
フェルスタッペンが語る「F1史上最速ラップ」の裏側、学習と”直感”が噛み合ったその瞬間―1年前の惨敗から歴史的快挙へ
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は2025年F1第16戦イタリアGP予選でF1史上最速ラップを記録し、ポールポジションを獲得した。前年大会では6番手に沈み、当時のマシンを「モンスター」と酷評していたが、一転して歴史的快挙を成し遂げた。
「僕らが得意としてこなかったコースだけに、ここでポールを取れたのは大きい。昨年は大惨事だったしね。今年は遥かに良い感じだ。ホント嬉しいよ」とフェルスタッペンは語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
インタビューを受けるポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)
F1史上最速ラップ、記録を後押しした要因
フェルスタッペンが刻んだ1分18秒792のコースレコードは、平均時速264.681kmを記録した。これは2020年にルイス・ハミルトンがモンツァで樹立した記録を塗り替えるもので、75年にわたるF1史における新たな最速ラップとなった。ランド・ノリス(マクラーレン)も0.021秒差の2位でハミルトンの記録を更新したが、最速の座はフェルスタッペンが射止めた。
モンツァはストレート主体のレイアウトであるため、差を広げられるポイントは限られる。フェルスタッペンは3つのシケインで勝負をかけ、ブレーキングを遅らせつつスムーズな立ち上がりを意識。特に第1・第2シケインでの強気の走りでノリスを抑え込み、最終セクターでは0.006秒の差を築いた。
「Q3の2回のラップは両方とも大きなミスがなかったけど、ここでそれをやるのは本当に難しいことなんだ。高速からシケインに飛び込むブレーキングで、きっちりエイペックスを取るのは簡単じゃない。でも今日はすべてがうまく噛み合った」とフェルスタッペンは振り返った。
また記録更新については、「新しい舗装と縁石の変更が助けになった」と分析。その一方で「今のコースなら、2020年のメルセデスを走らせた方が速いと思う。そのうえで僕がそれに乗ればさらに速くなるよ!」とも付け加えた。当時のマシンは現在より54kg軽く、低速コーナーでの俊敏さに優れていた。
学習の積み重ねと“自らの判断”
12ヶ月前の悪夢が嘘であるかのような快走劇。その要因についてフェルスタッペンは「昨年以降、僕らは多くを学び理解してきた」と説明する。
「今年のクルマは去年とはかなり違うけど、今シーズンもバランス面では多くの問題を抱えてきたから、今週末を予想するのは難しかった」
「でも初日の段階で普段よりバランスに満足できていたし、今ではどうセットアップすべきかという理解も深まってきている。おかげで週末を通じて大きな変更をせずに済み、小さな調整で済むようになった。それが予選で大きな助けになったのは確かだ」
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パルクフェルメに停車するポールポジション獲得したマックス・フェルスタッペンの1号車レッドブル・レーシングRB21と2番手ランド・ノリスの4号車マクラーレンMCL39、2025年9月6日(土) F1イタリアGP予選(モンツァ・サーキット)
今週末のモンツァは、今季のレッドブルとフェルスタッペンにとって転機となる可能性を秘めている。今回の躍進には、1週間前のオランダGPでRB21に対する理解を”大幅”に深めたことも作用したという。「その知識を残りシーズンにも活かせればと思う」とフェルスタッペンは期待を寄せた。
もうひとつのカギは、予選直前のセットアップ選択にあった。チーム内には別の方向性を模索する意見もあったが、最終的には自身の感覚を優先したという。
「僕は『そうすべきじゃない』と言ったんだ。部屋に戻ると、まだ迷っている人もいたけど、僕は“これで行くべきだ”と感じていた。そして運良く結果につながった」と明かした。
「スピードの殿堂」はフェルスタッペンに微笑むか?
予選で完璧なラップをまとめたフェルスタッペンだが、ロングストレートとブレーキングゾーンが多いモンツァで後続を抑え続けるのは容易ではない。ましてや後ろに並ぶのは、タイヤマネジメントを強みとするマクラーレン勢だ。
フェルスタッペンは「今季はこれまでのところ、必ずしもレースペースが良いわけじゃない。明日は何とかしたいしベストを尽くすつもりだけど、この位置を維持するのは厳しいだろうね。でも何ができるか検討してみるよ」と冷静な見通しを示した。
モンツァは極端なローダウンフォース・コースであるがゆえに、レースではタイヤの摩耗とデグラデーションが課題となる。フェルスタッペンはハード2セットを温存しており、これが日曜のレースで大きな武器となる可能性がある。
2025年F1イタリアGP予選では、マックス・フェルスタッペンがマクラーレン勢を僅差で退けポールポジションを獲得する結果となった。
決勝レースは日本時間9月7日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周5793mのモンツァ・サーキットを53周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。