれる。F1が注目するのはこの最新世代のバイオ燃料だ。

現行のF1テクニカルレギュレーションは、燃料にバイオ成分を最低5.75%含む事としており、既にバイオ燃料が使用されているものの、F1のチーフテクニカル・オフィサーを務めるパット・シモンズは、最終的にはこの割合を100%とすべく、まずは2021年に10%への増加を目指すとしている。

F1では現在、レース中の燃料流量と使用可能量が厳しく制限されているが、バイオ燃料のようなクリーンな燃料が導入される事になれば、これらの規制は廃止あるいは緩和されることになるため、結果としてクルマのパフォーマンスの向上にもつながる。