F1日本GP火災問題の対策案、FIAが方針転換―チタン製スキッドブロック継続へ

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FIA(国際自動車連盟)は、2025年F1世界選手権シーズン中に予定していたステンレス製スキッドブロックの義務化を見送る決定を下した。背景には、先週末のスペインGP中に実施された試験走行の結果と、チーム側からの反発がある。

発端は、今年4月のF1日本GPで発生した芝生火災だった。これを受け、FIAは発火リスクの低いステンレス製スキッドブロックの使用を一部レース(カナダやシルバーストン、ベルギーなど)で義務化することを検討。スペインGPのフリー走行において全チームに試用を義務付け、挙動や摩耗、パフォーマンスへの影響を検証した。

だがテストの結果、一部のチームから慎重な声が寄せられた。ステンレス製スキッドブロックはチタン製より約750グラム重く、摩耗も早いため、過度な摩耗を抑えるために車高を上げざるを得ないケースが生じる。こうした車重増加や車高の変化は、マシンバランスやラップタイムに直接的な影響を与える可能性がある。

当初は次戦カナダGPからの導入が予定されていたが、最終的にFIAは現時点での義務化を見送り、2025年シーズン残りすべてのレースにおいて、引き続きチタン製スキッドブロックを標準とする方針を発表した。

ただし、グランプリ週末中に再び芝生火災が発生した場合に備え、すべてのチームに対してステンレス製スキッドブロックを携行するよう要請するとともに、さらなる検証の一環として、シーズン中の複数イベントで追加テストを実施する方針も合わせて示した。

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