イスタンブール・パーク・サーキットのガレージ内を歩くレッドブル・ホンダのアレックス・アルボン、2020年F1バーレーンGPにて
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アルボン、来季シートに向けて後がない状況で痛恨のクラッシュ「損失額は甚大」とレッドブル・ホンダ代表

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レッドブル・ホンダのアレックス・アルボンにとって、第15戦バーレーンGPの2回目のフリー走行セッションは、クラッシュによるマシン大破という最悪の結末を迎えた。

来季シート獲得のためのチャンスが残り3戦となったアルボンは、ソフトタイヤでのフライングラップ中、最終ターン15でアウト側に大きく膨らんだ。体制を立て直してフィニッシュしようと試みたのが災いし、クルマはアウト側のウォールに激しく激突した。

その結果、RB16は車体右側を中心に大きなダメージを負い、前後ウイングとホイールを失って無残な姿に変わり果てた。幸いにも目立った怪我などはなく、アルボンは自力でコックピットから降りてメディカルカーに乗り込んだが、セッションは赤旗中断となり、メカニック達は予期せぬ労働を強いられる事となった。

クリスチャン・ホーナー代表はセッション後に「フラストレーションが溜まる」と述べる一方で「ありがたいことにアレックスは無事だった。モノコックとエンジンは大丈夫そうだし、ギアボックスもレース用のものではなかった。だが、メカニック達にとっては慌ただしい夜になるだろうね」と語った。

とは言えクルマの損害は甚大だ。事故による損害額について問われたクリスチャン・ホーナー代表は「見積もるのは簡単ではないがかなりの金額だ。クルマはバリアに突っ込んでおり、4隅全てではないとしても少なくとも3つのコーナーが逝ってしまった。リアウィングにフロントウィング、ノーズボックスがね。甚大な金額だ」と答えた。

ただし「アレックスはこの件を忘れるよう努力すべきだ。イスタンブールの週末を経て、マシン特性とフィーリングはどんどん改善していたし、彼のフィードバックはマックスのものと殆ど一致していて流れが良くなっていたからね。だからこそ彼がアクシデントに見舞われてしまったのは本当に残念だ」とも付け加えた。

一方のアルボンは油断していた事を認め、チームに謝罪した。

「セッション終盤のアクシデントに関しては、路面のグリップが失われて好ましくない角度で衝突する事になってしまった。あれは手を緩めるべきだった。身体的には問題なかったし、ただ単にああいった形で起こってしまったという事なんだけど、ガレージのみんなには申し訳ない事をしたと思ってる」

「アクセルを戻したけど十分じゃなかった。芝にタイヤの1本が乗っていてグリップがなく、タンクスクラッパーが出てしまったんだ」

タンク・スラッパー(tank slapper)とは、主にバイクや自転車などの2輪で使われる言葉で、何らかの衝撃によって振動したステアリングが共振によって増幅される現象の事を指す。

バーレーン・インターナショナル・サーキットの路面はタイヤへの攻撃性が高い事で知られる。アルボンは2日目に向けて、フロントタイヤのグリップを増やすための改善策が必要だと考えている。

「僕らは1年を通してリアタイヤに悩まされてきたけど、今回はどういう訳かフロントタイヤが上手くいっていないみたいだから、どうすれば長く保たせられるかを考えなきゃならない」

「今日は来年用のプロトタイプタイヤをテストしてみたんだけど、いずれのコンパウンドも殆どグリップがなかったから、ピレリがどう対処するのか見守る必要があるし、改善されることを祈ってる」


初日をトップで締め括ったのは前戦トルコGPで7度目のタイトルを決めたばかりのルイス・ハミルトン(メルセデス)。2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)を0.347秒差で退けた。3番手にはバルテリ・ボッタス(メルセデス)が続く結果となった。

F1バーレーングランプリ3回目のフリー走行は日本時間11月28日(土)20時から、公式予選は同23時から1時間に渡ってバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される。

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