テレビ取材を受けるカルロス・サインツ(フェラーリ)、2023年3月16日F1サウジアラビアGP
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

全車レッドブル時代の到来か…フェラーリにコンセプト変更の必要性を訴えるサインツ

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2024年のグリッドに並ぶ全てのF1マシンはレッドブル風の外観を備える事になるかもしれない。カルロス・サインツはフェラーリに対して車体コンセプトの変更を求めているようだ。

開幕2戦を終えた段階での2023年シーズンはレッドブルの独壇場だ。タイトル争いに絡んだ2022年とは一転、スクーデリアは”グリーン・レッドブル”とも称されるアストンマーチンに先行を許し、未だ表彰台に立てておらず、信頼性不足も相まってコンストラクターズ選手権4位に甘んじている。

カルロス・サインツ(フェラーリ)を抑えて前を走るランス・ストロール(アストンマーチン)、2023年3月19日F1サウジアラビアGPCourtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

カルロス・サインツ(フェラーリ)を抑えて前を走るランス・ストロール(アストンマーチン)、2023年3月19日F1サウジアラビアGP

RacingNews365によるとサインツは「レッドブルとこれほど大きな差がある以上、それはコンセプトの問題に起因する事が確実だ」「レッドブルが正しくやった一方、僕らはそうではなかった」と述べ、跳馬の現行型「SF-23」の車体コンセプトを見直す必要があると指摘した。

また次のように述べ、フロアエッジやディフューザースロートの引き上げを含む2023年に向けたテクニカル・レギュレーションの変更が、自分たちが採用するバスタブ型のコンセプトに悪影響を与えたとの見解を示した。

「去年のクルマにおいて僕らは1ラップでかなりの速さを刻めたけど、終盤にはレースペースという点でレッドブルから一歩遅れを取っている事が明らかになった」

「今年レギュレーションが変わったことで、僕らのコンセプトが悪化した事は明らかだ。おそらく他のコンセプトを模索しなきゃならないだろう」

バーレーン・インターナショナル・サーキットのパドックを歩くカルロス・サインツ(フェラーリ)、2023年3月3日F1バーレーンGP – コピーCourtesy Of Ferrari S.p.A.

バーレーン・インターナショナル・サーキットのパドックを歩くカルロス・サインツ(フェラーリ)、2023年3月3日F1バーレーンGP

フェラーリのF1チーム代表を務めるフレデリック・バスールはジェッダ市街地コースでの前戦を終えた段階で、予選での好ペースに触れてSF-23の空力学的なコンセプトに問題はないとの考えを示していた。

とは言え、現時点でのSF-23がそれなりに競争力を発揮できているのは予選に限られる。これは課題のダウンフォース不足をソフトタイヤの高いグリップ力で短期的に補っているためだと考えられる。

路面が非常に攻撃的なバーレーンはまだしも、路面特性がバーレーンとは対照的なサウジアラビアでさえフェラーリはレースペースに苦しんだ。エンジンパワーの大幅改善にも関わらず超高速のジェッダで苦戦したのは、デグラデーションが想定以上に深刻だったためだ。

サインツはSF-23をピーキーで一貫性がなく、予測不可能だと評している。つまりはドライバビリティが悪く、その結果としてタイヤを不用意に摩耗させているというのだ。

フェラーリはオーストラリアGPにアップグレードを持ち込まなかった。マラネロでは現在、SF-23の改善に向けた大規模な開発が進められており、一部には本国イタリアで行われる第6戦イモラでの投入を予想する声もある。

だが、今年のエミリア・ロマーニャGPは改訂予選フォーマット(RQF)が導入される可能性がある。この場合、供給されるコンパウンドが2セット削減される事もあり、開発パーツの評価・検証に割ける時間が限られるため、早くとも第8戦スペインGPが有力と思われる。

2023年のグリッドに着くマシンは大きく3種類に分けられる。レッドブル型とフェラーリ型、そしてゼロポッド・コンセプトを誤りと認めたメルセデスだ。

概して言えば、大幅にレギュレーションが変更された最初の数年は様々なアイデアが見られるものだが、シーズンを経るごとにある特定のコンセプトに収束していくのが一般的だ。メルセデスとフェラーリは何処に向かうのだろうか?

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