80馬力喪失…ルクレールのカナダGPの「全てを台無し」にしたフェラーリのエンジン問題
スクーデリア・フェラーリのシャルル・ルクレールはF1カナダGPで見舞われたエンジントラブルについて、ストレートで「1.5秒」を失ったとして、残りのシーズンに向けて懸念材料となる可能性に言及した。
レースを総括するよう求められたルクレールは「正直、エンジントラブルが全てを台無しにしたっていう事以外に言うことはないね」と答えた。
「トラブルを受けてその後、上手くいかない可能性の方が高い事は分かっていたけど、スリックタイヤに賭けることにした。エンジンに問題がある以上、ポイントを獲得できなかっただろうから、兎に角、何かを試す他になかったんだ」
フェラーリは28周目にピットで「パワーサイクル」を実行。問題の解消に取り組んだ。チーム代表のフレデリック・バスールによるとエンジントラブルの影響で約15周に渡って80馬力を失っていたと言う。
ルクレールは「チームからセッティングを変更するよう言われたんだけど、それが兎に角、とんでもなく難しくてね。それでもストレート1つあたり1.5秒も失い続けた」と語る。
「本当に煩わしかった。何しろ1周ごとに10~15個のスイッチを変更する必要があったんだ」
「トラブルの原因を詳しく調べないと。残りのシーズンで厄介な問題になる可能性があるからね」
ルクレールのコメントから読み取れるのは、これはハードウェアに関するものではなく電子制御的な問題だという事だが、フェラーリの今季パワーユニットは以前に何度かトラブルに見舞われている。
ルクレールはシーズン18戦を残したイモラで早くも3基目の主要エレメントを開封した。これについてシャシー部門を率いるエンリコ・カルディーレは「マイアミ後の分析結果が通常の結果と完全に一致しなかったため」だと説明した。
同じくイモラでは、チームメイトのカルロス・サインツが予選を経てクルマに問題が見つかったと説明。その一つがエンジンだと語っていた。
日曜のレースはエンジントラブルが「全て」であったが、前日の予選ではサインツ共々、Q2敗退を喫した。シャシーとしてのSF-24に懸念はないのか?
「クルマのペースについては神経質になり過ぎるべきじゃないかと思う」とルクレールは語る。
「良い週末もあれば、悪い週末もあるって事。昨日はクルマのフィーリングが決して良くなかったし、コンマ03秒差でQ3進出を逃した。原因を突き止め、改善しなきゃならない。
「その一方で今日のペースは悪かったとは言えない。最初のスティントでエンジンが2.5秒遅かった事を思えば、コーナーではそれほど悪くなかった。ただエンジンの問題があまりにも大きかったから、どうすることもできなかった」
「モナコの後に過剰反応しなかったように、今回の件についてもオーバーに捉えすぎるべきじゃない」
2週間前のモナコウィナーは序盤に周回遅れにされる事態となり、43周目にガレージにクルマを入れてリタイヤした。
その後、サインツもスピンを喫してアレックス・アルボン(ウィリアムズ)と衝突。2台揃ってリタイアした事で、コンストラクターズ選手権で首位を行くレッドブルの背中は遠ざかり、3位マクラーレンに40点差にまで詰め寄られた。
「もちろん今回の件は手痛い。2台のマシンがリタイアしたわけだからね。このままだとライバルに負けてしまう。エンジンに関しては見直すべき点がある」とルクレールは付け加えた。
2024年F1第9戦カナダGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季6勝目を上げた。2位はランド・ノリス(マクラーレン)、3位表彰台にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が滑り込んだ。
カタロニア・サーキットを舞台とする次戦スペインGPは6月21日のフリー走行1で幕を開ける。