遺恨必至…ベッテルへの5秒ペナルティでハミルトンが逆転優勝 / F1カナダGP《決勝》結果とダイジェスト
2019シーズンFIA F1世界選手権 第7戦カナダGP決勝レースが現地6月9日に行われ、ポールシッターのセバスチャン・ベッテルがトップチェッカーを受けたものの、レース中のインシデントによって科された5秒ペナルティのために最終2位に後退。ベッテルの後方1.4秒で2番手フィニッシュしたルイス・ハミルトンが優勝を飾った。3位表彰台にはシャルル・ルクレールが滑り込んだ。
問題となったインシデントは48周目に発生。ラップリーダーのベッテルがターン8への進入時にリアを滑らせスピン。芝生を乗り越えてコーナーをカットし、コースに復帰した際に後続のハミルトンとサイドバイサイドとなった。この際の動きが問題視され審議が行われた。
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無線でペナルティの決定が伝えられるや否や、ベッテルは「他にやりようがなかった。どうしろって言うんだ」とスチュワードに対して猛烈に抗議するも、すぐさまファステストを記録してギャップの拡大に動いた。だが、ハミルトンのペースは衰えることなく、チェッカーフラッグ後に順位が入れ替われる結果となった。
ピットへと戻ったベッテルは通常の手順に従わず、ピットレーン入口でクルマを止め、FIAスチュワード・オフィスに抗議に向かった。ルールではトップ3フィニッシュを果たしたドライバーに対するインタビューがピット上で行われるが、ベッテルはこれを欠席。更に、ハミルトンのクルマの前に置かれた「P1」のポジションボードを「P2」のものに置き換え、怒りをぶつけた。
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後味の悪い幕締であったが、世界中のファンはベッテルをドライバー・オブ・ザ・デイに選んだ。ベッテルは裁定を下したスチュワードを徹底批判しており、フェラーリ陣営はレース後、裁定に不服を申し立てて上訴する意向を明らかにしている。
ホンダエンンン勢は、9番グリッドのレッドブルのマックス・フェルスタッペンが5位入賞。対照的に、5番グリッドからポディウムを目指した僚友ピエール・ガスリーは、開始早々8周目にピットインを行なった事が仇となり、第一スティントを引っ張ったランス・ストロールにスタック。ニコ・ヒュルケンベルグとチームメイトにオーバーカットを許してしまい、8位でフィニッシュした。
トロロッソ勢は、ダニール・クビアトが残り3ラップのところでカルロス・サインツ(マクラーレン)を交わしてポイント圏内10番手に浮上。1ポイントを手にした。アレックス・アルボンは、オープニングラップのターン1でセルジオ・ペレスと接触。フロントウイングが脱落したため緊急ピットインを強いられ、一気に最後尾に後退した。その後幾らかポジションを上げるも、63周目にリタイアを選択した。
舞台となったのは、40回目の開催を迎えたジル・ヴィルヌーヴ・サーキット。全長4.361kmのコースには1kmを超えるロングストレートと3つのDRSゾーンがあり、屈指の高速コースとして知られる。チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは、気温28.1℃、路面52.1℃、湿度18.8%のドライコンディションで開始され、日本時間9日(日)3時10分にブラックアウトを迎えた。
公式タイヤサプライヤーの伊ピレリはC5タイヤをソフト(赤色)、C4をミディアム(黄色)、そしてC3をハード(白色)として投入。最も柔らかいレンジのコンパウンドを持ち込んだ。路面温度が50度を超える極めて熱いコンディションであった事もあり、第2スティントではハードタイヤが主流となった。
ミッドフィールド最上位はルノー勢。ダニエル・リカルドが6位、ニコ・ヒュルケンベルグが7位とダブルポイントを獲得した。母国GPのランス・ストロールは9位入賞。地元ファンの声援に応えた。
同じく2台揃っての入賞が期待されたマクラーレンは、ブレーキのオーバーヒートを抱えながらもドライバーへの警告を怠ったため、9周目にランド・ノリスの右リアサスペンションが破損。ピット出口脇のランオフエリアでマシンを止めた。サインツは旧友クビアトに一本取られ、11位完走という結果に終わった。
2019年F1第7戦カナダGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
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1 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 70 | 1:29:07.084 | 25 |
2 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 70 | +3.658s | 18 |
3 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 70 | +4.696s | 15 |
4 | 77 | ボッタス | メルセデス | 70 | +51.043s | 13 |
5 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 70 | +57.655s | 10 |
6 | 3 | リカルド | ルノー | 69 | +1 lap | 8 |
7 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 69 | +1 lap | 6 |
8 | 10 | ガスリー | レッドブル | 69 | +1 lap | 4 |
9 | 18 | ストロール | レーシングポイント | 69 | +1 lap | 2 |
10 | 26 | クビアト | トロロッソ | 69 | +1 lap | 1 |
11 | 55 | サインツ | マクラーレン | 69 | +1 lap | 0 |
12 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 69 | +1 lap | 0 |
13 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 69 | +1 lap | 0 |
14 | 8 | グロージャン | ハース | 69 | +1 lap | 0 |
15 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 69 | +1 lap | 0 |
16 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 68 | +2 laps | 0 |
17 | 20 | マグヌッセン | ハース | 68 | +2 laps | 0 |
18 | 88 | クビサ | ウィリアムズ | 67 | +3 laps | 0 |
NC | 23 | アルボン | トロロッソ | 59 | DNF | 0 |
NC | 4 | ノリス | マクラーレン | 8 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 28.1℃ |
路面温度 | 52.1℃ |
周回数 | 70 |
セッション概要
グランプリ名 | F1カナダGP |
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レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | ジル・ビルヌーブ・サーキット |
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設立 | 1978年 |
全長 | 4361m |
コーナー数 | 14 |
周回方向 | 時計回り |