角田裕毅「誇らしく思います」ラスト予選で魅せた執念とプロ魂―”旧型ハンデ”を背負って薄氷を制し、ポールをアシスト

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レッドブル・レーシングでの最後の予選となった2025年F1第24戦アブダビGP。角田裕毅は、あまりに非情なハンデを背負いながらも驚異的な粘りを見せ、Q3進出を果たした。

予選直前のフリー走行3回目でアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)に追突され、フロアを破損。旧仕様フロアへのロールバックを強いられながらも、0.008秒差、0.007秒差という薄氷の戦いを制し、最後まで諦めない姿勢を見せつけた。

そしてQ3では、自らの順位を犠牲にしてまでタイトルを争うチームメイトのマックス・フェルスタッペンをアシストした。

「誇らしく思います」

角田の言葉には、プロフェッショナルとしての矜持がにじんでいた。

予選直前の悪夢─接触でフロアを喪失

レッドブルでの最後の予選は、最悪の形で始まった。アントネッリにピットレーンで衝突され、マシン底面の空力を司る重要パーツであるフロアを破損。予選に向けて旧スペックの使用を余儀なくされた。

ダウンフォースは減り、コーナリング速度は低下し、タイヤへの負荷も変化する。つまり単にパフォーマンスが低下するだけでなく、バランスが崩れることとなった。

しかもこれは、角田自身のミスではない。スチュワードはメルセデスに責任があると結論づけ、1万ユーロ(約180万円)の罰金を科す裁定を下した。

アップデートを失い、パフォーマンスダウンを余儀なくされ、これまでとは異なる未知のバランスのマシンで、走行時間が限られる予選を勝ち抜かなければならないという絶体絶命の状況。それでも、角田は決して諦めなかった。

ヤス・マリーナ・サーキットを駆け抜ける角田裕毅のレッドブル・レーシングRB21、2025年12月6日(土) F1アブダビGP予選(ヤス・マリーナ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ヤス・マリーナ・サーキットを駆け抜ける角田裕毅のレッドブル・レーシングRB21、2025年12月6日(土) F1アブダビGP予選(ヤス・マリーナ・サーキット)

0.007秒、薄氷を踏むサバイバル

予選はまさに極限のサバイバルだった。

Q1の最初のアタックでは、フェルスタッペンから0.325秒遅れ。2回目にはその差が0.509秒まで拡大した。それでも角田は、わずか「0.008秒差」で15番手に踏み止まり、Q1敗退を回避した。0.008秒──それは人間の感覚では捉えられない世界だ。

続くQ2でも気迫の走りは続く。中古タイヤを履いたフェルスタッペンに0.282秒差まで迫ると、Q2敗退のカットラインとなる11番手にわずか「0.007秒」という紙一重の差で競り勝ち、10番手を死守した。

旧仕様フロアというハンデを背負い、それでもQ3への切符をもぎ取った角田。その執念は、パドック全体を驚かせるに十分なものだった。

「正直なところ、フロアがこういう状況だったので、Q3に行くのは相当厳しいと覚悟していました」と角田は振り返る。「それでも突破して彼(マックス)を助けることができたので、本当に満足しています」

自らを犠牲にポールをアシスト

Q3に進んだ角田は、自身のタイムよりチームへの貢献を優先した。

1回目のラップではスリップストリームを供給する役に徹し、フェルスタッペンの走りを後押しした。このアシストにより角田はノータイムとなったが、フェルスタッペンは暫定ポールを獲得した。

最終アタックはトラックリミット違反でタイム抹消となり10番手に終わったが、角田は胸を張る。

「アントネッリとのクラッシュの影響で、予選直前に旧フロアへ戻さなければならず、かなりの妥協を強いられるという理想的ではない状況でした。その中でQ2を突破し、Q3に進み、マックスを助けることができたので…それについては誇らしく思っています」

角田の援護により”堅実なベース”を手にしたフェルスタッペンは、最終アタックで限界までプッシュ。セクター1、2で全体ベストを刻む圧巻の走りを披露して文句なしのトップタイムを記録した。

マックス、角田に感謝「本当にありがたい」

チームプレーヤーとしてラストダンスへ

決勝に向けても角田は、自身のレースを犠牲にしてでもチームに尽くす覚悟を示した。

「レースでも、可能な限り彼を助けるつもりです。ただそれによって、僕自身の戦略はおそらく単純なものではなくなるでしょう。まあ、どうなるか見てみたいと思います」

フェルスタッペンは、ランキング首位のランド・ノリス(マクラーレン)と12ポイント差でドライバーズタイトルを争っている。レッドブルは可能な限り角田のスティントを引き伸ばし、ピットストップ後のノリスを抑える役目を与えることだろう。

レッドブルでの最終レース──角田自身、少しでも良い結果を残したい気持ちがあるはずだ。それでも彼は、チームとフェルスタッペンのために走ると宣言した。

「誇らしく思っています」との言葉通り、角田は胸を張ってレッドブルでの最後のレースに挑む。


2025年F1アブダビGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にランド・ノリス(マクラーレン)、3番手にオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が続く結果となった。

決勝レースは日本時間12月7日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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