フリー走行でRB21をドライブするマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2025年3月14日(金) F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルは最前列にいない—マルコが早くも白旗、頼みの綱は雨と“マックス・ファクター”

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初日フリー走行を終えてレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは早くも、2025年の開幕オーストラリアGPでポールポジションや優勝を争うことは難しいとの悲観的な見通しを示した。

バーレーンでのプレシーズンテストの時点で、レッドブルにとって厳しいシーズンになる可能性が指摘されていたが、メルボルンでの初日を終え、その懸念はさらに現実味を帯びつつある。

FP1ではマックス・フェルスタッペンが5番手、リアム・ローソンが16番手。続くFP2ではフェルスタッペンが7番手、ローソンが17番手と後退した。クリーンなラップを得られなかったとはいえ、最速タイムを記録したシャルル・ルクレール(フェラーリ)とフェルスタッペンとの差は0.6秒にも及んだ。

さらに、シングルラップ、ロングランの両方でマクラーレンとフェラーリの後塵を拝しただけでなく、姉妹チームのレーシング・ブルズにも後れを取った。角田裕毅は4番手、アイザック・ハジャーは6番手と、いずれもシニアチームを上回る結果を残した。

フリー走行前にガレージ内で準備を進めるピエール・ワシェ(レッドブル・レーシング テクニカルディレクター)、2025年3月14日(金) F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

フリー走行前にガレージ内で準備を進めるピエール・ワシェ(レッドブル・レーシング テクニカルディレクター)、2025年3月14日(金) F1オーストラリアGP(アルバート・パーク・サーキット)

初日を終えてフェルスタッペンは、RB21のバランスについて「完全に崩れているわけではない」としながらも、それが逆に対処を難しくしていると指摘。問題の根は深く、簡単には解決できない状況だと説明した。

RB21はアルバート・パーク・サーキットでグリップ不足に見舞われており、特に第1および最終セクターでは、予測しづらい挙動にドライバーが手を焼いていた。

レッドブルの現状についてマルコは、独Sky Sportsに対し、「クルマのバランスはアンダーステアとオーバーステアを行き来しており、ロングランでは当然、タイヤの摩耗にも影響する。我々は最前列にはいない。通常のコンディションでのレースなら、表彰台が精一杯の目標になるだろう」と率直に語った。

また、FP1からFP2にかけて施したセットアップ変更が期待した効果を発揮しなかったことを認め、「現状では0.2~0.3秒遅れている。明日の予選ではせいぜい2列目が狙いどころだろう」と悲観的な見解を示した。

レッドブルのパフォーマンス低下はある程度予想されていたが、0.6秒差というギャップは、その想定を超えるものだったと言えよう。加えてローソンは、フェルスタッペンからさらに0.5秒遅れており、苦戦の色がより濃く滲んでいる。

とは言え、ローソンはF1での経験が11戦とまだ浅く、加えてオーストラリアGPの舞台であるアルバート・パーク・サーキットを初めて走ることもあり、適応に時間がかかるのはやむを得ない。

ローソンについてマルコは、「我々は彼をアンドレア・キミ・アントネッリと比較して見ている。彼もこのサーキットを初めて走るが、両者のペースはほぼ同じだった。ローソンはまだエンジンをフルパワーで回していない。そのためまずまずではあるが、彼はもっとやれるはずだ」と語った。

なお、アントネッリは昨年のF2時代にプレマ・レーシングからアルバート・パーク・サーキットのレースに出走し、フィーチャーレースでは4位フィニッシュを果たしている。

ファンと交流するリアム・ローソン(レッドブル・レーシング)、2025年3月13日(木) F1オーストラリアGPプレビュー(アルバート・パーク・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

ファンと交流するリアム・ローソン(レッドブル・レーシング)、2025年3月13日(木) F1オーストラリアGPプレビュー(アルバート・パーク・サーキット)

現状のマシンバランスやタイヤの摩耗レベルを考慮すると、通常のコンディションではレッドブルが優勝争いに加わるのは難しい。しかし、決勝が行われる日曜の天気予報では、気温が10℃近く低下し、雨が降る見通しだ。

マルコは、「現時点での最速はマクラーレンのように見える。フェラーリ、メルセデス、そして我々の3チームが3位~5位を争うことになるだろう。ただ、雨が降れば話は別だ。その時は、再び『マックス・ファクター』が発動するかもしれない」と期待を寄せた。

昨年のブラジルGPでは、フェルスタッペンが17番グリッドからのスタートにもかかわらず、雨の影響を味方につけてトップチェッカーを受けた。今回のオーストラリアGPでも、天候が波乱を呼ぶ展開となれば、レッドブルにとって逆転のチャンスとなるかもしれない。

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