パルクフェルメに立つマクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリ、2024年F1エミリア・ロマーニャGP
Courtesy Of McLaren

たったそれだけ?ノリス思わず…意図に関わらず接触に至ってなお「危険」でなければ戒告止まりの裁定

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シャルル・ルクレール(フェラーリ)が戒告処分で事なきを得たことを受け、ランド・ノリス(マクラーレン)は怪訝な表情を浮かべて不快感をあらわにした。

予選前の最終プラクティスでルクレールは、ターン5でノリスに道を塞がれたことでフライングラップを中断した。これに腹を立てたルクレールはその後、曰く「クルマの位置取りを誤った」ことでターン7を前にノリスと接触した。

ヴィタントニオ・リウッツィを含む4名の競技審判団は、ルクレールの行為は「危険なものではない」として戒告処分を科すに留めたが、これはフロントウイングが破壊されたノリスを納得させる裁定ではなかった。

国際映像は予選後のパルクフェルメで、2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールを獲得した直後のノリスに対し、ルクレールが受けたペナルティが「戒告だけだったぞ」と伝える様子を捉えていた。

ノリスは思わず怪訝な表情を浮かべ、放送禁止用語を交えながら「フロントウイング全体がぶっ壊されたって言うのに」と不満を口にした。フェルスタッペンは「どうかしてるよな!」と寄り添った。

米ESPNによると予選を経てルクレールは一件について、「僕の視点からは凄く単純な話だ」と釈明した。

「プッシュラップで僕は彼の後ろにいた。彼がラップを中断したから僕も中断した。彼の横に並ぼうとしてブレーキをかけたんだけど判断を誤った」

「僕はコースの右側(レーシングライン側)にいたから、後ろのクルマを妨害したくなかったし、イライラしながらミラーを見ていたために少しばかりコースの真ん中に寄ってしまい、その結果、接触してしまった」

ノリスに妨害されたことに対してジェスチャーで抗議しようとしたのかと尋ねられるとルクレールは「いやいや、そういうことじゃない」と答えた。

「ああいう時はいつだって苛立ちを感じるけど、当然、予選直前のFP3でクルマを傷つけることは避けたいわけで、それを意図していたわけじゃない」

報復行為と受け取られかねないドライビングはルクレールだけではなかった。同じ様に道を塞がれたランス・ストロール(アストンマーチン)は「不満を表現」するために、ターン5でルイス・ハミルトン(メルセデス)に接近。接触したが、こちらも今季初の戒告処分で事なきを得た。

ルクレールの件に関しては、妨害されて「腹を立てた」と認めているものの、「クルマの位置取りを誤った」と主張していることから立証は難しいが、それを踏まえてあえて言うならば、両ケースは故意の行為による結果と言える。

スチュワードはルクレールの裁定に際して「意図」を問題視しなかった。つまり故意があったか否かに関わらず、接触事故に至ってなお「危険でない」という理由で厳格なペナルティを科さなかったのだ。

2017年のアゼルバイジャンGPではセバスチャン・ベッテルがセーフティーカー(SC)ラップ中、急減速したルイス・ハミルトン(メルセデス)のリアに衝突。怒ったベッテルはハミルトンに横付けして猛抗議したが、勢い余って今度はハミルトンのマシンの側面に衝突するインシデントが発生した。

ダニー・サリバンを含む4名の競技審判団はベッテルに対し、10秒のストップ・アンド・ゴー・ペナルティと3点のペナルティポイントを科す厳しい裁定を下した。

ルクレールとストロールに対する裁定は、報復を目的として意図的に他車に接触したとしても、それが「危険」と見なされない限りは戒告処分で済むという、危険な前例になりかねないものだった。

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