F1スペイン決勝:タイヤ戦略考と気掛かりな天気、ペナ反映後のスターティング・グリッド
日本時間6月23日(日)22時にスタートを迎える2024年シーズンのF1第10戦スペインGPのスターティング・グリッドが発表された。予選結果からの変動および、予想されるタイヤ戦略、天気を見ていこう。
変動したスターティンググリッド
接触事故を引き起こしたにも関わらず、シャルル・ルクレール(フェラーリ)とランス・ストロール(アストンマーチン)は戒告処分に留まり、降格ペナルティが科されることはなかった。
ルクレールに衝突されたことでフロントウイングが破壊されたランド・ノリス(マクラーレン)はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からその事実を聞き、怪訝な表情を浮かべて不満をあらわにした。
ただ、大破したマシンで周回したとして前戦カナダGPでセルジオ・ペレス(レッドブル)が3グリッド降格ペナルティを受けたため、8番手以降のグリッドが変動した。
エステバン・オコン(アルピーヌ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)はそれぞれ一つずつ昇格し、ペレスはポイント圏外11番手に降格した。
ローガン・サージェント(ウィリアムズ)もまた、ストロールへの妨害走行で3グリッド降格を受けたが、もともと予選最下位であったためグリッドへの影響はなかったが、僚友アレックス・アルボン(ウィリアムズ)がパワーユニットとセットアップを交換。ピットレーンスタートとなったため、逆に19番手と昇格した。
自身3年ぶりのポールポジションに着くのはノリス。2番グリッドにはフェルスタッペンが並び、2列目にはメルセデスのルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルが続く。
角田裕毅(RBフォーミュラ1)は後方17番グリッドに着く。隣の18番グリッドに並ぶのはチームメイトのダニエル・リカルドだ。
Pos | Driver | Team | Qualifying |
---|---|---|---|
1 | L.ノリス | マクラーレン | 1(-) |
2 | M.フェルスタッペン | レッドブル | 2(-) |
3 | L.ハミルトン | メルセデス | 3(-) |
4 | G.ラッセル | メルセデス | 4(-) |
5 | C.ルクレール | フェラーリ | 5(-) |
6 | C.サインツ | フェラーリ | 6(-) |
7 | P.ガスリー | アルピーヌ | 7(-) |
8 | E.オコン | アルピーヌ | 9(+1) |
9 | O.ピアストリ | マクラーレン | 10(+1) |
10 | F.アロンソ | アストンマーチン | 11(+1) |
11 | S.ペレス | レッドブル | 8(-3) |
12 | V.ボッタス | ザウバー | 12(-) |
13 | N.ヒュルケンベルグ | ハース | 13(-) |
14 | L.ストロール | アストンマーチン | 14(-) |
15 | 周冠宇 | ザウバー | 15(-) |
16 | K.マグヌッセン | ハース | 16(-) |
17 | 角田裕毅 | RB ホンダRBPT | 17(-) |
18 | D.リカルド | RB ホンダRBPT | 18(-) |
19 | L.サージャント | ウィリアムズ | 20(+1) |
20 | A.アルボン | ウィリアムズ | 19(-1) |
レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで完全生配信・生中継される。
想定されるスタートタイヤ戦略
ピレリのシミュレーションによると、ドライコンディションの場合の最速タイヤ・ストラテジーはカタロニア・サーキット定番の2ストッパーで、珍しくもスタートタイヤがソフトになる可能性がある。
ピレリのモータースポーツ部門を率いるマリオ・イゾラは「理論上、最も速い戦略はC3(ソフト)を2セットとC2(ミディアム)を1セット使う2ストッパーだ」と語った。
「1ストップ戦略はあまりに遅いため除外されるが、4スティントを繋ぐ3ストッパーは2ストップよりも僅か数秒遅いに過ぎず、現実的な選択肢と言えるだろう」
プラクティスで得られたデータからは、ハードが著しく遅く(対ソフトで1周あたり1秒ダウン)、ソフトがミディアムに対してコンマ5秒近く速いということが分かっている。
メルセデス、アルピーヌ、そしてペレスとピアストリはイゾラの言う最速ストラテジーを採用しないかもしれない。これらの6台は新品ソフトのストックがない。逆に角田裕毅のRB勢とアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は2セットの新品が手元にあり、ケビン・マグヌッセン(ハース)に至っては3セットをガレージに残している。
バルセロナはデグラデーションが大きいため、アンダーカットが強力に機能する。ソフトスタートの場合、最初のピットストップウインドウは早くて12周目にオープンとなる。それまでに適切なギャップを築けない場合、上位勢は連鎖的に計画外のピットインを強いられる可能性がある。
気になる天気は…
週末前の予報より上向いているが、それでも日曜のバルセロナは午前11時をピークとして、にわか雨が降る可能性が高い。
ただ決勝スタート時刻の15時の降水確率は10%と一気に低下するため、終始ウェットとなる可能性は低く、インターからドライへとコンディションが移り変わるレースとなりそうな状況だ。
仮に雨が降って表面のラバーが洗い流されれば路面はグリーンとなり、その分だけタイヤのデグラデーションは高まることになる。
予選でのシングルラップのみを考慮すればダウンフォースをつけすぎた、とするフェルスタッペンに追い風が吹くかもしれない。